循環器疾患・糖尿病等生活習慣病を予防するための情報通信技術を活用した保健指導プログラム及びその実践のための手引きの作成と検証

文献情報

文献番号
201909015A
報告書区分
総括
研究課題名
循環器疾患・糖尿病等生活習慣病を予防するための情報通信技術を活用した保健指導プログラム及びその実践のための手引きの作成と検証
課題番号
H30-循環器等-一般-007
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
春山 早苗(自治医科大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 田村 須賀子(富山大学 大学院医学薬学研究部)
  • 小谷 和彦(自治医科大学 医学部)
  • 淺田 義和(自治医科大学 医学情報センター)
  • 廣江 貴則(自治医科大学 大学院看護学研究科)
  • 江角 伸吾(自治医科大学 看護学部)
  • 由田 克士(大阪市立大学 大学院生活科学研究科)
  • 中田 由夫(筑波大学 体育系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
4,570,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、血圧高値、脂質異常、血糖高値等の脳・心血管疾患危険因子保有者に対する情報通信技術(以下、ICT)を活用した保健指導プログラムを作成・検証するとともに、その実践のための手引きを作成することである。3か年計画の2年目にあたる本年度は、昨年度、文献検討等から作成した生活習慣病を予防するためのICTを活用した保健指導プログラム案の検証(分担研究1)、ICTを活用した保健指導を実践するにあたっての手引きに必要な項目・内容の検証(分担研究2)、「食生活改善指導担当者テキスト」の改訂(分担研究3)、運動指導従事者への研修教材の作成(分担研究4)を目的とした。
研究方法
研究1:特定保健指導の積極的支援対象に対するICT活用プログラム(A初回面接テレビ電話活用、Bウェアラブル機器・スマートフォン(以下、スマホ)活用によりセルフモニタリング強化、Cウェアラブル機器・スマホ・ウェブサイト活用により自己管理行動の継続支援強化)について、アウトカム評価を3か月以上の保健指導後の体重、腹囲、個別目標達成度、プロセス評価を保健指導の有用感、ARCSモデルによるプログラム評価とし、プログラム間又はICTツールの活用頻度等による差を検証した。
研究2:ICT活用保健指導実施者に、作成した「ICTを活用した保健指導を実践するにあたっての手引き(案)」を保健指導実施前に一読してもらい、保健指導開始の約3か月後に、遠隔面接の準備段階及び実施中に大変であったこと、手引き(案)に追加すべき内容等について半構造的インタビューを行った。
研究3:「食生活改善指導担当者テキスト」(平成20年3月、厚生労働省)について、昨年度の調査結果である改訂等に関わる意見を考慮して改定した。改定原稿について、利用対象である栄養士、歯科衛生士等から意見聴取した。
研究4:昨年度に整理した課題を踏まえ、運動指導担当者研修テキスト(案)を作成した。テキスト利用対象である栄養士、歯科衛生士等、並びに関連する他の研究班から意見聴取し、それを踏まえて最終版を作成した。
結果と考察
研究1:3か月以上の保健指導後に体重や腹囲の改善が認められたのは、初回面接においてテレビ電話を活用したプログラムであった。しかし、プログラム評価の【満足感】は低く、他に有意に高い評価項目はなく、体重や腹囲の改善にはプログラム以外の影響が考えられた。
プログラム評価について、ウェアラブル機器を配付したプログラムは保健指導の有用感やプログラム評価の【満足感】が高く、また、スマホアプリやスマートウオッチの活用頻度が週2回以上の者は、保健指導の有用感やプログラム評価の【関連性】が高く、スマートウオッチについては【注意】や【自信】も高かった。
研究2:手引き(案)に追記すべき内容として、実施者側のデバイスのディスプレイ目安、遠隔面接におけるスマホの活用の強調、遠隔面接対象者との情報共有(資料・教材)に関する郵送と電子メールの具体的な長所・短所等が明らかとなった。
研究3:「食生活改善指導担当者テキスト」の改定に当たり、前年度明らかとなったニーズの高いキーワード(時間栄養学、サプリメント、交代勤務等)をできるだけ取り上げる等に留意した。意見聴取の結果、担当著者と同一職種からは新しい指針による対応の不足等について、担当著者と異なる職種からは専門用語が他職種では理解し難い、十分なコンセンサスが得られていない内容は一般的な記述にとどめるか補足する等の意見があった。
研究4:意見聴取の結果から、実際の特定保健指導で運動指導に割ける時間は短いことを考慮し、優先順位の高い内容に絞って、運動指導担当者研修テキストを作成した。健康日本21(第二次)で推奨されている内容や、ICTを活用した運動指導に関する内容を含めるようにした。
結論
ICTを活用した3つの保健指導プログラムの中で、体重や腹囲の改善というアウトカムに優位な効果をもたらすものは認められなかった。プログラム評価の結果から、スマホアプリと連動したスマートウオッチのようなウェアラブル機器を配付するプログラムは、保健指導への好奇心を刺激し、セルフモニタリングが強化され、やりがいや自信を与え、自己管理行動が継続されることが示唆された。
 ICTを活用した保健指導を実践するにあたっての手引き(案)について、インタビュー調査の結果から、実施者側のデバイスのディスプレイ目安やスマホ活用の強調等、9の内容を追記する必要がある。
「食生活改善指導担当者テキスト」については、改訂原稿に対する第三者から聴取した意見を踏まえ確定稿とした。
運動指導担当者研修テキストについては、意見聴取の結果から実際に運動指導に割ける時間は短い等の意見を踏まえて、優先順位の高い内容に絞り、特定保健指導従事者が知っておくべき内容をある程度、網羅した。

公開日・更新日

公開日
2021-02-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

倫理審査等報告書の写し
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2021-02-09
更新日
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研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201909015Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,940,000円
(2)補助金確定額
5,940,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 932,876円
人件費・謝金 523,270円
旅費 735,368円
その他 2,378,486円
間接経費 1,370,000円
合計 5,940,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2021-02-09
更新日
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