食品からの赤痢菌検出に関する研究

文献情報

文献番号
200100120A
報告書区分
総括
研究課題名
食品からの赤痢菌検出に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成13(2001)年度
研究代表者(所属機関)
小沼 博隆(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生科学特別研究事業
研究開始年度
平成13(2001)年度
研究終了予定年度
-
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究事業は、平成13年11月下旬から西日本を中心に患者が拡大している赤痢菌による食中毒事例(赤痢菌患者:30都府県;160人)について、食中毒の発生時調査、流通食品の検査等に利用可能な検査方法を開発し、迅速な食中毒防止対策及び予防体制の構築に役立てることを目的として、各種食品からの赤痢菌分離に関して実績のあるFDA試験法と、汚染菌数が極少数でしかも冷凍損傷などを受けている可能性を考慮に入れたFDA改良試験法(今回、輸入カキから赤痢菌を検出・分離した試験法、すなわちFDA試験法の前段階に前培養を行う方法)の2試験法を用いて、それぞれの試験法の赤痢菌検出性能の優劣と再現性を確認するために、同一の標準検体を用いたコラボレイティブスタディ-(参加試験研究・検査機関;21施設)を行った。
研究方法
本研究では、平成13年11~12月にかけて、西日本を中心にShigella sonnei赤痢患者が急増し、原因食材の特定が急がれていたが、国立医薬品食品衛生研究所が冷凍生カキからShigella sonneiを検出したことにより原因食材が確定された。この時に用いた試験法は、米国で用いられている一段階増菌法 (試験法Ⅰ)ではなく二段階増菌法(試験法II)である。この試験法を用いた理由は、多くの自治体において原因食材と思われるカキが調べられたにもかかわらず赤痢菌が検出されなかったことから、検体が冷凍損傷などの損傷を受けている可能性があること及び汚染菌数が微少であることなどが考えられたことから、発育抑制剤などの含まれる選択増菌培地による直接培養は避けた。そして2段階目の増菌では赤痢菌のみを選択的に増殖させることを考えたわけである。以上の理由から考案された試験法IIが既存の方法より検出率において真に優れた方法であるか否かを探るべく、食品からの検出実績のある米国Bacteriological Analytical Manual (試験法Ⅰ)と、その試験法Ⅰを改良した新試験法(試験法II)とを比較検討するCollaborative study(研究室間共同研究)を実施した。
結果と考察
各種食品からの赤痢菌分離に関して実績のある試験法Ⅰと、汚染菌数が極少数でしかも冷凍損傷などを受けている可能性を考慮に入れたFDA改良試験法(試験法II)の2試験法を用いて、それぞれの試験法の赤痢菌検出性能の優劣と再現性を確認するために、同一の標準検体を用いたコラボレイティブスタディ-(参加試験研究・検査機関;21施設)を行い以下の成果を得た。
1)全国21試験研究及び検査機関の協力の下で、食品から赤痢菌を検出・分離する試験法設定のためのコラボレイティブスタディ-を実施し、赤痢菌(Shigella sonnei )の検出においては、試験法Ⅰに比べ試験法Ⅱが優れていることを実証した。
2)試験法Ⅱを用いてわが国で初めて食品(カキ)からShigella sonneiを分離することに成功し、輸入禁止措置などの行政対応に貢献することができた。
3)コラボレイティブスタディ-の結果を基に、試験法Ⅱの試験法フロ-図ならびに「赤痢菌(Shigella sonnei)の検査法解説」を作成した。
結論

公開日・更新日

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