未成年者の喫煙・飲酒を取り巻く環境に関する研究(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
199900823A
報告書区分
総括
研究課題名
未成年者の喫煙・飲酒を取り巻く環境に関する研究(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
尾崎 米厚(国立公衆衛生院(旧) ,鳥取大学医学部衛生学(新))
研究分担者(所属機関)
  • 曽根智史(国立公衆衛生院)
  • 谷畑健生(国立公衆衛生院)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では未成年者の飲酒及び煙行動に影響を与えるものとして特に広告を取り上げ、それらの媒体別の量および内容を分析し、これらがどのように未成年者の飲酒及び喫煙行動に影響を与えているかを検討するこをと目的とする。本研究によりたばこの広告の問題点が明らかになるため、我が国においてそれらの広告の規制を行うべきかどうかという政策判断の極めて重要な判断材料を提供することになる。昨年度は、たばこのテレビコマーシャル自主規制前後の広告分析を実施したが、本年度はその前の8年間のたばこ広告動向調査を実施した。
研究方法
雑誌は、雑誌総カタログにあるわが国の売り上げ部数上位雑誌の中からはじめからたばこ広告が業界の自主規制により掲載されていない女性誌や少年向けマンガ誌を除いたもの、および毎日新聞に掲載されるの毎日新聞学校読書調査により小学生、中学生、高校生によく読まれている雑誌の上位のものから昨年度の調査によりたばこ広告が全く掲載されていないとわかった雑誌を抜いた合計17誌(月刊誌および週刊誌)を選び雑誌にあるたばこ広告の大きさ、銘柄名、国産外国産の別、男子向けか女子向けの広告か,雑誌の中における広告の位置、を調査した。調査員は雑誌が所蔵してある国会図書館や雑誌図書館におもむき調査対象雑誌を全て閲覧し,たばこ広告をみつけたらカラーコピーをとり、必要事項を調査用紙に転記した.調査した雑誌の発行時期は1989年1月~1996年12月までであった。データは、月別にみた広告件数、ページ数に換算された広告面積、外国たばこ広告の割合、懸賞広告の割合であった。分析結果は経年的に図示して動向を解釈した。
結果と考察
1989年から1996年の8年分の17雑誌(子供たちによく読まれているもの,およびわが国の売上が多い雑誌)に掲載されているたばこ広告を分析した.雑誌におけるたばこ広告の月別動向を見ると月別にかなり変動が大きいことがわかった。どの年も夏や年度末に広告量が増加することが明らかになった。年次別に広告量をみると1989年から1990年にかけていったん減少したが、その後増加傾向にあった。しかし、1996年は前年に比べ減少した。外国タバコの広告のほとんどはアメリカたばこのものであった。総広告量に対するアメリカたばこの広告の割合は月別変動が大きいが、年次別にみると減少傾向にある。広告が男子向けかどうかをみると、男子向けの広告の割合が高かった。女性向け及び両性向けの広告の割合は同じレベルくらいに低かった。特に両性向けのたばこ広告の割合は減少傾向にあったが1996年に増加した。懸賞広告についてみると、懸賞広告はないほうが多かったが、総広告量に占める懸賞広告量の割合をみると増加傾向にあった。たばこ広告の位置をみると、調査期間の前半はグラビアの隣が多かったが、調査期間の後半では表紙の裏が多かった。また、表紙やグラビアや目次に関係しない位置での広告が最も多く、その割合は増加傾向にあった。銘柄の国別に男子向けかどうかをみると、日本たばこでもアメリカたばこでも男子向けの広告の割合が高かったが、日本たばこでは両性向けの広告の割合が増加傾向にあった。銘柄が国産かどうか別に懸賞の有無を見ると日本の銘柄の懸賞広告の割合が増加していた。懸賞広告の割合を男子向けの広告かどうか別にみると、懸賞広告は男子向けの広告と両性向けの広告で増加していた。日本銘柄とアメリカ銘柄で広告の位置に違いがないかどうかを見たが、いずれもグラビアの隣が減少傾向にあり、逆に表紙の裏が増加傾向にあった。以上のように,青少年が読んでいる雑誌にかなりの量のたばこ広告
が掲載されていることが明らかになった。雑誌におけるたばこ広告量の季節変動、外国たばこの広告割合の変化、懸賞広告の割合の増加(特に男子向けたばこ)、雑誌のなかでのたばこ広告の位置の変化、日本のたばこにおける広告のだしかたの変化、アメリカたばこの広告のだしかたの変化などが確認された。
結論
今回の調査により、青少年が読んでいる雑誌にかなりの量のたばこ広告が掲載されていることが明らかになった。雑誌におけるたばこ広告量の季節変動、外国たばこの広告割合の変化、懸賞広告の割合の増加(特に男子向けたばこ)、雑誌のなかでのたばこ広告の位置の変化、日本のたばこにおける広告のだしかたの変化、アメリカたばこの広告のだしかたの変化などが確認された。今後は、青少年の喫煙行動に直接与えている影響をみるために青少年の喫煙者の喫煙銘柄と彼らが喫煙を開始したころの広告との関連を調査する予定である。
これらの一連の研究により未成年者の喫煙防止のために雑誌等のたばこ広告の規制をする必要があるかどうかのエビデンスを積み上げることになる。

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