GMP、QMS及びGCTPのガイドラインの国際整合化に関する研究

文献情報

文献番号
201925011A
報告書区分
総括
研究課題名
GMP、QMS及びGCTPのガイドラインの国際整合化に関する研究
課題番号
H29-医薬-指定-004
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
櫻井 信豪(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 )
研究分担者(所属機関)
  • 坂本 知昭(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 宮本 裕一(埼玉医科大学 保健医療学部医用生体工学科)
  • 紀ノ岡 正博(大阪大学大学院 工学研究科)
  • 木村 和子(金沢大学 医薬保健研究域薬学系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
2,310,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品、医療機器及び再生医療等製品分野の製造管理・品質管理及び医薬品の流通規制に関するガイドライン等について、国際的な状況を調査し、国内のガイドライン等に取り込むことで、各製造者の理解・浸透を促し高品質の製品を流通させることを目的とする。
研究方法
GMP分野:2016年に最新の国際標準を取り込んだGMP改正省令案の策定を開始し2018年にGMP改正省令案及びGMP施行通知案を厚労省に提出した。2018年度から2019年度にかけて、改正GMP省令の施行後を見据え、改正省令に盛り込む医薬品品質システムの調査手法を整理・平準化するために、国内GMP調査当局にとって参考となる「調査における医薬品品質システムのチェックポイント」を作成する。同時に、医薬品品質システムの導入・実施における、各企業が抱える課題解決のためのツール(マネジメントレビュー事例、知識管理に関する解説書)を作成する。また、医薬品品質システムをスムーズに導入・実施することに役立つよう、主にディスカッションを中心としたワークショップ形式の講演を通じた教育活動を行う。さらに、Annex1 (PIC/Sの無菌医薬品に関するGMPガイドライン)改訂ワーキンググループに参加し、日本としての意見を提示する。 医薬品流通分野: GDPガイドライン導入の助けとなる技術情報を提供し、ガイドラインのさらなる普及啓発を図る。 QMS分野: ISO 13485最新版に対応するためにQMS省令の改正案及び関連通知の整備を行う。さらに、電磁的記録の管理の在り方について検討を進める。また、2国間の調査報告書交換の動きを受けて調査報告書平準化が進むよう、有用な調査報告書の記載事例を検討する。QMS省令の改正に関し、2018年度までに省令改正案を作成した。2019年度は、QMS省令改正までに逐条解説等の関係通知類の整備を検討する。 GCTP分野:通常の医薬品とは異なる特性を有する再生医療等製品の特性を鑑みた無菌操作法指針案及びそのQ&A案を検討する。
結果と考察
GMP分野:主に下記事項を行った。PQS運用の課題解決のための参考資料(マネジメントレビュー実施事例、知識管理に関する解説書)の開発、「調査におけるPQSのチェックポイント」の作成、ディスカッション形式によるワークショップ(PQSワークショップ)の開催。 医薬品流通分野:講演会等を通じ、本ガイドラインの普及活動を行うとともに、関係業者へのアンケートを行い、集まった意見等を検討し、特に温度管理を中心に技術情報として提供した。 QMS分野:ISO13485:2016に対応したQMS省令の逐条解説(案)の作成、電磁的な文書及び記録の管理に関するガイダンスの作成、QMS調査結果報告書の平準化の検討等を実施した。 GCTP分野:GCTP省令に求める無菌製造法のガイドラインをまとめ再生医療等製品の無菌製造法に関する指針及びQ&A(2019年11月28日に厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課 事務連絡)を作成した。
結論
GMP分野: 本研究の成果は、我が国のGMP監視体制を強化すると共に、医薬品製造者のGMP管理を通した製品品質の向上を促進し、患者保護の観点からも多大か効果が期待される。 医薬品流通分野:本研究は、我が国初のGDPガイドライン及びそれに関する質疑応答を作成した。さらに、わが国への導入を容易にするため、温度管理などの技術情報を提供することにより、導入を支援する。我が国初のGDPの導入を恙なく行うために必要な研究であり、実施の意義は高い。 QMS分野:本研究は、我が国の医療機器QMS規制の国際性整合化並びに水準の向上を意図して実施するものであり、規制要求事項たるQMS省令の改定案の作成のみならず、その実施に際した企業側、調査実施者におけるガイダンスの提供を含んでいる。本研究は、要求事項の国際化による我が国の医療機器開発の推進や品質の向上にあたり極めて重要な成果を与えることが期待される。 GCTP分野:本研究の成果は、我が国における再生医療等製品/細胞加工物の製造管理及び品質管理に関する指針やQ&Aの作成を実施することで、医薬品とは異なる特性を勘案した知見等を提供する。さらにPIC/Sガイドラインをはじめとする国際基準の改訂動向を踏まえた国際整合性確保に必要な知見等を製造者に提供することで、再生医療にも対応する製造管理及び品質管理の理解と浸透に寄与することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2020-10-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2022-01-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201925011B
報告書区分
総合
研究課題名
GMP、QMS及びGCTPのガイドラインの国際整合化に関する研究
課題番号
H29-医薬-指定-004
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
櫻井 信豪(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 )
研究分担者(所属機関)
  • 坂本 知昭(国立医薬品衛生研究所)
  • 宮本 裕一(埼玉大学)
  • 紀ノ岡 正博(大阪大学大学院)
  • 木村 和子(金沢大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品、医療機器、再生医療等製品(及び特定細胞加工物)及び医薬品の流通規制の4つの分野に関するガイドライン等について、国際的な状況を調査し、国内の各ガイドライン等に取り込むことで、製造者、流通関係者やそれぞれの当局調査員等の理解、浸透を促し、最終的に高品質の各製品を流通させることを目的とする。
研究方法
各分野に関連する業界団体及び都道府県薬務課の協力を得て実施した。
具体的には、班会議等における意見交換や関係する業界団体へのアンケートによる課題抽出及び実態把握を行った。また、外国企業への訪問による実態把握も行った。


