第三者評価における評価調査者の確保と資質の向上に関する研究

文献情報

文献番号
200200106A
報告書区分
総括
研究課題名
第三者評価における評価調査者の確保と資質の向上に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 弘人(国立保健医療科学院)
研究分担者(所属機関)
  • 橋本廸生(日本医療機能評価機構)
  • 菅原浩幸(日本医療機能評価機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
-
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療施設の第三者評価調査の推進を目的として、評価調査者の量的充足状況を測定するとともに、全国の病院管理経験者や病院管理分野の研究者を対象に評価調査者養成初任時研修を実施した。さらに平成14年9月より開始された病院機能評価結果の情報提供に対する意識調査を行った。
研究方法
(1)評価調査者の稼動状況の分析と初任時養成研修の実施では、現任の評価調査者について過去1年間の訪問審査参加回数を抽出し、担当領域別に分布を検討した。また種別によりサーベイチームの人数が異なるため、平均サーベイヤー数を算出した。一方、評価機構の中長期計画より今後の受審病院数予測を行い、サーベイヤーの充足状況を推定した。(2)評価調査者養成計画を策定し、評価調査者の資格要件、必要養成人数、養成プログラムなどを検討した。2003年2月に資格要件を満たした109名に対し初任時研修を実施した。(3)病院機能評価結果の情報提供に関するアンケートの実施では、受審病院および評価調査者が病院機能評価の情報提供をどのように認識しているかを把握するため、アンケート調査を実施した。
結果と考察
(1)評価調査者の稼動状況の分析と初任時養成研修の実施については、日本医療機能評価機構が委嘱しているサーベイヤー(全国577名)で、年間訪問審査可能回数はおよそ2300人・回であった。1回の審査について平均約5名のサーベイヤーが必要となるところから、現状における審査可能病院数は約460病院と推定された。平成14年度の受審見込み数は400病院であり、今年度に関しては対応可能であるが、次年度以降は認定更新病院が増加することなど、約600病院の申し込み数が予想されており、需要過多の状況に陥ることが推定された。(2)対策として、サーベイヤー一人当たりの訪問審査回数の増加、およびサーベイヤーの新規養成が考えられるので、まず、評価調査者個々への働きかけを行い訪問審査への参加を促した。具体的には、年間の訪問審査回数が0回、1回などの非活動的なサーベイヤーを対象に研修を行った。しかしながら研修そのものに対する積極的な参加が見られず、十分な効果が得られなかった。したがって根本的な対策として評価調査者の新規養成が必要と考えられた。そこで、評価調査者の量的充足を主眼として全国の病院管理経験者や病院管理分野の研究者を対象に評価調査者養成初任時研修を実施した。初任時研修の結果、新たに108名の評価調査者を養成することができた。しかしながら、従来と同様年間平均稼動回数が4回程度であると、2割ほどの訪問審査能力増にとどまってしまう。受審申込は新規・更新を含めると前年度比5割近くの増加を見込んでおり、やはり相対的な評価調査者不足の状況が継続することが予想された。そこで、平均年間稼動回数増加のための方策を検討するとともにさらなる評価調査者養成が今後の課題である。(3)病院機能評価結果の情報提供に関するアンケートの実施については、サーベイヤーについては対象者577名のうち301名(52.2%)、受審病院は対象病院817病院のうち552病院(67.6%)から回答を得た。サーベイヤー、受審病院とも病院機能評価結果の情報提供に社会的意義や医療の質向上への意欲が高まるなど、肯定的な認識を有していることが確認された。情報提供の事務手数料について妥当な金額を尋ねたところ、受審病院は「無料」が45%を占めているのに対し、サーベイヤーは「3万円以上5万円未満」が28%、「1万円以上3万円未満」が25%と、1万円から5万円程度の事務手数料が必要とする意見が半数を超えた。これは受審病院はコスト意識が強く、サーベイヤーは情報提供についての付加価値を強く意識していることの
反映と考えられた。
結論
評価調査者の量的充足は、病院機能の第三者評価を社会的に普及していく上で今後とも重要な課題である。なかでも一人当たりの訪問審査参加回数増加には限界があるため、受審病院数の増加に見合うように新規養成によってサーベイヤー人数を増加する中長期的な対策が必要である。また、必要に応じて資格要件や養成プログラムを見直すなど、サーベイヤー質向上のための総合的なプログラムが必要である。さらに、病院機能評価結果の情報提供について受審病院、サーベイヤーともに肯定的な結果が得られた。サーベイヤーには、コ民に対する情報提供を念頭に置いた報告書作成能力が今後求められる。

公開日・更新日

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