支援機器の適切な選定および導入運用に向けたガイドライン作成のための研究

文献情報

文献番号
201918035A
報告書区分
総括
研究課題名
支援機器の適切な選定および導入運用に向けたガイドライン作成のための研究
課題番号
19GC2002
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
井上 剛伸(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 福祉機器開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 上野 友之(国立大学法人筑波大学)
  • 浅川 育世(茨城県立医療大学)
  • 上村 智子(信州大学)
  • 石川 浩太郎(国立障害者リハビリテーションセンター)
  • 石渡 利奈(国立障害者リハビリテーションセンター)
  • 硯川 潤(国立障害者リハビリテーションセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、種々の支援機器データベース作成や、それに基づいた選定・導入運用が行われているが、既存のデータベースは、支援場面や適応者等の情報が統一されていない。このことから、
既存の支援機器に関するデータを有効に活用するためには、リハ関連専門職等が共通して利用できるガイドライン等が必要である。本研究では、そのためにICFにおける活動・参加の項目、ISO9999福祉用具の分類と用語の支援機器の分類規格等を基に、既存の支援機器をICFの対応表を作成し、それに基づいた機器の選定・導入運用に関するガイドライン作成に資する情報を整理することを目的とする。今年度の目標は、対応表の素案作成、支援機器利用状況の現状把握とした。
研究方法
1)既存の福祉・支援機器に関するデータベースの情報集約
インターネット調査により国内外で公開されている福祉・支援機器のデータベースの現況を把握する。
2)ICFおよびISO9999の現状把握
対応表構築に必要となる事項について、ICFおよびISO9999に関する情報収集を行う。
3)支援機器の利用状況および関係する専門職の状況把握
地域や就労・就学といった一定の共通した属性を有する障害者が、どのようなプロセスで支援機器を入手し活用しているかを調査する。
4)原因疾患別の支援機器利用状況の整理
支援機器利用者の代表的原因疾患についてその心身機能等を表現するために必要なICF項目を抽出する。
5)支援機器のICF対応表の作成
ICFの心身機能・構造と活動・参加の項目を用いて、ISO9999等で規定される支援機器をマッピングし、対応表の素案を作成する。
6)既存の支援機器データを基にした対応表の確認と修正
既存の支援機器に関する調査データを基に、本研究で構築する対応表の項目および構造について確認し、修正点を指摘する。
7)既存の支援機器データベースと作成した対応表の関連整理
既存の支援機器データベースに関する調査結果を用いて、作成した対応表を用いた数値的データ活用を想定し、対応表の仕様に反映させる。
結果と考察
1)既存の福祉・支援機器に関するデータベースの情報集約
海外では、ヨーロッパを中心に各国の支援機器データベースの連携が構築されており、そこではISO9999を基に分類が行われていた。国内では、テクノエイド協会のデータベースがISO9999を使用しているものの、その他ではそれぞれが異なった分類方式を採用していた。
2)ICFおよびISO9999の現状把握
WHOでは支援機器に関するグローバルレポートの作成を検討しており、ICFとISO9999の分類は広く活用されており、あわせて機器の利活用促進に向けた議論も進められていた。
3)支援機器の利用状況および関係する専門職の状況把握
障害者の在宅支援における支援機器の選定・調整の実態について、医療・福祉専門職へのインタビュー調査を実施した結果、多様なスマートデバイスが、意思伝達装置や環境制御装置と同等の用いられ方をしていることが示された。
4) 原因疾患別の支援機器利用状況の整理
認知症者のための支援機器のデータベースの製品群では,日課の管理、健康に注意すること,記憶、見当識機能など疾患特有の活動制限や機能障害を補う製品はあるが,実際にはあまり活用されていないことが明らかになった。耳鼻咽喉科では聴覚障害声言語機能障害、そしゃく嚥下機能障害に分けて支援機器の調査を行い、利用されている機器を抽出した。視覚障害領域では、既存のデータベースを基に、利用されている機器を抽出した。これらの状況を整理すると、支援機器の特徴として、心身機能・構造に作用するものと、活動・参加に作用するものに分けられることが示唆された。
5)支援機器のICF対応表の作成
ICFの心身機能・構造を縦軸、活動・参加を横軸とする二次元の表にISO9999/支援機器を配置するマップをベースとし、ISO9999/支援機器とICFの心身機能・構造、活動・参加とを対応づけるデータベースの仕様を作成した。さらに、4)にて抽出された機器を基に、認知機能領域、視覚障害領域、義肢装具領域について、対応表の素案を作成した。
6)既存の支援機器データを基にした対応表の確認と修正
小児を対象として、利用されている支援機器に関する調査を計画し、倫理審査を完了した。
7)既存の支援機器データベースと作成した対応表の関連整理
ドイツの支援機器データベースREHADATで示されるICFコードとISO9999のコードから、作成する対応表のコンセプトにつながる知見を得ることができた。
結論
今年度は、ICFとISO9999を用いて、生活機能と支援機器の対応表素案を作成した。そのための調査から、障害領域により支援機器の特徴に違いがみられることがわかった。

公開日・更新日

公開日
2020-11-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2020-11-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201918035Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,000,000円
(2)補助金確定額
6,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,154,883円
人件費・謝金 347,748円
旅費 382,076円
その他 3,115,293円
間接経費 0円
合計 6,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-03-26
更新日
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