文献情報
文献番号
201924013A
報告書区分
総括
研究課題名
小規模な食品事業者における食品防御の推進のための研究
課題番号
H30-食品-一般-007
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
- 岡部 信彦(川崎市健康安全研究所)
- 赤羽 学(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
- 鬼武 一夫(日本生活協同組合連合会 品質保証本部)
- 高畑 能久(大阪成蹊大学 経営学部)
- 穐山 浩(国立医薬品食品衛生研究所)
- 工藤 由起子(国立医薬品食品衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
15,610,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動
研究分担者 赤羽 学
奈良県立医科大学(平成31年4月1日~令和1年12月31日)
→ 国立保健医療科学院(令和2年1月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
近年食品への意図的な毒物混入事件が頻発したことも相まって、特に大規模食品事業者(食品工場等)では食品防御への対応が進んできた。一方、サプライチェーンの大部分を占める小規模食品事業者(飲食店を含む)では、参考となる食品防御ガイドラインが存在せず、十分な対応が行われているとは言えない。本研究では既存研究を発展させ、大規模食品事業者だけではなく、飲食店を含む小規模食品事業者においても、食品への意図的な毒物混入を防御するための方策の検討を目的とする。
研究方法
今年度は、以下に示す7つの項目について、国内外の政府機関ウェブサイト、学術論文・書籍等既存の公表情報の収集整理と、検討会における生物・食品衛生等の専門家・実務家らとの討議を通じて実施した。食品を取り扱う2箇所の物流倉庫を訪問し、食品防御の観点からみた脆弱性に関する情報を収集・整理し、これまでの研究成果で策定された「食品防御対策ガイドライン」への改善を行い、より中小事業所にとっても実用的なものとなるような改訂を検討した。
結果と考察
(1) 食品防御対策の実態調査
食品流通業(調理・提供施設)を対象として食品防御対策ガイドラインに記載された項目に対応したアンケート調査を行い、協力が得られた企業への現地聴き取り調査を行った。
(2) 中小事業所の食品防御に関する脆弱性の評価
中小規模の事業所について、食品を取り扱う2箇所の物流倉庫を訪問し、食品防御の観点からみた脆弱性に関する情報を収集・整理した。
(3) フードチェーン全体の安全性向上に向けた食品防御対策ガイドラインの改善
(4) 中小事業所向けの食品防御対策教育ツール等の検討
今年度の研究では、次年度の中小規模向けガイドラインの作成に向けて、大規模向けの既存の「食品製造工場向け」の改訂と、「運搬・保管施設向け」、「調理・提供施設向け」の食品防御対策ガイドライン(案)を検討した。
(5) 国立医薬品食品研究所における人体(血液・尿等)試料中の毒物の検査手法の開発と標準化
LC-MS/MSによる人体(血液・尿等)試料中の有機リン系農薬及びカーバメート系農薬の分析法を検討した。
また、人体試料中の病原細菌(遺伝子または毒素)の検査方法の開発と標準化について検討した。
(6) 地方自治体試験検査施設における人体(血液・尿等)試料中の毒物の検査手法の開発と標準化
過年度研究(「行政機関や食品企業における食品防御の具体的な対策に関する研究」(研究代表者:今村知明))において検討した、川崎市健康安全研究所内における人体試料及び人体試料含有液(以下、人体試料等)の理化学試験における取扱方法を参考に、異なる設備や体制環境下の全国の地衛研においても実施されるべき対応について基本事項として整理し、ガイドラインとしてまとめた。
(7) 海外(主に米国、英国)における食品防御政策の動向調査
米国について、FDA(Food and Drug Administration)、USDA(United States De-partment of Agriculture)のウェブサイト等の公表情報や研究班会議において収集された関連情報に基づき、令和元年度に講じられた主な食品テロ対策の最新情報を抽出し、その概要をとりまとめた。
食品流通業(調理・提供施設)を対象として食品防御対策ガイドラインに記載された項目に対応したアンケート調査を行い、協力が得られた企業への現地聴き取り調査を行った。
(2) 中小事業所の食品防御に関する脆弱性の評価
中小規模の事業所について、食品を取り扱う2箇所の物流倉庫を訪問し、食品防御の観点からみた脆弱性に関する情報を収集・整理した。
(3) フードチェーン全体の安全性向上に向けた食品防御対策ガイドラインの改善
(4) 中小事業所向けの食品防御対策教育ツール等の検討
今年度の研究では、次年度の中小規模向けガイドラインの作成に向けて、大規模向けの既存の「食品製造工場向け」の改訂と、「運搬・保管施設向け」、「調理・提供施設向け」の食品防御対策ガイドライン(案)を検討した。
(5) 国立医薬品食品研究所における人体(血液・尿等)試料中の毒物の検査手法の開発と標準化
LC-MS/MSによる人体(血液・尿等)試料中の有機リン系農薬及びカーバメート系農薬の分析法を検討した。
また、人体試料中の病原細菌(遺伝子または毒素)の検査方法の開発と標準化について検討した。
(6) 地方自治体試験検査施設における人体(血液・尿等)試料中の毒物の検査手法の開発と標準化
過年度研究(「行政機関や食品企業における食品防御の具体的な対策に関する研究」(研究代表者:今村知明))において検討した、川崎市健康安全研究所内における人体試料及び人体試料含有液(以下、人体試料等)の理化学試験における取扱方法を参考に、異なる設備や体制環境下の全国の地衛研においても実施されるべき対応について基本事項として整理し、ガイドラインとしてまとめた。
(7) 海外(主に米国、英国)における食品防御政策の動向調査
米国について、FDA(Food and Drug Administration)、USDA(United States De-partment of Agriculture)のウェブサイト等の公表情報や研究班会議において収集された関連情報に基づき、令和元年度に講じられた主な食品テロ対策の最新情報を抽出し、その概要をとりまとめた。
結論
これまでの研究によって得られた成果は、大規模事業所にとっては取り組むことができる内容であったが、フードチェーンの大部分を構成する中小規模事業所にとっては、コスト負担等の問題から取り組み難いものであった。本研究において得る中小規模事業所や食品流通業・飲食店(小売店・レストラン)の実態に即した成果(ガイドライン、教育ツール等)は、わが国のフードチェーン全体の安全性向上に寄与するはずである。またこれらを通じて、意図的な食品への毒物混入からの国民の保護、及び大規模イベント時の訪日外国人に対する安全・安心な日本食の提供にも寄与するものと考えられる。
公開日・更新日
公開日
2020-10-07
更新日
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