文献情報
文献番号
200200136A
報告書区分
総括
研究課題名
医療施設調査及び病院報告データの在り方に関する研究(研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
藤本 眞一(県立広島女子大学生活科学部人間福祉学科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 統計情報高度利用総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
4,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医療施設動態調査と病院報告の情報内容は本来整合がとれたものであるべきが、矛盾する内容が報告されることは、現実として頻発していることである。そこでこれらの矛盾を都道府県段階でデータベース化により回避するシステムを構築することは有意義であり、データベース化により行政事務の一層の効率化に有用であると考えられる。そこで、都道府県の医療施設調査及び病院報告データのデータベース化により可能となる効率的な行政調査システムを確立するために、医療施設調査及び病院報告の在り方を提言することを目的とし、その目的達成のために、地方自治体における入力により国に統計報告を行うための支援システム開発、地方自治体における医療施設情報等の一元化管理状況等の実態把握、さらには、病院報告及び医療施設動態調査の「調査の流れ」について、地方自治体を含んだ医療施設情報の業務の流れを開放型分散処理参照モデル(RM-ODP)(参考資料1)を用いて分析すること等に取り組んだ。
研究方法
今年度は、次の四点について検討を行った。1.医療情報システムのアクセス・プログラムの試用状況調査:昨年度、厚生科学研究「都道府県における厚生統計調査の利便性に資するデータベースの在り方に関する研究」班(主任研究者 藤本眞一)で開発したAccess2000による医療情報システム・プログラムについて、実際に都道府県庁や保健所で使用するに当たっての課題を検討・整理した。2.医療情報システムのエクセル・プログラム開発と試用状況調査: 地方自治体に広く普及させるため、Excel97によるプログラム開発を行った。3.医療施設のデータベースと電子化の基盤整備の状況に関するアンケート調査:地方自治体の医療施設情報データの一元的管理の実態や、使用しているパソコンのOSやソフト等の状況を把握することは、一元化したシステムを導入する際に重要な内容である。それらの内容を把握するため、各都道府県・政令指定都市・中核市・保健所設置市・区の合計123の保健統計主管課(室)長に対して、医療施設のデータベースと電子化の基盤整備の状況について13項目のアンケート調査を実施した。4.病院報告及び医療施設動態調査の「調査の流れ」についての業務分析:開発したプログラムを使用するのは地方自治体の職員であり、職員が行っている業務内容を把握することも、データベースが円滑に運用されるために必要である。そこで、研究協力者の所属する山梨県甲府保健所の業務内容を用いて、開放型分散処理参照モデル(RM-ODP)を用いた統計業務分析を行った。
結果と考察
1.アクセス・プログラムの試用状況調査:昨年度開発した電算入力システムを研究協力者により詳細に試験運用した。その結果、審査や管理の一元化が図られることにより、煩雑な審査業務の事務量削減等の利点があった。しかしながら、保健所等の現場でこのプログラムを利用するに当たって、Access2000がいずれの保健所でも利用できるかが疑問であることが指摘された。またこの種のシステムは、総合メニューによる作業選択などの作りこみを行うべきではない等の欠点が指摘され、MS Excelファイルのような単純な入力用ファイルを用いるほうが望ましいと我々は考えた。Excelは、様々な開発ヴァージョンがあるが、Windows95がパーソナル・コンピュータの爆発的普及を促した実績を評価し、その時点で動作しているExcelのヴァージョンならば、ほとんどすべての地方自治体職員が利用できるプログラムとなるので、医療施設調査や病院報告に関係する地方自治体全てに利用を促すためには、Excel97が最適であると結論づけた。また、プログラム開発と同時に、データを取り扱う都道府県の医療施設情報の
