総合的な地域保健サービスの提供体制に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200101017A
報告書区分
総括
研究課題名
総合的な地域保健サービスの提供体制に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
北川 定謙(埼玉県立大学)
研究分担者(所属機関)
  • 正宗弘道(埼玉県狭山保健所)
  • 黒田基嗣(和歌山県高野口保健所)
  • 岩間真人(静岡県中部健康福祉センター)
  • 仲宗根正(沖縄県北部保健所)
  • 宇治光治(福岡県嘉穂保健所)
  • 岡田尚久(島根県出雲保健所)
  • 清水昌好(兵庫県和田山保健所)
  • 惠上博文(山口県柳井環境保健所)
  • 圓山誓信(大阪府吹田保健所)
  • 重本弘文(熊本県天草地域振興局保健福祉環境部)
  • 藤田信(静岡県志太榛原健康福祉センター)
  • 内野英幸(長野県大町保健所)
  • 平野かよ子(国立公衆衛生院)
  • 尾島俊之(自治医科大学)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究事業
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
平成14(2002)年度
研究費
39,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、医療圏をベースとした総合的な地域保健サービスを推進しながら、その中で生ずる具体的な問題点を分析整理し、各保健所等における事業推進及び人的資源の配置等のための参考に資することを目的としている。
研究方法
「地域保健モデル事業」(下記(1)~(12))では、12府県の分担研究者(主として保健所長)が、それぞれのモデル地域(原則として医療圏をベース)を選定し、地域保健に関する特定の課題を定め、その解決のための体制を構築し、具体的に事業を推進し、問題点を明らかにするものである。また、「保健婦の活動及び配置の在り方」(下記(13)~(14))では、地域保健対策を担う人的資源の中で、特に保健婦・士について、平成14年度に市町村にサービスの一部が委譲される予定である精神保健福祉対策に焦点をあて、市町村と保健所の役割と連携の方策について検討するとともに、具体的な保健婦・士の活動と配置の在り方を明らかにするものである。
結果と考察
本研究は、具体的なシステムづくりを指向しており、各分担研究の概要については以下のとおりである。(1)小児救急医療確保のための管内各市及び民間医療施設を包括する連携システムに関するモデル事業:小児科の医療資源が極めて少ない都市型医療圏をモデルとして、核となる二次救急医療機能確保の方法を確立し、実際に整備を行い、その評価を行い整備方向の見直し等の検討を行った。(2)小児難病の保健・医療・福祉の総合的ケアシステムの構築を目指したモデル事業:小児難病に対する保健・医療・福祉を含めた総合的なサービスを目指し、県子ども保健福祉相談センターを中心として、地域での療養を支援する総合的なシステムづくりについて検討を行った。(3)災害時における難病患者支援ネットワーク整備モデル事業:災害時における難病患者支援のために、患者・家族の会、消防、警察、保健所、市町村が一体となったネットワークを構築し、難病患者の実態調査と難病手帳(緊急医療手帳)の作成を行った。(4)障害児の総合的な保健・福祉サービスの実態と今後の在り方に関するモデル事業:地域療育のあり方を関係者や当事者(保護者)を含めて検討し、新しい療育システムづくりを行った。(5)心身障害児の療育システムに関するモデル事業:心身障害児に対する療育の拠点がない管内における療育システムの構築をしその充実を図った。(6)長期入院患者(社会的入院)の在宅支援推進モデル事業:精神障害者対策は入院中心ケアから地域社会でのケアという流れになっているが、長期入院患者の割合は減少しておらず、社会的入院患者を在宅に帰するために、地域の受け皿づくりや関係機関による長期入院患者支援ネットワークづくりのための地域的要因を探った。(7)広域的障害児(者)ケアシステムの構築:障害児(者)のケア施設等の少ない西南但馬地域における新たなケア施設等の設置とケア資源の連携を目的とし、広域的な心身障害児ケアシステム(小児リハビリテーションシステム)及び精神障害者社会復帰支援システムの構築のための検討を行った。(8)地域リハビリテーション連携システムの整備支援モデル事業:在宅医療・介護の推進及び医療・介護保険の安定的な運営に資するため、全国一高
齢化町を抱える管内において、地域リハビリサービスの連携システムの整備のため、訪問リハビリに係わる連携強化策を検討した。(9)保健所の企画調整機能の評価に関するモデル事業~地域づくりと地域リハビリテーションシステムの構築を目指して~:健康づくり施策や地域リハビリテーションシステム事業等を通して、保健所における企画調整機能を評価し、あわせて、市町村をはじめとした地域の保健、医療、福祉等の関係機関のネットワークを構築するための保健所の果たすべき役割について研究を行った。(10)痴呆対策を主眼としたサービスの提供体制に関するモデル事業:県内でも最も高齢化が著しい地域において、痴呆予防のための疫学研究と事業の効果測定を通して、痴呆に対する総合的なサービスの提供体制の構築を図るため管内市町村への普及システム構築のために痴呆予防事業を実施した。(11)児童・生徒の防煙対策の焦点を明らかにするモデル事業:管内の学校と共催し、調査を通して、防煙対策を実施する上での課題、問題点、対策の焦点を明らかにして、施策を提言するために、介入研究による喫煙防止教育を実施した。(12)思春期の望まぬ妊娠・性感染症予防のためのモデルプログラム開発と評価に関するモデル事業:21世紀を担う若者が思春期の時期に望まぬ妊娠・性感染症を予防するための行動に繋がるような教育のあり方を考えるためのモデルプログラムを開発し、保健教育での連携や実践を行い、効果的な教育技法の確立を目指した。(13)これからの地域保健福祉対策に従事する保健婦の活動の在り方に関する研究:平成14年度から市町村に精神保健福祉対策の福祉サービスが委譲されることをふまえ、精神保健福祉対策における市町村と保健所の役割と連携方策及び保健婦の活動について検討を行った。(14)これからの地域保健福祉対策に従事する保健婦の配置の在り方に関する研究:地域保健福祉関連対策の現状と課題をふまえ、精神保健福祉対策における必要保健婦数及び地域保健福祉対策全体における保健婦の配置のあり方を検討した。また、これからの地域保健福祉対策にかかる人的資源を算定する方法論を明らかにした。
結論
この研究は3年計画で進められているものであり、3年計画の2年目では、前述に示たとおり、各々の地域における各種個別的事業あるいは総合的事業の具体的推進を図ったところである。次年度は、さらに具体的な事業展開とその評価を加え、分担研究者ごとに研究を進めるとともに、各研究者の情報共有化を図るため、研究班会議を必要に応じて開くことにより総合的な地域保健のモデル事業として発展をさせていく計画である。

公開日・更新日

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