文献情報
文献番号
201924037A
報告書区分
総括
研究課題名
プエラリア・ミリフィカ含有健康食品の安全性評価法の確立
課題番号
19KA3003
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
坂元 政一(九州大学 大学院薬学研究院)
研究分担者(所属機関)
- 藤井 俊輔(長崎国際大学 健康管理学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
2,530,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書（概要版）
研究目的
マメ科のプエラリア・ミリフィカはタイ全土に分布する植物であり、強力な植物エストロゲン(PEs)を産生することから、タイ国内では古くから閉経期の「若返り」を求めて使用されている。近年、その貯蔵根を原材料とした健康食品が美容効果を謳い文句に日本国内の女性に浸透しており、それらの摂取により女性特有の生理作用に対する健康被害が報告されている。その原因物質として、PEsのミロエストロール(ME)、デオキシミロエストロール(DME)及びクワクリン(KWA)が挙げられる。そこで、本研究では、磁気イムノアッセイ (MPs-EIA)とバイオインプリンティング法の二つの手法を用いて分析時間の改善を図り、プエラリア・ミリフィカ含有健康食品の安全性評価法を確立する
本年度は、ME、DME及びKWAの精製およびそれら化合物に対するMPs-EIAの系の確立を目指した研究に取り組んだ。
本年度は、ME、DME及びKWAの精製およびそれら化合物に対するMPs-EIAの系の確立を目指した研究に取り組んだ。
研究方法
まず、本研究に必要不可欠且つ非売品のPEs (ME、DME及びKWA)の単離精製を行った。プエラリア・ミリフィカの根皮を基にエタノールエキスを調製し、各種カラムクロマトグラフィーに付した。
続いて、精製できたKWAおよびMEに関してMPs-EIAの系の確立に取り組んだ。ME及びKWAに対するMPs-EIAの確立は、これらとMPsとのコンジュゲート(KWA-MPs 及びME-MPs)をマンニッヒ反応とカルボニルジイミダゾール(CDI)を用いて調製することから始めた。これらのコンジュゲート調製の成否はそれぞれを特異的に認識する抗KWAモノクローナル抗体 (mAb 11 F)および抗MEモノクローナル抗体(mAb 1H1)を用いたMPs-EIA(非間接法)により行った。
KWA-MPsを用いたMPs-EIAは、KWA-MPs、遊離のKWA及びmAb 11Fを用いて、各種パラメーター(MPs-EIAの濃度、mAb 11Fの濃度、一時抗体及び二次抗体の反応時間、ブロッキング)の最適化を検討した。一方、ME-MPsコンジュゲートを用いたMPs-EIAでは、バックグラウンドが高く、相対的に遊離のMEに対する阻害率が弱かったため、その原因をELISAやMPs-EIAにより精査した。
続いて、精製できたKWAおよびMEに関してMPs-EIAの系の確立に取り組んだ。ME及びKWAに対するMPs-EIAの確立は、これらとMPsとのコンジュゲート(KWA-MPs 及びME-MPs)をマンニッヒ反応とカルボニルジイミダゾール(CDI)を用いて調製することから始めた。これらのコンジュゲート調製の成否はそれぞれを特異的に認識する抗KWAモノクローナル抗体 (mAb 11 F)および抗MEモノクローナル抗体(mAb 1H1)を用いたMPs-EIA(非間接法)により行った。
KWA-MPsを用いたMPs-EIAは、KWA-MPs、遊離のKWA及びmAb 11Fを用いて、各種パラメーター(MPs-EIAの濃度、mAb 11Fの濃度、一時抗体及び二次抗体の反応時間、ブロッキング)の最適化を検討した。一方、ME-MPsコンジュゲートを用いたMPs-EIAでは、バックグラウンドが高く、相対的に遊離のMEに対する阻害率が弱かったため、その原因をELISAやMPs-EIAにより精査した。
結果と考察
KWAに対するMPs-EIAでは、抗KWAモノクローナル抗体 (mAb 11 F)が、KWAと磁気ビーズ(MPs)とのコンジュゲート(KWA-MPs)に上手く反応し、KWAを定量可能であることが示唆された。そのため、各種パラメーターの最適化を検討し、系の確立に成功した。
一方、MEに対するMPs-EIAでは、調製したMEとMPsとのコンジュゲート(ME-MPs)が抗MEモノクローナル抗体(mAb 1H1)と非特異的に吸着することが判明した。このことは高いバックグラウンドを生み出し、遊離のMEの存在下においてもその存在を分かりにくくする。そこで、バックグラウンドの軽減のため、ME-MPsの調製方法やME-MPs調製時のMEの濃度を検討したものの大幅な改善は認められなかった。抗体との非特異的な吸着の少ないME-MPsの調製が本法の鍵となるため非特異的吸着を抑制する方法を模索する必要がある。
一方、MEに対するMPs-EIAでは、調製したMEとMPsとのコンジュゲート(ME-MPs)が抗MEモノクローナル抗体(mAb 1H1)と非特異的に吸着することが判明した。このことは高いバックグラウンドを生み出し、遊離のMEの存在下においてもその存在を分かりにくくする。そこで、バックグラウンドの軽減のため、ME-MPsの調製方法やME-MPs調製時のMEの濃度を検討したものの大幅な改善は認められなかった。抗体との非特異的な吸着の少ないME-MPsの調製が本法の鍵となるため非特異的吸着を抑制する方法を模索する必要がある。
結論
一年目ではKWAに対するMPs-EIAの系の確立に成功したものの、DMEの不安定性やMEとの構造類似性に起因する精製の失敗や抗ME抗体のMPsに対する非特異的な吸着が問題提起された。それら問題解決が今後の課題である。
公開日・更新日
公開日
2020-10-14
更新日
-