結果と考察
GMP:平成28・29年度はGMP省令改正案及びGMP施行通知の改訂案の策定を検討し、平成29年度末に厚生労働省へ研究班案として提出。その後、改正省令の施工後を見据え、平成30・令和元年度以降は、GMP改正案及び施行通知案の周知活動・PQS運用の課題解決のための参考資料(知識管理の解説資料、マネジメントレビュー事例)の開発・GMP調査におけるPQSのチェックポイントの作成・ディスカッション形式かつ少人数によるワークショップ(PQSワークショップ)の開催を実施。また、期間を通じて、PIC/Sガイドライン(Annex1)の改訂作業に参加した。さらに、多くのPIC/S加盟当局が査察時に事前情報として活用しているサイトマスターファイルの記載の平準化を目的に、アジア地域の各規制当局と業界団体の協力・合意を得て記載例を完成した。QMS:平成29年度に、ISO 13485:2016に対応したQMS省令改正案の作成を行い、厚生労働省に提出した。平成30年度は、電磁的な文書及び記録の保管形態を取り入れている先進的な外国医療機器製造業者の実態を把握すべく、米国企業への訪問調査を行った。令和元年度は、電磁的な文書及び記録の保管管理に関するガイダンス(日・英)を作成した。GCTP:平成29・30年度は、「再生医療等製品の無菌操作指針(案)」(日・英)を作成した。令和元年度は、完成した指針のQ&Aを作成しPMDAのHPでも公開を行なった。また、「治験製品GCTP(案)」の作成を行った。GDP:平成29度はガイドラインの対象となる医薬品製造販売業者及び医薬品卸売販売業者に対してアンケート調査を実施し、運用実態等を調査したほか、素案に対する意見や提案を求め、「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」を完成させた。平成30年度以降は、講演会等を通じ、本ガイドラインの普及活動を行うとともに、温度管理を中心に技術情報として提供した。
結論
医薬品、医療機器、再生医療等製品の製造は、いずれも世界各国で行われており、それぞれグローバルな製造管理及び品質管理の基準や流通段階の品質確保の基準も作成されている。これらの基準の作成や改訂作業は、技術的な進歩と並行して絶えず行われている。我が国の基準においても最新のグローバル基準を取り込むことはもちろんのこと、逆に我が国から諸外国へ基準案を提案しグローバル基準作成に参画することも国際貢献という意味で必要である。本研究班が担当する研究活動を継続的に実施することは、流通するそれぞれの製品の品質保証や品質確保に直結し、最終的に使用者の安心、安全を高めることができる。それぞれの製造者は様々な組織体であり十分なリソースが確保されている場合もあれば、そうで無い場合もある。本研究ではなるべく中小の企業にもグローバル基準が浸透するよう考慮し、事例等の策定にも取り組んでいきたいと考える。さらに基準のポイントとなる重要事項(例えば改正GMP省令の医薬品品質システムなど)の周知方法も大規模な講演会より、小規模のディスカッション形式が効果的であることもわかった。今後、省令改正という製造者に大きな影響がある重要なポイントについては、このような手法も考慮し、確実に省令の運用が進むように取り組みたい。また、このような活動が業界全体の底上げを進めると共に、国内の良品質の製品の海外輸出にも貢献できることを期待したい。

