家庭用品規制法における有害物質の指定方法のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201926019A
報告書区分
総括
研究課題名
家庭用品規制法における有害物質の指定方法のあり方に関する研究
課題番号
19KD2001
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
五十嵐 良明(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 河上 強志(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
  • 井上 薫(国立医薬品食品衛生研究所 安全性予測評価部)
  • 田原 麻衣子(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律(家庭用品規制法)」では、家庭用品に含有される物質のうち人の健康に被害を生ずるおそれのある物質を「有害物質」と定義し、21種類の有害物質について対象家庭用品中の基準が設定されている。近年、様々な化学物質が使用された多種多様な家庭用品が開発され、これまで想定していなかった目的や方法で家庭用品に化学物質が使用されたことによる、健康被害の発生も報告されている。よって、このような、家庭用品を取り巻く状況変化に応じた、新たな有害物質の指定や対象家庭用品の見直し等が必要である。家庭用品における有害物質の指定は、指定候補物質の健康被害報告、諸外国規制、学術文献等の資料をもとに審議される。しかし、指定候補物質の選定方法やその資料となる情報の収集方法は定められておらず、随時検討しているのが現状である。このように、有害物質指定候補物質の明確な選定基準及び方法などを定めておく必要があり、本研究は家庭用品規制法における体系的な有害物質の指定のあり方の提案を目的とする。本研究では、諸外国の家庭用品中化学物質の規制基準の設定方法等を調査すると共に、家庭用品の特性を考慮した化学物質の毒性及び曝露情報の収集方法を検討する。また、これらの情報等に基づいて、有害物質を含有する家庭用品のリスク評価手法について検討する。
研究方法
EU及び米国における家庭用品の定義及び規制内容、米国カリフォルニア州及びカナダにおける取り組みについて、インターネットサイト及び公的資料を探索して調査した。家庭用品に使用されている可能性がある物質を、EUのREACH規則の制限物質の中から選択し、各種情報源における家庭用品の特性を考慮した化学物質の毒性情報の有無を調べた。また、家庭用品による健康被害の要因として評価すべきと考えられた毒性項目について、化審法のスクリーニング評価における毒性情報収集法が適用可能か検討した。化学物質の用途及び生産量情報について、公表されている複数の情報源から入手、整理し、情報源間の差異等を検討した。国内の公的機関による評価書等を情報源として、各種曝露シナリオ、日本人の身体的データ、行動データ及び各種家庭用品の使用に関する情報が入手できるか調査した。
結果と考察
調査対象とした国々では家庭用品に限定した規制は確認できず、家庭用品規制法よりも広い範疇の製品を対象とした化学物質規制となっていた。諸外国における規制基準の策定は、始めに化学物質のハザードに着目し、必要に応じてリストを作成し、それらの中から毒性及び使用状況などを考慮して規制基準の策定を行っていた。経口、吸入、経皮全ての曝露経路における、一般毒性、生殖発生毒性、遺伝毒性、発がん性、急性毒性、刺激性、感作性に関する情報を、化審法の網羅的な情報収集法により得ることができた。毒性情報が得られなかった物質の一部は、既存のグループ評価結果を活用できる可能性が確認できた。用途情報に関しては、情報源によって記載情報量や内容に違いが認められ、一部の用途情報が他とは解離していたり、家庭用品への使用が判断できない記載になっていたりするところもあった。生産量等の情報収集に関しては、情報源により情報の入手や整理のし易さが異なっていた。一つの情報源に絞り込むのは難しく、相互に補完が必要であった。曝露情報に関しては、NITEやAIST等において、経皮、経口及び吸入のそれぞれの経路で複数の曝露シナリオが設定され、具体的な製品種の化学物質の曝露量を評価している例もあった。また、身体的データ(体重、体表面積、呼吸量など)、行動データ(室内滞在時間、入浴時間など)や各種家庭用品の使用に関する情報が得られることを確認した。
結論
 諸外国における家庭用品中の化学物質の規制状況について把握することができた。化審法のスクリーニング評価における網羅的な毒性情報収集法が今回対象とした物質の多くについて適用可能であると考えられた。また、物質によっては、既存のグループ評価結果を活用した評価が可能であると考えられた。化学物質の生産量及び用途情報は、それぞれの情報源で長所及び短所が存在し、一つの情報源に絞り込むのは難しいと考えられた。家庭用品を介した化学物質の曝露シナリオに関して情報収集することができた。さらに、曝露評価に必要となる、身体データ、行動情報および家庭用品の購入や使用に関して有用な情報が収集できる情報源を確認した。

公開日・更新日

公開日
2020-12-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-12-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201926019Z