清掃作業従事者のダイオキシンばく露による健康影響に係る調査研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
200000729A
報告書区分
総括
研究課題名
清掃作業従事者のダイオキシンばく露による健康影響に係る調査研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
高田 勗(中央労働災害防止協会)
研究分担者(所属機関)
  • 櫻井治彦(中央労働災害防止協会)
  • 牧野茂徳(中央労働災害防止協会)
  • 工藤光弘(中央労働災害防止協会)
  • 山田憲一(中央労働災害防止協会)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 生活安全総合研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
平成13(2001)年度
研究費
82,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
清掃作業に従事する労働者において、健康障害の発生が懸念される高い血中ダイオキシン濃度をしめす事例が発見されたことから、我が国の清掃作業従事者におけるダイオキシンばく露の実態及び健康影響の有無を明らかにする。
研究方法
調査対象施設は、平成10年度のアンケート調査で、調査に協力すると回答のあった施設の中から6施設、また、(社)全国産業廃棄物連合会を通じて協力が得られた2施設の計8施設を調査対象施設とした。
対象者は、焼却施設内で作業に従事する者で、比較的高いダイオキシンばく露の可能性があると想定される者を選んだ。すなわち焼却施設内での支援作業等に従事する者、及び焼却施設内の関連作業を行う者である。さらに、対照群として一部事務作業従事者を含め8施設153名が受診を希望、血中ダイオキシン類の分析可能な者は145名であった。
調査項目は、自他覚所見、作業歴調査、生活歴調査、血液調査、リンパ球機能検査、血中ダイオキシン濃度の測定及び作業環境中ダイオキシン、PCB濃度の測定であった。
結果と考察
医師による問診及び皮膚視診の結果より、塩素?瘡(クロルアクネ)などのダイオキシンばく露による皮膚所見を有する者は認められず、また、ダイオキシン類のばく露によると思われるその他の健康障害も認められなかった。
対象者の血液中ダイオキシン類濃度は平均で28.4pg-TEQ/g-fat(最小6.4pg-TEQ/g-fat~最大132.9pg-TEQ/g-fat)であった。今回の結果で、血液中ダイオキシン類がやや高かった者の異性体濃度はポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF-TEQ)についてもやや高く、焼却場でばく露を受けた可能性があると考えられた。
生化学検査との相関分析により、血清総コレステロール濃度と血中ダイオキシン濃度との間で正の相関(p<0.05,p<0.01)を認めた。また、Co-PCB-TEQと総蛋白(p<0.05)、アルブミン(p<0.01)、γ-GTP(p<0.05)、ロイシンアミノペプチダーゼ(p<0.05)、血糖(p<0.05)、との間で有意な相関、アミラーゼとの間で負の相関(p<0.05)を認めた。
しかし、清掃作業によるダイオキシンばく露とこれらの一部の検査項目における陽性所見の間に因果関係を認める根拠は見いだされず、偶発的な所見と判断された。
結論
平成12年度に調査を行った8施設、145名の平均血中ダイオキシン濃度はこれまでに実施された一般住民の血中ダイオキシン濃度にほぼ一致し、ダイオキシンばく露によると疑われる健康影響は見いだされなかった。

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