特発性心筋症に関する調査研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200200712A
報告書区分
総括
研究課題名
特発性心筋症に関する調査研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
北畠 顕(北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学・教授)
研究分担者(所属機関)
  • 今泉勉(久留米大学医学部第三内科・教授)
  • 和泉徹(北里大学医学部内科学(II)・教授)
  • 小川聡(慶應義塾大学医学部呼吸循環器内科学・教授)
  • 豊岡照彦(東京大学大学院医学系研究科医学部保健管理センター・所長)
  • 堀正二(大阪大学大学院医学系研究科医学部病態情報内科学講座・教授)
  • 松﨑益德(山口大学医学部器官制御医科学講座・教授)
  • 松森昭(京都大学大学院医学研究科医学部臨床器官病態学講座・助教授)
  • 横山光宏(神戸大学大学院医学系研究科医学部循環呼吸器病態学講座・教授)
  • 藤原久義(岐阜大学医学部内科学第2・教授)
  • 竹下彰(九州大学医学部附属病院循環器内科・教授)
  • 永井良三(東京大学大学院医学系研究科医学部器官病態内科学講座・教授)
  • 鄭忠和(鹿児島大学医学部内科学第一・教授)
  • 友池仁暢(国立循環器病センター病院・病院長)
  • 吉川純一(大阪市立大学内科学第1・教授)
  • 山口巌(筑波大学医学専門学群臨床医学系内科学・教授)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 特定疾患対策研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
54,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1974年以来、本厚生省特定疾患調査研究班を中心として疫学・病因・病態・診断・治療について基礎的、臨床的検討が継続され、この領域での進歩・発展には目覚ましいものがある。特発性心筋症の診断基準については、1980年のWHO/ISFC合同心筋症定義分類委員会の勧告を受け、1986年本厚生省特定疾患調査研究班において「特発性心筋症診断の手引き」として作成された。しかし、診断や治療法に多くの進捗が見られ、1995年WHO/ISFC合同委員会でも改訂が行われた。
その後も、細胞工学、遺伝子工学などのバイオテクノロジーやマイクロコンピューターにより制御された画像診断技術の進歩、ACE阻害薬やβ遮断をはじめとする薬物治療法の有効性が確認され、外科手術の進歩や心臓移植の再開も加わり、疾患概念や治療法が大きく変貌しつつある。したがって、第1の研究目的は、診療に関して、心筋症に関する診断基準の見直しを含めた診療マニュアルの作成を行うこと、第2は、疫学について、1998年から本研究班と疫学研究班とが共同で行っている疫学調査を継続し、生命予後についての現状を把握するためのデータベースを構築すること、第3は、病因の解析について、遺伝子解析や免疫学的解析を中心に行うこと、第4に、治療面では、心筋再生医療の基礎的・臨床的検討を取り上げ、その研究成果を広く社会へ普及・還元すること。以上を本研究班の研究目的に設定した。目標具現化のため、それぞれの領域での我が国の第一人者を組織組織に迎え、研究分担者・協力者との間に分担・共同研究を計画した。
研究方法
1.「特発性心筋症診断の手引き」の改訂、診療マニュアルの作成、特発性心筋症臨床調査個人票の改訂、難病研究センターホームページの改訂、民間・専門医からの問い合わせに対する回答2.厚生労働省疫学研究班との疫学調査の継続3.遺伝子解析や免疫学的解析を中心とした病因の解析4.心筋再生医療の基礎的・臨床的検討
結果と考察
研究第1に、臨床調査個人票の活用のため、特発性心筋症臨床調査個人票(新規、継続用)を改定し、厚生労働省に提出した。また、診断基準の見直しを含めた「特発性心筋症診断の手引き」の作成のため、拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、ミトコンドリア病、心ファブリー病、家族性突然死症候群、ARVC、たこつぼ型心筋症などについて分担し、各々について、診断の手引き(案)を策定した。難病研究センターホームページを改訂し、民間・専門医からの問い合わせに対する回答をおこなった。第2に、疫学研究班との間で疫学調査の継続を確認し、疾患別記述調査票を策定した。第3に、平成14年度2回の班会議を開催し、病因の解析について、ことに遺伝子解析や免疫学的解析を中心に行った。さらに、共同研究として、テネイシン・オステオポンチンを用いた拡張型心筋症の敏感かつ特異的診断法の確立に関する検討を開始した。第4に心筋再生医療の基礎的・臨床的検討を開始した。以上の病因解析、診断、治療に関する具体的成果は平成14年度研究報告集に掲載されている。
結論
1974年以来、本厚生労働省特定疾患特発性心筋症に関する調査研究班を中心として疫学・病因・病態・診断・治療について基礎的、臨床的検討が継続され、この領域での進歩・発展には極めて目覚ましいものがある。この間、河合忠一、戸嶋裕徳、安田寿一、矢崎義雄、篠山重威各班長の主導的力量と目覚ましい成果は本研究班の目標とすべき所である。その後、細胞工学、遺伝子工学などのバイオテクノロジーやマイクロコンピューターにより制御された画像診断技術の進歩、ACE阻害薬やβ遮断薬をはじめとする薬物治療法の有効性が確認され、また、外科手術の進歩や心臓移植の再開により、病因・病態・診断・治療が大きく変貌しつつある。本研究班の特色・独創性は、第一に、本報告書から窺い知れるように、従来からの細胞工学、遺伝子工学による病因的解析や診断に加え、免疫学的、遺伝子解析手法を加え、さらに、治療面で、心筋再生医療の基礎的・臨床的検討を行うことにより研究面での幅を深めようとした。そのため、班員構成からも容易に理解できるように、本分野でのわが国の代表的研究者から組織が構成された。心筋症の診断基準については、1980年のWHO/ISFC合同心筋症定義分類委員会の勧告を受け、1986年本厚生省特定疾患調査研究班において「特発性心筋症診断の手引き」として作成された。しかし、診断や治療法に多くの進捗が見られ、1995年WHO/ISFC合同委員会でも改訂が行われた。その後も、本研究班では、難病医学研究財団と共同で、Web-siteの充実を図り、かつ、各都道府県での調査票の充実を介し、特発性心筋症の診断と治療について、ガイド
ラインを提供して来た。さらに、各都道府県における登録業務を簡素化し、かつ、臨床調査個人票の臨床的活用のため、特発性心筋症臨床調査個人票(新規、継続用)を改定し、厚生労働省に提出した。また、診断基準の見直しを含めた「特発性心筋症診断の手引き」の作成のため、拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、ミトコンドリア病、心ファブリー病、家族性突然死症候群、ARVC、たこつぼ型心筋症などについて分担し、各々について、診断の手引き(案)を策定した。難病研究センターホームページを改訂し、民間・専門医からの問い合わせに対する回答をおこなった。本年度は、疫学研究班との疫学調査継続の確認に加え、2回の班会議を開催し、病因解析、診断、治療に関する研究を進めた。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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