文献情報
文献番号
200100903A
報告書区分
総括
研究課題名
生活用品、対策品の化学物質の発生と除去特性に関する研究
研究課題名（英字）
-
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
野﨑 淳夫(東北文化学園大学)
研究分担者(所属機関)
- 池田耕一(国立公衆衛生院)
- 堀 雅宏(横浜国立大学)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 生活安全総合研究事業
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
31,525,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書（概要版）
研究目的
ホルムアルデヒドやVOCなどの化学物質の室内発生源は、多岐にわたり、居住者により室内に持ち込まれた化粧品、芳香剤、カーテン、家具、洗剤・ワックス、家電用品、ホビー用品などの生活用品も軽視できない発生源として指摘されている。また、近年では、室内空気汚染問題に対応した新しい建築材料や除去装置、すなわち対策品が市場に出現しつつある。例えば、建材の下地材からの揮散防止を目的としたバリアー性の高いシール形材料、除去効果の持続性、分解生成物の有無など不明な点が多い。従って、総括的な室内濃度予測、換気設計法を実現する際の資料を得ることが、現状ではできない。加えて、化学物質に対する除去特性の試験・評価法も確立していない現状にある。
そこで、本研究では、1)生活用品の発生量、発生特性を把握し、2)対策品(多孔質材料、炭製品などや、空気清浄機、オゾン脱臭機、家庭用換気装置などの除去装置)の化学物質除去特性とその限界を実験的に明らかにするものである。次に、3)本実験に関わる適切な試験・評価法を確立し、4)汚染物質(ホルムアルデヒド、トルエン、ベンゼン、キシレン類、p‐ジクロロベンゼン等)の各種ガイドライン値(案)と照合して総括的な室内濃度予測法、換気設計法を提案するものである。
結果として、生活用品の化学物質許容発生量が明確となり、適切な使用方法、製品開発時の資料として利用することができる。また、対策品の除去効果を知ることは、室内浄化設計法を確立する場合の有用な資料になる。両者は、高濃度の室内化学物質濃度の出現を回避できる工学的防止対策に道を拓くものである。
本年度の研究内容は、1)基礎的な試験・評価法を提案し、これに準じた実験システムを構築する。次に、2)生活用品からの化学物質の発生量、3)対策品の化学物質の除去特性について実験室実験を行うものである。2)では、生活用品の中から、塗料、ホビー製品(スプレー式塗料)、化粧品、衣料品、防虫剤・殺虫剤、造作家具を測定対象とし、化学物質の発生量について求めるものである。また、3)の対策品の中から消臭剤、空気清浄機、畳を評価対象とし、実験室実験、及び実測調査を行い、これらの対策品の化学物質の除去特性について明らかにするものである。さらに化学物質を除去できる有効な床下換気システムを開発することを目的とした。
そこで、本研究では、1)生活用品の発生量、発生特性を把握し、2)対策品(多孔質材料、炭製品などや、空気清浄機、オゾン脱臭機、家庭用換気装置などの除去装置)の化学物質除去特性とその限界を実験的に明らかにするものである。次に、3)本実験に関わる適切な試験・評価法を確立し、4)汚染物質(ホルムアルデヒド、トルエン、ベンゼン、キシレン類、p‐ジクロロベンゼン等)の各種ガイドライン値(案)と照合して総括的な室内濃度予測法、換気設計法を提案するものである。
結果として、生活用品の化学物質許容発生量が明確となり、適切な使用方法、製品開発時の資料として利用することができる。また、対策品の除去効果を知ることは、室内浄化設計法を確立する場合の有用な資料になる。両者は、高濃度の室内化学物質濃度の出現を回避できる工学的防止対策に道を拓くものである。
本年度の研究内容は、1)基礎的な試験・評価法を提案し、これに準じた実験システムを構築する。次に、2)生活用品からの化学物質の発生量、3)対策品の化学物質の除去特性について実験室実験を行うものである。2)では、生活用品の中から、塗料、ホビー製品(スプレー式塗料)、化粧品、衣料品、防虫剤・殺虫剤、造作家具を測定対象とし、化学物質の発生量について求めるものである。また、3)の対策品の中から消臭剤、空気清浄機、畳を評価対象とし、実験室実験、及び実測調査を行い、これらの対策品の化学物質の除去特性について明らかにするものである。さらに化学物質を除去できる有効な床下換気システムを開発することを目的とした。
研究方法
1)生活用品からの化学物質発生量と発生特性の解明と試験法・評価法の確立
生活用品、対策品からの化学物質発生量、発生特性を求めるため、室内環境条件(温度、湿度、気流、換気量)を制御できるチェンバーを作製した。尚、実験チェンバーは、東北文化学園大学に建設された2つの人工気象室内に設置したものである。生活用品(化粧品、衣類、家具、芳香・消臭剤、ホビー用品(スプレー式塗料)等)をチャンバー内に挿入し、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等)とVOCの発生量、発生特性を求めた。また、これらの物品に対する試験・評価法を具体的に提案し、これに基づいた物品毎の特性値を明らかにした。さらに、畳のVOCに対する除去効果を求めた。
2)対策品の室内化学物質除去特性とその効果
