地域高齢者の市販弁当等の購買状況を踏まえた適切な食事の普及啓発のための研究

文献情報

文献番号
201909016A
報告書区分
総括
研究課題名
地域高齢者の市販弁当等の購買状況を踏まえた適切な食事の普及啓発のための研究
課題番号
H30-循環器等-一般-008
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
本川 佳子(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 横山 友里(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
  • 奈良 一寛(実践女子大学)
  • 小林 知未(帝塚山学院大学)
  • 目加田 優子(文教大学)
  • 鈴木 友貴(小久保 友貴)(愛知淑徳大学)
  • 渡邊 裕(北海道大学)
  • 平野 浩彦(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
  • 吉崎 貴大(東洋大学)
  • 大上 安奈(東洋大学)
  • 大渕 修一(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
  • 粟田 主一(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
8,454,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
①地域高齢者の市販の惣菜等の利用状況を含めた食事パターンの検討(以下、食事パターンの検討)
地域高齢者の適切な栄養支援に向けては、市販弁当・惣菜等の利用状況を考慮し地域高齢者の食生活の実態に即した、食環境整備の推進を行っていく必要がある。しかし、これまでに本邦において地域高齢者の食事調査及び惣菜等の購買状況を含めた食事パターン(惣菜等の利用等)の把握や、食事パターン別の栄養素等摂取量についての実態把握は十分ではない。そこで本研究では、地域高齢者の食事パターン及び食事パターン別の栄養素等摂取量について実態を把握することを目的に調査を行った。
②地域高齢者の市販弁当等の食品分析による実態に即した栄養素等摂取量の把握(以下、食品分析による検討)
平成27年4月1日に食品表示法が施行され、容器包装に入れられた加工食品には栄養成分表示必ず表示されることとなった。栄養成分表示を活用した、食品の選択、組み合わせによる、健康の維持・増進が期待されている。しかし、地域高齢者に向けた栄養成分表示の活用方法については十分に示されていない。また、市販の惣菜等は手製とは異なる工程で加工され、日本食品標準分析表の収載値等による推定値、目安とは多少の差が認められる可能性がある。そこで本研究は地域高齢者の栄養成分表示の活用方法について検討することを目的に栄養成分表示と公定法による分析値の比較検討を行った。
研究方法
①食事パターンの検討
食事調査への参加を希望した317名の地域在住高齢者に、1日分の秤量法による食事調査を行った。
②食品分析による検討
分担報告書「地域高齢者の市販の惣菜等の利用状況を含めた食事パターンの検討」で得られた食事調査から、市販弁当等を抽出し、栄養成分分析を行った。
栄養成分分析:食事調査から得られた市販弁当等を同様のものを購入し、栄養成分分析を行った。栄養成分分析はエネルギー、炭水化物、食物繊維、たんぱく質、脂質、食塩相当量、カルシウム、カリウムとし、公定法により測定を行った(以下、分析値)。得られた分析値のうち、推定値、目安により栄養成分表示されているエネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量)について栄養成分表示のある市販弁当、総菜34件について記載されている値と比較検討した。
結果と考察
①食事パターンの検討
自炊でたんぱく質摂取量の多い高位群は、たんぱく質をはじめ、種々の栄養素の十分な摂取ができているが、たんぱく質摂取量の少ない低位群では、不足傾向にある栄養素が多くなっていた。特にたんぱく質、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12のRDA未達成割合は1回群、2回群、低位群、中位群、高位群の間で最も低く、有意差が認められた。一方で、惣菜等を使用する1回群、2回群では、高位群に比較し摂取量の低い栄養差は認められるものの、ビタミンA、カルシウム、鉄を除き、RDAの達成割合は65%以上となっていた。以上より、惣菜等を利用した食事においても適切な栄養摂取が可能であり、また、惣菜等の使用で不足しがちなビタミン、ミネラルは、乳製品、果物等を追加することで、高位群とより近い栄養素等摂取量につなげることができると考えられた。
②食品分析による検討
今回、市販弁当、総菜に表示されている栄養成分表示と分析値について比較検討を行った結果、20%以上の差があるものが複数認められた。差が認められた市販弁当、総菜についてはすべて推定値、目安値により栄養成分表示がされていたことから、季節変動等の要因による製品間の差が認められている可能性があり、今後分析対象数を増やし、栄養成分分析による分析値により栄養成分表示がされている市販弁当、総菜等の検討や、主食、主菜、副菜別等に分類し、検討を行う必要がある。
結論
①食事パターンの検討
本研究により、地域高齢者の惣菜等を含めた食事パターンを明らかにした。惣菜等を利用した食事においても適切な栄養摂取が可能と考えられ、さらに組み合わせを考慮することで、より適切な栄養摂取につながると考えられた。そこで本研究は、市販弁当、総菜等を活用した食環境整備を目指し、地域高齢者の栄養成分表示の活用方法について検討することを目的に栄養成分表示と公定法による分析値の比較検討を行った。
②食品分析による検討
市販の弁当、総菜等の栄養成分表示と分析値を比較した結果、20%以上の差が認められるものが散見された。市販の弁当、総菜等を利用する際は、食品の栄養成分表示を通して、栄養管理につなげることが期待されるが、今後詳細に検討していく必要性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2020-10-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-10-15
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201909016Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,990,000円
(2)補助金確定額
10,860,000円
差引額 [(1)-(2)]
130,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,137,532円
人件費・謝金 1,952,577円
旅費 465,292円
その他 4,768,628円
間接経費 2,536,000円
合計 10,860,029円

備考

備考
自己資金29円

公開日・更新日

公開日
2021-02-09
更新日
-