特定給食施設等における適切な栄養管理業務の運営に関する研究

文献情報

文献番号
201909039A
報告書区分
総括
研究課題名
特定給食施設等における適切な栄養管理業務の運営に関する研究
課題番号
19FA2002
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
市川 陽子(静岡県公立大学法人 静岡県立大学 食品栄養科学部 栄養生命科学科)
研究分担者(所属機関)
  • 赤尾 正(大阪樟蔭女子大学 健康栄養学部 健康栄養学科)
  • 桑原 晶子(大阪府立大学 総合リハビリテーション学研究科)
  • 神田 知子(同志社女子大学 生活学部 食物栄養科学科)
  • 高橋 孝子(神戸女子大学 家政学部 管理栄養士養成課程)
  • 宇田 淳(滋慶医療科学大学院大学 医療管理学研究科 医療安全管理学専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
19,783,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は、特定給食施設の適切かつ持続可能な栄養管理の推進と、そのための効率的・効果的な給食管理業務の推進に向けて調査を行い、栄養管理の主体である給食管理の状況に合わせた効率的・効果的な業務推進にとって障害となる因子、有用な因子を抽出し、課題を整理すること、また、医療機能や病床規模等に応じた新たな給食管理手法を検討することである。
 
研究方法
 1年目の令和元年度は、
1) 医療施設の給食の運営業務について医療施設に特化した質問紙調査を全国規模で実施し、合理化、効率化のための課題を抽出した。すなわち病院機能別、病床規模別、給食運営の形態別(直営、委託、院外、院内)、調理・配膳システム別に、労働生産性、設定および提供食種数と食数管理の現状、調理作業の合理化・効率化の実態と食事の品質課題、調理作業に求められる専門性、人的資源の確保や栄養・食事管理のIT化の状況等を明らかにし、課題を整理した。
2) 給食の生産システムとしてカミサリー/セントラルキッチンや新調理システムを導入している先進的な施設にヒアリングを行い、効率的・効果的な給食管理手法としての可能性を検討した。
3) 新調理システムのクックチル、通称ニュークックチルで生産した調理物の栄養成分分析を行い、栄養的、品質的変化についてクックサーブと比較検討した。
4) 給食の生産システムの実効ある合理化、効率化、また効率だけでなく食事の総合品質(食事満足度)の担保に必要な情報を既報より収集し、課題を整理した。
5) 新しい生産システム導入で検証されるべき病院建築における給食部門の決定要因の分析と、業務の可視化を試みた。
結果と考察
 医療施設の給食の運営において、効率的・効果的な業務の推進に必要な要点は、①労働生産性の高い生産システムであること、②食種を減らすこと、③食数を減らすこと、④調理作業工程を減らすことであると考えられる。さらに、業務の合理化、効率化の結果が、⑤食事満足度の高い品質であり、適切な栄養管理でなければならない。
 ①労働生産性について、病院機能別、給食運営形態と調理システム別に比較したが、変動係数が大きく、いずれの間にも有意差は認められなかった。今後、同じ病院機能、同規模の病院での比較を行う。さらに、調理作業の省力化に必要な大型機器の導入状況、カット野菜や調理済み食品の導入状況とも併せて検討する必要がある。
 ②③食種・食数が多くなる要因は、食事箋の食事基準(病態別で多い)、個別対応の多さにあるが、設定食種と実提供食種の差からは、適切に統合・集約する余地があると思われた。食種の縮小化ができる施設と、できない施設については、2年目以降、病院の栄養部門の長に依頼し、病院機能または病床規模ごとにグループインタビューを行い、さらに検討していきたいと考えている。食数管理の効果的な手法についても2年目に検討を行う。
 ④調理作業の合理化、効率化は、多くの施設で実施されており、特別食の栄養基準、一般食も含めた献立基準や食形態基準の見直しの工夫、複数食種での作業工程の同一化は、食種を減らすヒントにもなる。調理作業工程を簡素化、単純化できる調理済み食品の使用、アッセンブリー化も要点と考えられた。2年目は、常食から特別食への展開手法を調査し、食種が多くても作業工程を同一にすることで図れる効率化について、労働生産性と併せて検討する。
 ⑤院外・院内の別なく、ニュークックチルは食事の栄養量には変化がなかったが、品質課題が多いことが質問紙、ヒアリング調査のいずれからも明らかになった。食事満足度は摂取量にも直結するため、メニュー研究でデメリットを克服すること、調理システムを問わず、統一された品質評価票を開発することも必要と考える。
結論
 医療施設の給食運営業務について全国規模の質問紙調査を実施し、労働生産性、食種数、食数管理の現状、食事の品質課題、調理作業の合理化・効率化の実態、調理作業に求められる専門性、人的資源の確保や栄養・食事管理のIT化の状況等を調べ、病院機能、病床規模、給食運営の形態、調理・配膳システム等の視点を柱に、給食管理業務の合理化、効率化のための課題を整理した。

公開日・更新日

公開日
2020-10-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2020-10-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201909039Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
25,000,000円
(2)補助金確定額
24,643,000円
差引額 [(1)-(2)]
357,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,334,580円
人件費・謝金 1,856,939円
旅費 1,607,265円
その他 11,628,281円
間接経費 5,217,000円
合計 24,644,065円

備考

備考
・1,065円の自己資金を投入

公開日・更新日

公開日
2021-02-09
更新日
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