健康づくりの成果に関する客観的評価法の確立に関する研究-あいち健康プラザにおける新しい健康度評価-(総括研究報告書)

文献情報

文献番号
199900820A
報告書区分
総括
研究課題名
健康づくりの成果に関する客観的評価法の確立に関する研究-あいち健康プラザにおける新しい健康度評価-(総括研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
井形 昭弘(あいち健康の森健康科学総合センタ-)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
愛知県では平成9年10月28日に21世紀の長寿社会における健康づくりの拠点として、あいち健康の森健康科学総合センター(愛称 あいち健康プラザ)をオープンし、1次予防時代の具体的な健康づくりの手法として、「健康度評価」と「健康づくり教室」の二つの主要な事業を展開している。このたびの研究では、これら事業のうち、健康度評価簡易コースの受検者および1日型健康づくり教室の受講者を調査研究の対象として、健康度評価および健康づくり教室の方法、内容の妥当性と健康づくりへの有効性を評価することを目的とする。
研究方法
(1)健康度評価簡易コースの受検者23,982名、1日型健康づくり教室の受講者3,378名の検査測定結果および評価分布の分析から、現在、あいち健康プラザが用いている健康度評価成績の評価基準についての検証を行なった。
(2)健康度評価簡易コース受検者の肥満度(BMI)、血圧、体力の検査測定値と生活習慣との関連性の分析から、生活習慣の問診内容の妥当性について検討した。
(3)健康度評価簡易コース受検者1,063名の初回と1年経過後の2回目の健康度評価成績の前後比較、および1日型健康づくり教室受講者394名の初回と6ヵ月経過後の2回目の健康度評価成績の前後比較から、これら二つの事業の健康づくりへの有効性の検証を行なった。
(4)健康度評価簡易コース受検者2,191名、1日型健康づくり教室受講者509名の生活習慣改善に関するアンケート調査の結果から、生活習慣の改善状況を分析して健康づくりへの有効性の検証した。
結果と考察
(1)健康度評価簡易コース受検者の検査測定結果から、20代女性のBMI値の平均が20.5(±2.6)で全体の半数近くの47.1%が「痩せ」の評価になり、BMI値が19.9以下を「痩せ」としている評価基準の見直しが必要である。体力測定結果の評価分布から、高齢者対象の全身持久力(10m歩行テスト)、平衡性(開眼片足立ちテスト)、成人の柔軟性(長座体前屈テスト)、女性の筋力(上体おこしテスト)の評価基準の見直しが必要である。
(2)生活習慣とBMI、血圧、体力の検査測定結果との関連性の分析から、運動習慣の評価項目としている「生活強度」の4分類では、男性の87.7%、女性の94.2%が生活強度1、2に該当し、生活強度3、4の割合が極めて少なくなっていることから、これを運動習慣の評価項目とする意義は小さくなっている。運動頻度、運動時間では、頻度が週に1~2日以上、1回の運動時間が20分以上の2つが望ましい運動習慣の必要条件であることが明らかとなった。食生活習慣では、「栄養のバランス」、「食事の早さ」、「食事の量」、「料理の味付け」等がBMI、血圧値と関係が深いことが明らかになった。また、保健休養習慣では、歯科保健の習慣が運動や食習慣と深い関わりがあること、「気分転換の趣味が」と体力との関係等が認められた。
(3)健康度評価簡易コース受検者の初回と1年経過後の2回目の成績比較では、運動、栄養、休養の評価点数が有意に高くなり、検査測定値にも改善向上がみられた。また、生活習慣改善に関するアンケート調査では、健康度評価簡易コースの受検をきっかけに半数以上の人が何らかの健康づくりの実践を始めており習慣の改善が認められた。
(4)1日型健康づくり教室受講者の健康度評価AまたはBコースの検査測定結果から、体力測定の全身持久力、筋力、敏捷性、平衡性では、明らかに評価基準の見直しが必要である。全身持久力は、自転車エルゴメーターを用いて75%HRmaxまでの多段階負荷テストで推定最大酸素摂取量を測定しているが、慣れない運動で大腿筋の筋肉疲労が先にきて十分な運動強度に達しないまま終了する場合が多いことから、挿入法による推定値は信頼性の低いものとなっている。アネロプレスの脚筋力の測定、重心動揺計による平衡性の測定についても評価分布に大きな偏りが認められた。医学検査では脂質、肝機能、血糖等で40
歳以降で要精検、要医療の割合が高くなっている。また、生活習慣の問診では健康度評価
簡易コースの受検者と同じような傾向がみられた。
(5)1日型健康づくり教室受講者の初回受講時の健康度評価成績と6ヵ月が経過した後の2回目の健康度評価成績との比較分析の結果、医学的検査で有意に変化が認められたのは男性より女性に多くあった。男女ともに変化の大きかったのは体力で加齢による低下を越えて向上だ認められた。
結論

公開日・更新日

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