実態についても、医療施設情報等の一元化管理状況等の実態把握と同時に把握すべきとされた。2.エクセル・プログラム開発と試用状況調査:Excel97によるプログラムを開発した。またこのプログラムをそれぞれの研究協力者の所属する組織内でデータを入力することにより試用し、今後の改善点について把握した。今後保健所で必要となる要件や詳細な改善点を把握した。またオープンソース・ソフトで無料配布可能な表計算ソフトによるシステム構築が将来的に望ましいとの提案もあったが、現状のパソコン普及実態を考慮すると、全体として、Excel97プログラムはほとんど全ての地方自治体で汎用性があり、図表の作成機能の充実度など、Excelの機能の充実度を意識しても、Excelでの開発が望ましい。今後、来年度へ向けて、改善点をプログラムに盛り込み完成させることにより、地方自治体のデータベースの一元化に寄与できる可能性が期待できると考える。3.医療施設のデータベースと電子化の基盤整備の状況に関するアンケート調査:保健所を設置する123自治体のうち、107自治体から回答があった。データベースの基本情報は、病院については、約8割の自治体が「医療法上の申請・届出等を基本」と回答したが、東京都特別区では、東京都で一括して管理しているため、病院のデータベースを持っていないと回答したところがほとんどであった。診療所では、ほとんど大半が「医療法上の申請・届出等を基本」と回答した。データベースの一元的な管理の可能性については、2割弱が既に一元的管理システムを導入し、約1割が今後検討するとしている一方、今後も不可能であると回答しているところが約半数にのぼった。医療施設所管課等におけるデータベースの構築については病院・診療所両方とも、作成しているところが約2割であった。医療施設動態調査の調査票作成場所はほとんどが保健所で記入・作成されていた。医療施設動態調査の調査票の突合やデータベースの更新頻度は、その都度または月1回程度であった。データベースの電子媒体化は、病院で約2/3、診療所で8割弱であった。データベースの利用ソフトは、約半数がExcelで、約3割がAccessであった。独自開発したソフトもいくつかみられた。ExcelはExcel2000によるものが大半であったが、Excel97によるものもまだ多かった。本庁のコンピュータOSはMicrosoftのWindowsがベースであった。本庁と保健所が異なるOSであるところでは、保健所のコンピュータの導入時期により、様々になっていた。データベースの一元的な管理については、現状では不可能としている自治体が多いことや、医療施設所管課等におけるデータベースの状況がよくわからないという現状があることから、ある程度汎用性のある簡易ソフトを構築することにより、地方自治体の一元的な管理を支援する必要がある。汎用ソフトとしては、Excelが望ましいと思われる。また、東京都特別区の病院のデータベースは、東京都により構築されていることが判明した。これは、病院に関して医療法上の開設許可権限が、特別区ではなく東京都にあることに起因していると思われる。しかしながら、特別区が管轄している所管区域の病院の情報を特に把握しておらず一元化できないことは、問題がないとは言えないので、今後何らかのデータベース共有等の検討が必要であると思われる。4.病院報告及び医療施設動態調査の「調査の流れ」についての業務分析:RM-ODPを用いて保健所における医療施設統計業務に関するエンタープライズ・ビューポイント・モデルを開発した。その結果、責任者、担当者、調査票、台帳、医療施設ファイルの5つのエンタープライズ・オブジェクトが抽出された。また、担当者に関して9つのroleが抽出された。今後、モデルの詳細化と、医療施設、都道府県等における業務の分析が必要である。
実態についても、医療施設情報等の一元化管理状況等の実態把握と同時に把握すべきとされた。2.エクセル・プログラム開発と試用状況調査:Excel97によるプログラムを開発した。またこのプログラムをそれぞれの研究協力者の所属する組織内でデータを入力することにより試用し、今後の改善点について把握した。今後保健所で必要となる要件や詳細な改善点を把握した。またオープンソース・ソフトで無料配布可能な表計算ソフトによるシステム構築が将来的に望ましいとの提案もあったが、現状のパソコン普及実態を考慮すると、全体として、Excel97プログラムはほとんど全ての地方自治体で汎用性があり、図表の作成機能の充実度など、Excelの機能の充実度を意識しても、Excelでの開発が望ましい。今後、来年度へ向けて、改善点をプログラムに盛り込み完成させることにより、地方自治体のデータベースの一元化に寄与できる可能性が期待できると考える。3.医療施設のデータベースと電子化の基盤整備の状況に関するアンケート調査:保健所を設置する123自治体のうち、107自治体から回答があった。データベースの基本情報は、病院については、約8割の自治体が「医療法上の申請・届出等を基本」と回答したが、東京都特別区では、東京都で一括して管理しているため、病院のデータベースを持っていないと回答したところがほとんどであった。診療所では、ほとんど大半が「医療法上の申請・届出等を基本」と回答した。