エコチル調査を活用した脳性麻痺発生率等に関する研究

文献情報

文献番号
201922026A
報告書区分
総括
研究課題名
エコチル調査を活用した脳性麻痺発生率等に関する研究
課題番号
H29-医療-指定-005
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 圭司(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 臓器・運動器病態外科部 リハビリテーション科)
研究分担者(所属機関)
  • 新田 裕史 (国立研究開発法人  国立環境研究センター 環境リスク・健康研究センター )
  • 目澤 秀俊 (国立研究開発法人  国立成育医療研究センター エコチル調査研究部 行動発達系計測研究プロジェクトチーム)
  • 梅原 永能(国立研究開発法人  国立成育医療研究センター 周産期母性診療センター 産科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
2,549,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
エコチル調査を活用し在胎週数別・出生体重別脳性麻痺の発生数や発生原因の分析により当該制度の補償対象となる重度脳性麻痺児数の推計を行う。
研究方法
2011年~2014年に出生したエコチル調査参加児について、3・4・5歳時調査票において「脳性麻痺」との回答を得た事例について、児の分娩機関及び医療機関の診療録等から分娩時のデータ及び現在の肢体不自由の程度等の情報を把握する。
結果と考察
2019年10月20日現在、エコチル調査参加者の中で、2011年出生が9,736人、2012年出生が28,270人、2013年出生が35,628人、2014年出生が26,666人で、全体が100,300人であった。上記参加者の内、質問票にて「脳性麻痺」を選択されていた人数は108人であった。脳性麻痺発生率は、母数を出生数とすると、対象者全体で1.08人/1000出生、2011年出生で2.47、2012年出生で0.81、2013年出生で0.98、2014年出生で0.98であった。産科医療補償制度脳性麻痺対象者に絞り、一般審査基準(旧基準)、個別審査基準(旧基準)、一般審査基準(新基準)、個別審査基準(新基準)での脳性麻痺発生率は出生数全体で、0.35、5.80、0.40、6.79であった。脳性麻痺発生数を元に、2014年出生数での脳性麻痺発生数を推定したところ、一般審査基準(旧基準)での該当者が出生年により211~387人の幅を認めた。個別審査基準(旧基準)では、質問票回収数により59~111人の幅を認めた。また、一般審査基準(新基準)での該当者が313人、質問票回収数により250~455人の幅を認めた。個別審査基準(新基準)では、29人、質問票回収数により14~39人の幅を認めた。脳性麻痺発生率は、今回、出生数に対して、報告された脳性麻痺発生数から算定し、0.67~2.16/1000出生であった。先行調査では、沖縄で1988年から2009年までに696例の脳性麻痺が発生し、その発生率は1.9であった。2005年から2009年に絞ると沖縄県で1.6であり、同時期に行われた脳性麻痺発生調査では、栃木県では2.1、三重県では3.0の発生率であった。鳥取県、徳島県、栃木県において、2009年から2013年に出生した脳性麻痺発生率は年ごとに、鳥取県で0.4~2.2、徳島県で1.7~2.3、栃木県で1.3~2.1であり、今回の結果はその範囲より低い傾向があった。エコチル調査から算定した年間脳性麻痺発生数推計は、個別審査対象者が少ないが、選択バイアスにより発生数が低く見積もられている可能性があり、参考値としてみるべきであると考える。
結論
エコチル調査全体の参加者データから産科医療補償制度での脳性麻痺発生率と発生数を推計した。個別審査対象者数に関しては、推計人数が少なくなっている可能性があり、参考値として取り扱うべきである。

