ダイオキシン類等の試験・分析の信頼性確保に関する調査研究

文献情報

文献番号
200000679A
報告書区分
総括
研究課題名
ダイオキシン類等の試験・分析の信頼性確保に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成12(2000)年度
研究代表者(所属機関)
柳澤 健一郎((財)食品薬品安全センター)
研究分担者(所属機関)
  • 中澤裕之(星薬科大学)
  • 森田昌敏(国立環境研究所)
  • 豊田正武(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 小野 宏((財)食品薬品安全センター)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 生活安全総合研究事業
研究開始年度
平成11(1999)年度
研究終了予定年度
平成13(2001)年度
研究費
90,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品や血液、母乳等人体試料中のダイオキシン等の微量化学物質は、装置のわずかな汚染や試薬に含まれる不純物、分析機器の調整等により、測定結果に変動を生じる。微量化学物質の測定結果について信頼性を確保するために、各試料の持つ特殊性を考慮に入れ、測定方法について、適切なリスク評価の実施を念頭に置いた測定手法の検討および測定の各段階における技術的検討を行った上で、施設整備、機器および試薬等の整備管理を確立する。さらに、分析者の熟練の達成、外部機関による技術評価体系の確立によって測定結果の信頼性確保を目的としている。
また、ダイオキシン以外の食品衛生検査についても、検査結果の信頼性確保のための検査機関における GLP体制の充実と精度管理の徹底が求められている。本研究では、わが国の食品の検査分析の信頼性確保に関して行われる外部精度管理調査の実施に必要である諸問題について検討することを目的とした。
研究方法
(1) ダイオキシン濃度の測定法について、専門家を糾合して標準的手順を策定し、指針を作成した。食品、血液、母乳の試料についてその指針に従った測定を行い、測定値の信頼性の検討を行った。(2) 食品衛生検査の精度管理結果の実際のデータについて統計学的な検討を行い、適切な評価法を検討した。(3) 適正な試薬・標準物質の実態を調査し、それらを確保、供給するための方策を検討した。 (4) 精度管理調査用試料の作製方法について、理化学的検査及び微生物検査のための試料を種々の方法で作製して検査データを求め、均質性及び目的物質の安定性の確保と実際の食品形態に近い検体の作製方法を検討した。(5) 外部精度管理調査機関と検査機関の間の連絡(試料の送付、デ-タ授受を含む)の正確性と評価の効率化のため、電子媒体による連絡の検討を行った。
結果と考察
(1) 食品中のダイオキシン類測定のための指針を策定した。これにより測定の信頼性の向上が期待される。さきに作成した血液中のダイオキシン類測定法、母乳中のダイオキシン類測定法の指針と合わせて、測定の信頼性確保のための外部精度管理が可能な状況が整い、ヒトのダイオキシン曝露のよりよい評価が可能になると期待される。 (2) 調査試料の内容に応じた適切な検査結果の評価に関する統計学的方法の検討を行った。(3)精度管理業務に必要な適正な試薬・標準品の供給体制の必要性が認められ、標準品の供給を行うリファレンスセンターの実現性の検討を行った。(4) 食品衛生外部精度管理調査において用いる共通試料の作製に関する検討を行い、実際の食材に近いもので、添加物質の均一性と安定性の十分な、調査用試料として使用できるものを作製した。(5) 調査機関と検査機関の連絡およびデータ転送に電子媒体を用いる方法を試み、モデル連絡調査を行って実用化できる可能性の高いことを認めた。
結論
ダイオキシン類、非ダイオキシン類の分析の信頼性確保の方策について研究し、有益な知見を得た。食品衛生検査のデータは正確で信頼性の高いものでなければならないが、検査の精度管理を行うにあたっては、調査試料の適格性の問題のほか、調査法、統計解析法、結果の評価法とくに評価の基準にも問題が残っており、検査法自体も検討の必要がある。それらの検討の上、食品、血液、母乳中のダイオキシン類の測定法の指針を作成した。非ダイオキシン類についても、食品衛生外部精度管理の実際に使用される検査試料の作製、評価法の検討を行った。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-