データベースの一元的な管理の可能性については、2割弱が既に一元的管理システムを導入し、約1割が今後検討するとしている一方、今後も不可能であると回答しているところが約半数にのぼった。医療施設所管課等におけるデータベースの構築については病院・診療所両方とも、作成しているところが約2割であった。医療施設動態調査の調査票作成場所はほとんどが保健所で記入・作成されていた。医療施設動態調査の調査票の突合やデータベースの更新頻度は、その都度または月1回程度であった。データベースの電子媒体化は、病院で約2/3、診療所で8割弱であった。データベースの利用ソフトは、約半数がExcelで、約3割がAccessであった。独自開発したソフトもいくつかみられた。ExcelはExcel2000によるものが大半であったが、Excel97によるものもまだ多かった。本庁のコンピュータOSはMicrosoftのWindowsがベースであった。本庁と保健所が異なるOSであるところでは、保健所のコンピュータの導入時期により、様々になっていた。データベースの一元的な管理については、現状では不可能としている自治体が多いことや、医療施設所管課等におけるデータベースの状況がよくわからないという現状があることから、ある程度汎用性のある簡易ソフトを構築することにより、地方自治体の一元的な管理を支援する必要がある。汎用ソフトとしては、Excelが望ましいと思われる。また、東京都特別区の病院のデータベースは、東京都により構築されていることが判明した。これは、病院に関して医療法上の開設許可権限が、特別区ではなく東京都にあることに起因していると思われる。しかしながら、特別区が管轄している所管区域の病院の情報を特に把握しておらず一元化できないことは、問題がないとは言えないので、今後何らかのデータベース共有等の検討が必要であると思われる。4.病院報告及び医療施設動態調査の「調査の流れ」についての業務分析:RM-ODPを用いて保健所における医療施設統計業務に関するエンタープライズ・ビューポイント・モデルを開発した。その結果、責任者、担当者、調査票、台帳、医療施設ファイルの5つのエンタープライズ・オブジェクトが抽出された。また、担当者に関して9つのroleが抽出された。今後、モデルの詳細化と、医療施設、都道府県等における業務の分析が必要である。
結論
1.昨年度作成のプログラムは、比較的使用しやすいが、地方自治体のAccess普及の状況等により、Excelによる開発が、自治体により受け入れやすく、また普及しやすいと思われる。2.Excel97によるプログラム開発を実施し、試用した。その試用結果に基づき、実際に保健所等のデ
ータ入力を実施している現場で使用できる最終ヴァージョン開発を来年度目指すこととしたい。3.「医療施設動態調査」及び「病院報告」について、都道府県等の地方自治体が電子化された媒体を活用して、どの程度円滑かつ合理的な統計報告に利用しているかを追求するため、地方自治体の現状・実態を把握した。その結果、汎用性のある簡易ソフト(たとえばExcelなど)を構築することにより、地方自治体の一元的な管理を支援する必要があることや、東京都特別区の病院のデータベースは、東京都により構築されているが、今後、特別区においても、何らかのデータベース共有等の検討が必要であると思われること、が把握された。4.RM-ODPを用いて保健所における医療施設統計業務に関するエンタープライズ・ビューポイント・モデルを開発した。責任者、担当者、調査票、台帳、医療施設ファイルの5つのエンタープライズ・オブジェクトが抽出された。また、担当者に関して9つのroleが抽出された。今後、モデルの詳細化と、医療施設、都道府県等における業務の分析が必要である。
ータ入力を実施している現場で使用できる最終ヴァージョン開発を来年度目指すこととしたい。3.「医療施設動態調査」及び「病院報告」について、都道府県等の地方自治体が電子化された媒体を活用して、どの程度円滑かつ合理的な統計報告に利用しているかを追求するため、地方自治体の現状・実態を把握した。その結果、汎用性のある簡易ソフト(たとえばExcelなど)を構築することにより、地方自治体の一元的な管理を支援する必要があることや、東京都特別区の病院のデータベースは、東京都により構築されているが、今後、特別区においても、何らかのデータベース共有等の検討が必要であると思われること、が把握された。4.RM-ODPを用いて保健所における医療施設統計業務に関するエンタープライズ・ビューポイント・モデルを開発した。責任者、担当者、調査票、台帳、医療施設ファイルの5つのエンタープライズ・オブジェクトが抽出された。また、担当者に関して9つのroleが抽出された。今後、モデルの詳細化と、医療施設、都道府県等における業務の分析が必要である。
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