病態像に応じた精神科リハビリテーション療法の研究

文献情報

文献番号
200100312A
報告書区分
総括
研究課題名
病態像に応じた精神科リハビリテーション療法の研究
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
長瀬 輝諠(医療法人社団東京愛成会高月病院)
研究分担者(所属機関)
  • 浅井邦彦(医療法人社団清和会浅井病院)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 障害保健福祉総合研究事業
研究開始年度
平成12(2000)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
A班「急性期入院患者に対する精神科リハビリテーション療法の研究」では、研究協力者12病院に新たに入院した分裂病及び感情病(ICD-10で診断)の患者に、インフォームドコンセントに基づいて本人の了解を得てケースマネジメントを開始し、一定のプログラムの精神科リハビリテーション療法を実施することにより、病識の獲得、退院の促進、再発の防止等の効果を測定することを目的とする。退院後1~2年間の追跡調査をマネジメント群(対象群)と非マネジメント群(コントロール群)について行い、両群を比較して、GAF尺度の改善等で評価する。これにより体系的な急性期リハビリテーション療法の有効性が確認されれば、新たな精神科専門療法として位置づけ、早期の退院と入院の長期化の防止策として役立てるとが期待される。更に、B班 「精神科デイケア、デイ・ナイトケアの治療的機能と機能分担に関する研究」では、全国のデイケア施設へのアンケート調査を実施し、病院併設の精神科デイケアと診療所併設のデイケアの実体を明らかにすることにより両者の役割分担を明確にし、病院併設の精神科デイケアにおける今後の改善すべき点や診療所併設のデイケアを含めた他の社会的資源との有機的な連携のあり方を模索、検討することを目的としている。
研究方法
A班①研究登録者の属する12病院に平成12年9月1日以降に入院する精神分裂病患者を全員登録する。登録期間は、平成12年9月1日~平成13年2月18日の6ヶ月間とする。各病院の登録目標症例数は20例とする。②急性期症状の消褪を確認し、リハビリテーションを開始することをもって研究の開始とし、開始にあたり、研究の主旨と内容について文章を用いて十分な説明を行った上で、研究への参加を患者及び家族から文書により得ることとする。同意を得られた者が対象群、得られなかった者がコントロール群となる。③研究対象群には社会・心理教育リハビリテーションセミナー(以下セミナーと略す)を開始し、セミナー開始にあたってはケースマネージメントが行われる。又、セミナー実施においてのテキストは、研究班において作成した共通のもの(患者用・家族用・講師用の患者用及び患者用の4種類)を使用して施設間の差を生じないようにする。④評価方法については、精神症状はBPRS、重症度はGAF、リハビリ効果はLASMIで測定する。評価の時期は、BPRS及びGAFは登録時、同意確認時、退院時の3時点、LASMIは退院時とし、評価は対象群、コントロール群ともに行う。又、対象群の患者については退院時に入院中の満足度をクライエント満足度調査表(CSQ-UCSF)を用いて評価する。⑤退院後は対象群、コントロール群ともに予後追跡が開始され、6ヶ月毎にBPRS、GAF、LASMIとフォローアップシートで研究終了の平成15年2月28日まで評価を続ける。
B班①平成13年2月よりアンケート調査を実施。調査票は、精神科デイケアの職員用のA票と利用者の個別調査用のB票の2種類である。②A票の対象は、全国の精神科デイケアとし、B票の対象は、精神科病院に併設する精神科デイケアの内大規模デイケア50ヶ所(平成12年4月1日現在323ヶ所・日精協調べ)、小規模デイケア50ヶ所(同265ヶ所)及び精神科診療所に併設する精神科デイケア25ヶ所(大規模・小規模を問わず)を無作為に抽出し、郵送によるアンケート調査を実施した。③平成13年9月アンケート調査の集計作業を終了。
結果と考察
本研究は、次の2つの研究結果から成っており、来年度に継続して研究計画が作成されているため、本年度の報告は中間的な報告となる。
A班:①中止症例を除いた実登録者数は125名となった。内既に退院に至った者は103名・82.4%である。実登録者の群別内訳は、対象群が45名・36.9%、コントロール群は77名・63.1%となった。②対象群45名の内退院した者は40名・88.9%、コントロール群が77名中63名・81.8%が退院となっている。退院者の内デイケアの利用に至った者は、対象群退院者40名の内14名で35.0%、コントロール群では退院者63名中7名・11.1%である。③再入院は、対象群12名コントロール群14名となっており、対象群退院者の内30.0%、コントロール群退院者の内22.2%が再入院をいている。デイケア利用退院者の経過については、対象群デイケア利用退院者14名の内6名の42.9%が再入院となっており、コントロール群デイケア利用退院者7名の内2名の28.6%が再入院となっている。④再退院者は、対象群9名コントロール群9名で、両群再入院者の内対象群75.0%コントロール群64.3%が再退院している。⑤再々入院例は、対象群3名コントロール群3名で、内コントロール群より1名が再々退院となっている。⑥終了例は全体で24名で、終了理由は通院中断や転院により経過が追えなくなったことが主である。⑦退院後の各評価表における両群間の比較についてはBPRS、GAFともに現時点での差異は認められてない。今後は登録中止者の理由内訳、中途修了者の理由別集計、対象群についてはCSQの集計、セミナー以外でのリハビリ集計等研究で行われたことを細部にわたり解析し、浮き彫りにしていくことが必要であり、それにより両群間の比較により多くの意味合いが付せられていくものである。
B班:全国のデイケアの属性を明らかにする事を第一の目的とし、一方、精神科デイケアを併設する診療所の増加とその役割について病院との差異を比較検討した。施設調査の結果①デイケア開設のピークは平成9年にあり以降の新規開設数は極端に減少しており、デイケア数としては、定常状態に入ったと考えられる。②週あたり実施数は5日が過半数を占めた。③過半数のデイケアで職員の加配が行われており、常勤換算でワーカー・看護婦がそれぞれ0.8人、心理技術者が0.5人であった。④診療報酬上で改善すべき点として、送迎の点数化が5割、報酬自体の引き上げが4割、小定員のデイケアをという意見が3割を占めた。個人調査の結果①病院デイケアは分裂病(77~78%)を主とするのに対し、診療所デイケアでは分裂病以外の利用者が多く(41.7%)、なかでも週5日以上の群では、アルコールを含む中毒性疾患が35.6%を占めた。②病院デイケアの利用者の年齢は、30歳代、50歳代に多いという2峰性で、診療所デイケアは30歳代に多い1峰性であった。③デイケアの目的としては、診療所が居場所の提供や仲間つくり、病院では社会性の確保や日常生活能力の向上に力点がおかれる傾向にあった。④職員から見た利用者の変化では、診療所デイケアで「安心して過ごせる場所が出来た」が目立って多かった。
結論
今年度、本研究の最終集計に向けて実施すべき重要課題はデータ解析作業であり、今年度報告のデータも踏まえた集計項目等の検討のため再度、平成14年度に研究班会議を実施する予定である。
A班:本研究の主要なテーマであるセミナーの効果について再度討議を加え、最終集計に入っていくものである。
B班:病院におけるデイケアと診療所デイケアとの違いが明らかになり、又、デイケアにおける週5日の実施と職員の加配も行われているという実体も明らかになり、新たにデイケア施設での施設基準に関しての調査を行う予定である。

公開日・更新日

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