食品包装等関連化学物質の安全性確保に関する調査研究

文献情報

文献番号
199900647A
報告書区分
総括
研究課題名
食品包装等関連化学物質の安全性確保に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成11(1999)年度
研究代表者(所属機関)
藤井 正美(神戸学院大学・薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小川幸夫(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 川口春馬(慶応義塾大学)
  • 小瀬達雄((財)化学技術戦略機構)
  • 辰濃 隆((社)日本食品衛生協会)
  • 渡辺悠二(東京都衛生研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 生活安全総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品用プラスチック製品における添加剤について:食品の包装材料には色々な材質が使用されており、それら材質には材質の物性や安定性のために色々な物質が添加されている。包装用材質と食品が接触する点で、食品の種類によっては材質から添加されている物質を抽出することがある。
通常使用されている食品包装材料には、合成樹脂毎の業界で世界諸国で設けられている食品包装用材の規格を参照して自主規格を設けて実践していること、先年度行なったアン物質」としてリストアップされているものもあり、数種見受けられることから、今後これらの化学物質についてはその動向を見定めていかなければならないであろう。
包装材料から溶け出してくる物質量がどのような人に対しての影響を有するか、またそれらが食品へどの程度移行してくるかを検討するために種々な情報を集めることとし、アンケート結果よリポリマーを除く添加剤についての毒性調査を行った。
また、材質から溶け出す物質についての測定を行うために、その方法を調査した。食品包装に用いられる材質にはいろいろな材料があり、先年度の調査結果から主な添加剤を抜き出し、それらに付いての測定方法を収集した。
2 PET容器の再生について:平成12年度から実施された「容器包装リサイクル法」によって本格的に回収作業が始まり、PETボトルが分別回収されるようになった。ところで回収したものの再生する用途が当初の回収量の予想を大きく上回りその行方がマスコミなどから指摘されている。欧米諸国では{食品用途に使用した物を食品容器に戻す}という方向が検討、一部では実際に行われている。
今回の調査は以上の情報を集めて、わが国で行うことが可能かを知るために行った。
再生方法にはマテリアルリサイクルとケミカルリサイクルという方法が採られているが、前者について多くおこなわれている。
研究方法
1) プラスチックに用いられている添加剤の安全性及び測定法については、種々な文献や業界の自主規格などを用いて調査を行った。
2) PET容器の再生については、PETボトルリサイクル促進協議会に協力して頂き、諸外国 の実情や各種報告を収集した。
結果と考察
先年度、業界に依頼して得られたアンケ-トから使用度の高い添加剤を抜き出剤を抜全性(毒性)や物性などを調査した。その結果、現在使用されている化合物については諸外国で使用許可されているものがほとんどであり、安全性は高いと判断される。 しかし、内分泌かく乱作用という問題については2~3種類の化合物について疑われており、その作用量については判然としていない。
材質から食品に移行する量を測定するために、現在報告されている方法を収集し、微量分析が可能であるかを検討した。用いている方法はガスクロマトグラフ法(GC)及び高速液体クロマトグラフ法(LC)が主体で、微量分析においては検出器に質量分析計(MS)を使用している。
材質中の分析では、材質を溶解する溶媒が問題であり、ものによっては溶解する溶媒がないものがあり、熱時の抽出を行うために添加剤が分解していくものもあり、今回は移行する量に焦点をおき、測定法を選定した。
PET容器の再生については材質を洗浄して用いるマテリアルリサイクルと材質を化学的 に分解して、得られる物質を再び重合して、成形材料とするケミカルリサイクルがあり、諸外国で検討、一部実行されている。
マテリアルリサイクルとは、回収した容器を砕片化し、高圧で洗浄して汚染物を除き、更に減圧で乾燥して、吸着している揮発性汚染物を除くもので、米国FDAでは材質を人工的に汚染させて、上記の工程で汚染物が除去しているかの指標を示している。
ケミカルリサイクルとは、回収し、砕片かしたものを、水、アルコ-ルと共に高圧下で反応させて分解し、原料モノマ-または低分子化合物を得、再び得られたものを重合して成形材料とする方法であり、安全性に問題がないと判断されている。
結論
先年度、アンケ-ト調査で得られた食品包装用プラスチックに使用されている化合物は諸外国で使用許可されているものがほとんどであり、衛生的に安全性は高いと判断される。しかし、内分泌かく乱作用という問題が現在と理さたされており、その作用は微量で生じるということから、移行量の微量分析が必要となる。移行量は材質で異なることから、それらに関する測定法を収集した。
また、容器包装リサイクル法の実施によってPET容器が分別回収されることとなり、PET容器を再生処理して、種々な用途に使用するが、諸外国においては食品容器は食品容器として使用する方向が検討されているので、わが国においてもこの点を検討する事とし、次年度においては、実際にマテリアルリサイクル及びケミカルリサイクルによって得られた再生材料で容器を作り、食品衛生法に適合するかを検討していく予定である。

公開日・更新日

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