対策品や対策装置の効果を実験的に求めた。特に、有効な家庭用換気システムの開発に資する基礎的研究を行い、室内化学物質を有効に排出する床下換気システムを開発した。また、家庭用空気清浄機に関して、化学物質の除去特性に関する試験法・評価法を確立し、最新の空気清浄機のホルムアルデヒド除去特性を明らかにした。
生活用品、対策品からの化学物質発生量、発生特性を求めるため、室内環境条件(温度、湿度、気流、換気量)を制御できるチェンバーを作製した。尚、実験チェンバーは、東北文化学園大学に建設された2つの人工気象室内に設置したものである。生活用品(化粧品、衣類、家具、芳香・消臭剤、ホビー用品(スプレー式塗料)等)をチャンバー内に挿入し、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等)とVOCの発生量、発生特性を求めた。また、これらの物品に対する試験・評価法を具体的に提案し、これに基づいた物品毎の特性値を明らかにした。さらに、畳のVOCに対する除去効果を求めた。
2)対策品の室内化学物質除去特性とその効果
対策品や対策装置の効果を実験的に求めた。特に、有効な家庭用換気システムの開発に資する基礎的研究を行い、室内化学物質を有効に排出する床下換気システムを開発した。また、家庭用空気清浄機に関して、化学物質の除去特性に関する試験法・評価法を確立し、最新の空気清浄機のホルムアルデヒド除去特性を明らかにした。
結果と考察
本年度は、1)基礎的試験・評価法を提案し、これに準じた実験システムを構築した。2)生活用品からの化学物質の発生量、3)対策品の化学物質の除去特性について実験室実験を行った。2)では、生活用品の中から、ホビー製品(スプレー式塗料)、化粧品、衣料品、防虫剤・殺虫剤、家具を測定対象とし、化学物質の発生量について求めた。また、3)の対策品においては、消臭剤、空気清浄機、畳の化学物質の除去効果について明らかにした。さらに化学物質を除去できる有効な床下換気システムについて、検討を行った。
来年度は、特に、家具電化製品、ワックス、水性ペイントからの発生と、炭製品、多孔質材料の吸着・分解反応による除去特性を明らかにし、同時に、光触媒、オゾンによる分解反応を利用した除去装置(脱臭機、空気清浄機)と有望な換気装置(床下換気装置等)について、除去特性(有効性)とその限界を明らかにするものである。また、分解反応等で生じた副生成物の有無を検証し、製品の実用性について明らかにするものとする。
来年度は、特に、家具電化製品、ワックス、水性ペイントからの発生と、炭製品、多孔質材料の吸着・分解反応による除去特性を明らかにし、同時に、光触媒、オゾンによる分解反応を利用した除去装置(脱臭機、空気清浄機)と有望な換気装置(床下換気装置等)について、除去特性(有効性)とその限界を明らかにするものである。また、分解反応等で生じた副生成物の有無を検証し、製品の実用性について明らかにするものとする。
結論
本研究では、以下の知見が得られた。
1)生活用品の化学物質の発生、及び対策品の化学物質の除去特性に関する試験・評価法を提案した。また、これに準じた実験システムを作製した。
2)アクリル系(水溶性合成樹脂、合成樹脂)、ビニル系、シリコン系、ウレタン樹脂系、ニトロセルロース系のスプレー式塗料からのVOC組成と発生量を求めた。
3)理・美容所で用いられている化粧品からのホルムアルデヒド及びVOC発生量、並びにVOC組成について、実測調査と実験室実験により把握した。
4)衣料品からのホルムアルデヒド及びVOC発生量並びにVOC組成について、溶出量試験と発生量試験により把握した。
5)ピレスロイド系殺虫剤の実態究明を目的とした測定法の開発を行った。
6)消臭剤の化学物質の発生とその除去効果を明らかにした。
7)家庭用空気清浄機のホルムアルデヒド除去特性について、相当換気量を用いた試験・評価法を提案し、その除去効果について明らかにした。
8)畳の化学物質除去特性について、定常法による測定・評価法を提案し、VOC(トルエン、キシレン類、エチルベンゼン、p-ジクロロベンゼン、ベンゼン)に対する除去特性を明らかにした。
1)生活用品の化学物質の発生、及び対策品の化学物質の除去特性に関する試験・評価法を提案した。また、これに準じた実験システムを作製した。
2)アクリル系(水溶性合成樹脂、合成樹脂)、ビニル系、シリコン系、ウレタン樹脂系、ニトロセルロース系のスプレー式塗料からのVOC組成と発生量を求めた。
3)理・美容所で用いられている化粧品からのホルムアルデヒド及びVOC発生量、並びにVOC組成について、実測調査と実験室実験により把握した。
4)衣料品からのホルムアルデヒド及びVOC発生量並びにVOC組成について、溶出量試験と発生量試験により把握した。
5)ピレスロイド系殺虫剤の実態究明を目的とした測定法の開発を行った。
6)消臭剤の化学物質の発生とその除去効果を明らかにした。
7)家庭用空気清浄機のホルムアルデヒド除去特性について、相当換気量を用いた試験・評価法を提案し、その除去効果について明らかにした。
8)畳の化学物質除去特性について、定常法による測定・評価法を提案し、VOC(トルエン、キシレン類、エチルベンゼン、p-ジクロロベンゼン、ベンゼン)に対する除去特性を明らかにした。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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