公開日・更新日

公開日
2020-10-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201925011C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究は、国際的な医薬品、医療機器、再生医療等製品等のGMPガイドラインを国内で活用可能(国際的な整合性)とすることとで国内に流通している医薬品等の品質の確保を図り、国民の安心・安全を得ることである。各分野の研究として専門性が高く。特にGMP分野に関する事例作成は製薬企業において具体的な実施方法を示したものであり高く評価されている。
臨床的観点からの成果
本研究は医薬品、再生医療等製品の製造管理、品質管理に関する研究であり、臨床的観点での結果は得ていない。
ガイドライン等の開発
①GMP省令改正案②GMP施行通知の改訂案③知識管理に関する解説資料④マネジメントレビュー事例⑤GMP調査におけるPQSのチェックポイント⑥サイトマスターファイル記載事例⑦QMS省令改正案⑧QMS省令改正案の逐条解説案⑨電磁的な文書及び記録の管理に関するガイダンス⑩QMS調査結果報告書の記載事例⑪再生医療等製品の無菌製造法指針⑫再生医療等製品の無菌製造法指針のQ&A⑬治験製品GCTP案⑭医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」他
その他行政的観点からの成果
医薬品、医療機器、再生医療等製品の製造に係る、グローバルな製造管理及び品質管理の基準や流通段階の品質確保の基準は、技術的な進歩と並行して絶えず、作成・改訂されている。我が国の基準においても最新のグローバル基準の取り込むのと共に、逆に我が国から諸外国へ基準案を提案しグローバル基準作成に参画することも国際貢献という意味でも必要である。このような研究活動を継続的に実施することは、流通する製品の品質保証や品質確保に直結し、最終的に使用者の安心、安全を高めることができる。
その他のインパクト
業界誌への投稿や関連講演会での講演多数。

発表件数

原著論文(和文)
3件
業界紙での公表。
原著論文(英文等)
1件
専門誌での公表。
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
39件
国内の製薬業界等の講演会として。
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
厚労省からの事務連絡として。
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2021-01-06
更新日
-

収支報告書

文献番号
201925011Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,000,000円
(2)補助金確定額
3,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 234,055円
人件費・謝金 0円
旅費 1,284,484円
その他 809,454円
間接経費 690,000円
合計 3,017,993円

備考

備考
自己資金 17,993円

公開日・更新日

公開日
2021-01-06
更新日
-