子どもの事故防止と市町村への事故対策支援に関する研究(総合研究報告書)

文献情報

文献番号
200200383A
報告書区分
総括
研究課題名
子どもの事故防止と市町村への事故対策支援に関する研究(総合研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
田中 哲郎(国立保健医療科学院)
研究分担者(所属機関)
  • 佐原康之(和歌山県福祉保健部)
  • 羽鳥文麿(千葉県こども病院麻酔科集中治療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国における子どもの事故の実態を明らかにし、その防止を検討することおよび事故防止対策を全ての市町村の事業として実施するためにはどのように支援することが望ましいかを検討すること。
研究方法
各課題解決に最も適切な方法にて行った。詳細については各報告書を参照されたい。
結果と考察
子どもの事故は0歳を除く小児期の死因順位の第一位を占め、21世紀の初頭に解決をせまられる小児保健上の重要な課題である。このことは「健やか親子21」においても取りあげられている。しかし、今回の行政サイドの取り組み状況の調査結果では、子どもの事故防止対策協議会については、設置が43都道府県中2件(4.3%)、今のところ設置予定のなしが34件(72.3%)であった。この理由としては、他に優先順の高い事業があるが21件(70.0%)、予算が厳しいが15件(50.0%)、法的根拠がないが9件(36.7%)などであった。また、事故防止センターについてもほぼ同様な結果であり、必ずしも行政の対応は十分ではなかった。しかし、全国をカバーする事故防止センターについては57.4%が必要と回答していた。
子どもの事故対策は①保護者への事故防止知識の啓発、②子どものへの安全教育、③法的規制、④事故防止技術の開発などがあげられるが、保健医療関係者の関与可能な部分は①-③であり、中でも①、②が重要とされる。①に関しては今まで開発された事故防止プログラムを組み合わせて行うことが重要と考えられ、北九州地域で2年間かけ介入研究を開始した。また、子どもへの安全教育では、昨年度開発されたプログラムについて保育園にて評価を行い、有効との結果が得られた。同方法は安全教育以外にも、幼児教育全般で実施可能と考えられた。
今後事故防止を効果的に行うためのサーベイランスが必要であることより、この方法について、わが国で実施可能な方法を開発し、パイロットスタディを行い実用可能な方式を確立できた。
事故の発生時等に必要となる心肺蘇生法を全ての保護者が実施可能にするための講習内容の検討を行った。これにより、理解が難しい点が明らかになったことより、これらを改善する試案を作成した。今後、この試案により講習を実施し、より効果的な講習会が実施できるようになると思われる。
また、都道府県別の事故の現状を明らかに出来たことにより、行政担当者の事故防止に対する重要性の認識が高まり、対策の必要性についてより理解できるものと思われる。
今年度の研究により、子どもの事故防止対策の重要性と実施のための環境が整備されてきたと考える。
結論
今年度の調査では「健やか親子21」において事故対策がうたわれているものの、事故対策議会の設置など行政の取り組みは十分でないことが明らかになった。
また、本年度の研究により、安全教育やサーベイランス方法等の開発、評価などについては大いに前進したと思われる。
今後、これらの事故防止方法をどのように広く定着させるかが大きな課題と考えられた。

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