地方衛生研究所の機能強化に関する総合的研究

文献情報

文献番号
200000845A
報告書区分
総括
研究課題名
地方衛生研究所の機能強化に関する総合的研究
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 一夫(福島県衛生公害研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 江部高廣(大阪府立公衆衛生研究所)
  • 上木隆人(東京都衛生研究所)
  • 荻野 武雄(広島市衛生研究所)
  • 宮島嘉道(秋田県衛生科学研究所)
  • 加藤一夫(福島県衛生公害研究所)
  • 大道正義(千葉市環境保健研究所)
  • 森良一(福岡県保健環境研究所)
  • 鈴木重任(東京都衛生研究所)
  • 五明田斈(島根県衛生公害研究所)
  • 長谷川修司(千葉市環境保健研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
平成13(2001)年度
研究費
33,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.調査研究機能を強化に資する地研の知的、人的、物的資産の共有化と有効活用を図るためのデータベース作成、2.情報ネットワークの構築 3.検査体制の強化、4.地域診断法の開発・進展に資する基礎的・開発的研究の展開、5.健康危機管理に対する地研の機能強化を行うことによって、地域における保健衛生行政の科学的・技術的中核として充分に機能発揮する体制の構築に資することを目的とする。
研究方法
分担研究者を中心に全国6支部から推薦された研究班員で構成する研究班において、74地研全てが参加・連携して、地研の調査研究、試験検査、研修、情報関連業務の4つの機能に、保健所との連携及び地域における健康・栄養状況の評価の分野を加え、6分野毎に地研の機能強化に資する具体的な研究課題を設定課題を設定し、情報の共有化と発信を重視して、問題点の把握や解決方法の検討、システムの構築とその評価、新たな技術開発研究等を計画的に展開した。
結果と考察
1.調査研究では、研究成果の共有化を図るため、地研業績集についてインターネット上で検索可能なデータベースや専門家所在情報の構築を行い、同時に研究評価のあり方についても検討し、研究運営管理要領案および研究評価委員会設置要綱モデル案を作成した。2.試験検査では、危機管理対応に必要な高度検査機能、国際的に通用する信頼性の確保のためのGLPとレファレンス機能強化として検査に関わる電算管理法の標準化とセキュリティー対策並びに情報提供機能をも有するレファレンスセンター機能強化策における紙情報のCD-ROM化を行った。3.研修では研修システムにおける国研と地研の役割分担、派遣研修システムのあり方を検討し、研修情報のデータベースを作成すると共にIT利用による遠隔研修やビデオ作成による非対面研修の可能性を明らかにした。4.情報関連機能では、地研間で情報を共同利用できるようインターネットを介したネットワークの効果的運用、総合的解析法に関する研究を行い、地研、国研等による討議の場としての地域保健のためのインターネット研究会を開催した。更に、地研の共有データベース構築策としてLinuxをOSとし、PostgreSQL、PHP4を用いた安価、かつ効率良いシステムの構築とセキュリティ対策のあり方の提言を行った。また、インターネットホームページ上の感染症発生動向調査データベースから、必要な情報を自動的にグラフ表示等するシステムの開発を行った。5.保健所行政への科学的支援システムの構築では、健康危機対応における保健所等との共同事例研究を通した業務連携の強化と、各ブロックでの試験検査の円滑な集約化をとりまとめ、地域連携のための提言をおこなった。6.地域における健康・栄養状況等の評価に関する研究では、疾病動向予測システム等による生活習慣病死に関する疫学的なアプローチや「陰膳」等による栄養成分分析や血液・尿等生体資料中の栄養素等の生化学的測定値(指標)による地域住民の健康・栄養状態の評価(対人保健サービス)に関する基礎的研究を行い、地域診断へのアプローチ法を示した。
結論
74地研全てが参加・連携して、地研の調査研究、試験検査、研修、情報関連業務の4つの機能に、保健所との連携及び地域における健康・栄養状況の評価の分野を加え、6分野毎に地研の機能強化に資する具体的な研究課題を設定し、情報の共有化と発信を重視して、問
題点の把握や解決方法の検討、システムの構築とその評価、新たな技術開発研究等を計画的に展開し、地研機能強化のための数多くの実践的成果が得られた。これらにより、地研の調査研究をはじめ、試験検査、研修指導、情報機能が強化され、社会的なニーズに迅速かつ的確に応え、地域における保健衛生行政をより強力に支援することが可能となった。そして、地研間の連携が強化されたことによって、広域的な危機管理体制や、レファレンスセンター、公衆衛生情報センター、技術研修センターなど、全国的な衛生行政の科学的・技術的中核機関のネットワークを作ることへの確かな可能性を示すことができた。

公開日・更新日

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