公開日・更新日

公開日
2020-08-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201922026B
報告書区分
総合
研究課題名
エコチル調査を活用した脳性麻痺発生率等に関する研究
課題番号
H29-医療-指定-005
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 圭司(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 臓器・運動器病態外科部 リハビリテーション科)
研究分担者(所属機関)
  • 新田 裕史(国立研究開発法人  国立環境研究センター 環境リスク・健康研究センター )
  • 目澤 秀俊(国立研究開発法人  国立成育医療研究センター エコチル調査研究部 行動発達系計測研究プロジェクトチーム)
  • 梅原 永能(国立研究開発法人  国立成育医療研究センター 周産期母性診療センター 産科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
エコチル調査を活用し在胎週数別・出生体重別脳性麻痺の発生数や発生原因の分析により当該制度の補償対象となる重度脳性麻痺児数の推計を行う。
研究方法
2011年~2014年に出生したエコチル調査参加児について、3・4・5歳時調査票において「脳性麻痺」との回答を得た事例について、児の分娩機関及び医療機関の診療録等から分娩時のデータ及び現在の肢体不自由の程度等の情報を把握する。
結果と考察
2019年10月20日現在、エコチル調査参加者の中で、2011年出生が9,736人、2012年出生が28,270人、2013年出生が35,628人、2014年出生が26,666人で、全体が100,300人であった。上記参加者の内、質問票にて「脳性麻痺」を選択されていた人数は108人であった。脳性麻痺発生率は、母数を出生数とすると、対象者全体で1.08人/1000出生、2011年出生で2.47、2012年出生で0.81、2013年出生で0.98、2014年出生で0.98であった。産科医療補償制度脳性麻痺対象者に絞り、一般審査基準(旧基準)、個別審査基準(旧基準)、一般審査基準(新基準)、個別審査基準(新基準)での脳性麻痺発生率は出生数全体で、0.35、5.80、0.40、6.79であった。脳性麻痺発生数を元に、2014年出生数での脳性麻痺発生数を推定したところ、一般審査基準(旧基準)での該当者が出生年により211~387人の幅を認めた。個別審査基準(旧基準)では、質問票回収数により59~111人の幅を認めた。また、一般審査基準(新基準)での該当者が313人、質問票回収数により250~455人の幅を認めた。個別審査基準(新基準)では、29人、質問票回収数により14~39人の幅を認めた。脳性麻痺発生率は、今回、出生数に対して、報告された脳性麻痺発生数から算定し、0.67~2.16/1000出生であった。先行調査では、沖縄で1988年から2009年までに696例の脳性麻痺が発生し、その発生率は1.9であった。2005年から2009年に絞ると沖縄県で1.6であり、同時期に行われた脳性麻痺発生調査では、栃木県では2.1、三重県では3.0の発生率であった。鳥取県、徳島県、栃木県において、2009年から2013年に出生した脳性麻痺発生率は年ごとに、鳥取県で0.4~2.2、徳島県で1.7~2.3、栃木県で1.3~2.1であり、今回の結果はその範囲より低い傾向があった。エコチル調査から算定した年間脳性麻痺発生数推計は、個別審査対象者が少ないが、選択バイアスにより発生数が低く見積もられている可能性があり、参考値としてみるべきであると考える。
結論
エコチル調査全体の参加者データから産科医療補償制度での脳性麻痺発生率と発生数を推計した。個別審査対象者数に関しては、推計人数が少なくなっている可能性があり、参考値として取り扱うべきである。

公開日・更新日

公開日
2020-08-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201922026C

成果

専門的・学術的観点からの成果
産科医療補償制度は5歳までに登録を行う制度である。2019年10月20日現在、エコチル調査参加者の中で、2011年出生が9,736人、2012年出生が28,270人、2013年出生が35,628人、2014年出生が26,666人で、全体が100,300人であった。5歳質問票登録数は2011年出生が7,227人、2012年出生が20,899人、2013年出生が25,705人、2014年出生が15,030人で、回収率は68.7%であり、エコチル調査全体としての傾向を十分に反映している登録数と言える。
臨床的観点からの成果
特記事項なし。
ガイドライン等の開発
特記事項なし。
その他行政的観点からの成果
本研究は、「産科医療補償制度」の「脳性麻痺の基準、補償水準、掛金の水準、剰余金の使途等」を検討するにあたり、効果的で効率的な運用を行うための基礎資料として資するものである。
その他のインパクト
特記事項なし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2022-05-13
更新日
2024-05-23

収支報告書

文献番号
201922026Z