文献情報
文献番号
200001076A
報告書区分
総括
研究課題名
インターネットを活用した遠隔医療により離島・へき地における医療の質の向上と医師の確保を図るための研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
秋葉 澄伯(鹿児島大学医学部公衆衛生学教室教授)
研究分担者(所属機関)
- 伊地知 信二(下甑村長浜診療所長)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究はインターネットを活用した遠隔医療技術により、1)最新情報の獲得による離島・へき地に勤務する医師の資質の向上、2)離島・へき地における日常診療レベルの向上と地域格差の解消、3)離島・へき地に勤務する医師の確保を図ることを目的に、離島・へき地における医療情報システムの開発を行う。
研究方法
本年度は1)配信メールの分析によるシステムの評価・検討、2)システムのPRのための方法の検討、3)離島間における無線LANの可能性の検証、を行った。
1)配信メールの分析によるシステムの評価・検討 平成12年1月1日から12月31日までの間に配信されたメールに関し、内容の分析等を行い、システムのあり方について検討した。2)システムのPRのための方法の検討 昨年度の研究結果から、システムの普及に必要不可欠とされた「PR」に関し、システム上で意見交換を行ったほか、検討会も開催し、最適な方法を検討した。3)離島間における無線LANの可能性の検証
町内に離島を抱える自治体において、自治体立の診療所と離島間の間で、無線LANの構築が可能かどうか、検証した。
1)配信メールの分析によるシステムの評価・検討 平成12年1月1日から12月31日までの間に配信されたメールに関し、内容の分析等を行い、システムのあり方について検討した。2)システムのPRのための方法の検討 昨年度の研究結果から、システムの普及に必要不可欠とされた「PR」に関し、システム上で意見交換を行ったほか、検討会も開催し、最適な方法を検討した。3)離島間における無線LANの可能性の検証
町内に離島を抱える自治体において、自治体立の診療所と離島間の間で、無線LANの構築が可能かどうか、検証した。
結果と考察
研究結果と考察
1)配信メールの分析によるシステムの評価・検討
調査対象期間中の全メール1090通(1日平均3通)を、投稿メール286通と返信メール804通に分け、更に各々を内容により「疾患の照会」「診療技術等」「診療所報告」「その他」の4グループに分類し、検討を行った。特に日常診療に直接関連する「疾患の照会」及び「診療技術等」に関しては、内容により「救急」「薬剤」「公衆衛生」「診療技術」「その他」に分け、さらに検討を行った。
1日平均メール数は、千人規模のメーリングリストを検討した結果と比べ、かなり多い数字と考えられる。
日常診療に直接関連する、「疾患の照会」「診療技術等」に関しては、専門家領域のメーリングリストに比べ少なかったが、「その他」に比べ返信数が多く、活発な議論となっていた。さらに内容を見ると、救急ではなく待機的な疾患に関するもののみであり、このような対象には、我々が提案するシステムでも対応可能であることが立証された。また公衆衛生に関するものも多く、これはへき地・離島勤務においては、診療のみでなく、禁煙教育、食中毒、介護保険等に関しても地元自治体から意見を求めらる、多様な医師像を表していると考えられ、まさに「総合医」が求められていることがあらためて認識された。
システムを利用した症例の検討や、情報交換等昨年度より活発に、内容も多彩になってきていることから、このシステムが、医療水準の地域格差の解消や、医師の知的好奇心の充足につながり、目的である「離島・へき地における医療の質の向上や医師の確保」を達成できる。
2)システムのPRのための方法の検討
我々の目的を達成するには、このシステムが地域に普及し、定着することが必要である。そのためには、システムに関する情報のPRが必要であることが提案された。そこで「PRに用いる媒体」と「内容」について検討を行った。「媒体」についてはCD-ROMが、「内容」については、昨年度の意識調査の結果も踏まえ、「コモンディジーズに関する知識や技術の紹介」を「ホームページ」形式で提供することが有用と考えた。これに従い、CD-ROMを作成した。
3)離島間における無線LANの可能性の検証
システムが地域に普及し、定着するためには、通信体制等環境の整備(ないし地域の環境に合わせた弾力あるシステム運用)も必要であることが提案され、無線によるLANの構築が、特に維持費が低額な点から、新しい情報伝達のツールとなりうると考えられた。そこで大島郡瀬戸内町において、町立の診療所と、同町内の離島である与路島との間に無線LANの構築が可能かどうか、現場で通信実験を行い、可能であることが検証された。
1)配信メールの分析によるシステムの評価・検討
調査対象期間中の全メール1090通(1日平均3通)を、投稿メール286通と返信メール804通に分け、更に各々を内容により「疾患の照会」「診療技術等」「診療所報告」「その他」の4グループに分類し、検討を行った。特に日常診療に直接関連する「疾患の照会」及び「診療技術等」に関しては、内容により「救急」「薬剤」「公衆衛生」「診療技術」「その他」に分け、さらに検討を行った。
1日平均メール数は、千人規模のメーリングリストを検討した結果と比べ、かなり多い数字と考えられる。
日常診療に直接関連する、「疾患の照会」「診療技術等」に関しては、専門家領域のメーリングリストに比べ少なかったが、「その他」に比べ返信数が多く、活発な議論となっていた。さらに内容を見ると、救急ではなく待機的な疾患に関するもののみであり、このような対象には、我々が提案するシステムでも対応可能であることが立証された。また公衆衛生に関するものも多く、これはへき地・離島勤務においては、診療のみでなく、禁煙教育、食中毒、介護保険等に関しても地元自治体から意見を求めらる、多様な医師像を表していると考えられ、まさに「総合医」が求められていることがあらためて認識された。
システムを利用した症例の検討や、情報交換等昨年度より活発に、内容も多彩になってきていることから、このシステムが、医療水準の地域格差の解消や、医師の知的好奇心の充足につながり、目的である「離島・へき地における医療の質の向上や医師の確保」を達成できる。
2)システムのPRのための方法の検討
我々の目的を達成するには、このシステムが地域に普及し、定着することが必要である。そのためには、システムに関する情報のPRが必要であることが提案された。そこで「PRに用いる媒体」と「内容」について検討を行った。「媒体」についてはCD-ROMが、「内容」については、昨年度の意識調査の結果も踏まえ、「コモンディジーズに関する知識や技術の紹介」を「ホームページ」形式で提供することが有用と考えた。これに従い、CD-ROMを作成した。
3)離島間における無線LANの可能性の検証
システムが地域に普及し、定着するためには、通信体制等環境の整備(ないし地域の環境に合わせた弾力あるシステム運用)も必要であることが提案され、無線によるLANの構築が、特に維持費が低額な点から、新しい情報伝達のツールとなりうると考えられた。そこで大島郡瀬戸内町において、町立の診療所と、同町内の離島である与路島との間に無線LANの構築が可能かどうか、現場で通信実験を行い、可能であることが検証された。
結論
インターネットを活用した遠隔医療のシステムにより、離島・へき地医療の質の向上による地域格差の解消や、従事する医師の確保に寄与できる。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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