ソーシャルマーケティング理論を用いた効果的な生活習慣病対策に関する研究

文献情報

文献番号
200201058A
報告書区分
総括
研究課題名
ソーシャルマーケティング理論を用いた効果的な生活習慣病対策に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
中原 俊隆(京都大学大学院医学研究科公衆衛生学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
経済学者フィリップ・コトラーらの提唱したマーケティングの考え方を人々の考え方や習慣を変革するためのプログラムを企画、実施、管理するためのマネジメント技術にも応用したソーシャルマーケティングの理論を用いて健康教育について検討する。本年度はマーケティングの基本である4P(place, price, product, promotion)のうち、promotionに焦点を当てて調査し、行政を中心とした生活習慣病に対する健康教育のネットワークの状態について検討した。
研究方法
郵送にて以下の団体に対してアンケートを送付した。内容は高血圧、糖尿病、高脂血症、骨粗鬆症、禁煙、エイズに関する健康教育の2002年におけるネットワークについてであった。日本国内すべての市区町村、保健所、従業員50名以上の企業(会社四季報による、50名以上に限定したのは産業医が関与していることを考慮した)、某市内の公立、市立のすべての小・中・高等学校。宛先は学校に関しては校長、他に関しては保健健康担当者とした。
結果と考察
回収率 保健所 52.7%、市区町村 43.5%、企業 10.7%、学校 45.2%であった。企業の回収率が非常に低いが、最近、不明な調査が多数企業に送付されており、回答しないところが増えたためと判明した。健康教育に関する情報を一番有しているのは保健所であるが、それでも情報発信等は不十分であった。保健所は同じ行政である市区町村との関係は比較的大きかったが、禁煙やエイズに関しては学校との関係が目立った。市区町村は保健所との関係が深かったが、禁煙やエイズに関しては学校との関係が多い傾向にあった。しかし、保健所と学校の関係ほどではなかった。企業の回答からは、行政との情報交換はあまり行われていない傾向がはっきりした。学校に関しては禁煙のみの内容であったが、この某市においては保健所や市区町村との健康教育の連携は未だ不十分であった。生活習慣病はよい生活習慣を早期からつけることに予防の意味があるが、そのためには、学校、企業との連携が重要であり、相互に教育の方法を含めた情報発信の必要性がある。現状ではそれが不十分である事が明確になった。確かに、学校に対して、高血圧や糖尿病の健康教育をすることは難しい面もあるが、一生を通じた健康教育の一貫として積極的に保健所等からのアプローチが必要ではないかと考えられた。
結論
現状においては保健所を核とするネットワークの確立がもっとも可能性が高いと考えられた。しかし、企業、NPO・NGO、学校もそれぞれ健康教育の情報を発信し相互協力の体制を作ることが必要であると考えられた。

公開日・更新日

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更新日
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