遠隔医療の開発及び評価に関する研究

文献情報

文献番号
200001073A
報告書区分
総括
研究課題名
遠隔医療の開発及び評価に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
黒川 清(東海大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 長村義之(東海大学医学部)
  • 大櫛陽一(東海大学医学部)
  • A. Lacroix(モントリオール大学医学部)
  • E. Keough(メモリアル大学医学部)
  • NG. Patil(香港大学医学部)
  • M. Field(シドニー大学医学部)
  • 春木康男(東海大学医学部)
  • 岡田好一(東海大学医学部)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
18,362,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、現在までに研究された遠隔医療の成果を広く一般に普及させるための方法を開発すること、患者や医師を含むできるだけ多くの人々に納得のゆく評価方法を提案することにある。
研究方法
技術蓄積の大きいISDNと研究が急速に進んでいるインターネット技術の両方をネットワークとして利用する。従来型のビデオによるテレビ会議に加えて、データチャネルによるディジタル伝送を活用する。医療生涯教育、遠隔カンファレンス、遠隔コンサルテーション、地域医療を視野に入れた実験を行う。初年度において国際標準に基づくテレビ会議ネットワークを構築し、予備実験を行った。さらに、国内の遠隔医療事例調査の翻訳とインターネットへの公開、医療情報の共有のための電子カルテの国際化、暗号化データベースの開発を行った。第二年度は国内3病院間の学生教育が目的のセミナーの常時開催、国際3大学間の定期症例検討会の実施、テレビ会議系の臨床分野への応用、伝送特性評価のための基礎実験を行った。3年計画の最終年度には、学生向きの多地点接続セミナーのルーチン化、多地点間の国際交流の拡大、臨床応用の広範な実施を行った。さらに、国内セミナーと国際交流の実績の公開、本研究に関連する国際プロジェクトの報告書作成を行った。
結果と考察
これらの研究開発により、国際標準のテレビ会議端末を中核とし、ディジタル伝送路の最適な組み合わせにより、(1) 世界の先進地域のどこでも手に入る装置・ネットワークにて、(2) 同時多地点の医学教育セミナー、臨床カンファレンスには十分活用でき、(3) 特定の分野においては臨床家間のコンサルテーションに役立つ、ことが明らかとなった。医学教育上の効果の直接の測定については、過去から未来に向けての継続的な系の観察が必要と考えられた。しかし、本研究における国際交流で明らかとなったように、今すぐに対応できる教育プロセスの価値判断として、学生等の受講者からの反響に即時に応え得る教育システムの開発が最重要であることが分かった。なお、実績の観点からは本研究における系の有効性は明らかであると考える。臨床応用に関しては、分野によって技術的な要求が非常に異なることを痛感した。そのため、各分野でテレビ会議に付加する部分のデータ系の継続的な改良を行った。(1) 病理学の医療機関同士のコンサルテーションにおいては、テレビ会議本来のビデオ系が役立ち、しかも光学系と動画系の撮像装置には細心の注意が必要である。(2) 呼吸器内科の症例検討では高精細な静止画の伝送が必要であるが、必ずしも即時性は必要なく、現状のインターネットと組み合わせることが可能である。(3) 精神科領域の患者の治療効果判定に関しては、2B接続(128Kbit毎秒)では帯域が十分でなく、少なくともその2倍の伝送容量がなければ評価に耐えない。なお、本研究においても基礎実験はインターネットの通信手順を用いて行われた。
結論
国際標準のテレビ会議装置・ISDNネットワークを用い、データチャネルやインターネットを活用することにより、国内・国際の遠隔医学教育、カンファレンスに役立つことが分かった。また、個別に工夫を加えることにより、医療機関同士のコンサルテーションにも応用できることが分かった。用いた装置やネットワークは国内だけでなく国際的にも先進地域では経済的で入手性もよいので、これらの研究成果は直ちに実用が可能である。また、国際規格は慎重に選ばれているため、次世代
インターネットへの移行は容易である。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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