文献情報
文献番号
201909010A
報告書区分
総括
研究課題名
地域におけるかかりつけ医等を中心とした心不全の診療提供体制構築のための研究
課題番号
H30-循環器等-一般-002
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
磯部 光章(公益財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院)
研究分担者(所属機関)
- 安斉 俊久(北海道大学 大学院医学研究院循環病態内科学教室 )
- 今村 知明(奈良県立医科大学医学部公衆衛生学講座)
- 江頭 正人(東京大学大学院医学系研究科医学教育国際研究センター )
- 木原 康樹(広島大学大学院医歯薬保健学研究科医歯薬学専攻医学講座循環器内科学)
- 香坂 俊(慶応義塾大学医学部循環器内科 )
- 後藤 葉一(公立八鹿病院)
- 小室 一成(東京大学医学部附属病院循環器内科学 )
- 佐藤 幸人(兵庫県立尼崎総合医療センター循環器内科)
- 筒井 裕之(九州大学大学院医学研究院循環器内科学)
- 福本 義弘(久留米大学医学部内科学講座心臓・血管内科部門 )
- 武藤 真祐(医療法人社団鉄祐会 )
- 森田 啓行(東京大学医学部附属病院循環器内科学 )
- 山田 佐登美(川崎医療福祉大学医療福祉学部保健看護学科・川崎医科大学総合医療センター看護部 )
- 弓倉 整(弓倉医院 )
- 弓野 大(医療法人社団ゆみの )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
6,930,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究班は、心不全診療を中心とする循環器専門医と循環器診療を専門としない医師や看護師・メディカルスタッフ・ソーシャルワーカー・介護職等の多職種による連携推進を目的に、在宅診療患者のケアのありようについて多面的に検討を行い、心不全患者の病診連携に関わる実効性のあるステートメントの作成、地域連携パス等を策定、実践ならびに検証することを目的とする。
研究方法
心不全ガイドブックについては、概要決定、執筆依頼、一次原稿の確認を行い、2019年9月に最終原稿をまず「試用版」として完成させた。12月より研究班員ほか日本医師会、協力団体である日本プライマリ・ケア連合学会、日本在宅医療連合学会よりご推薦頂く実地医家に評価をいただいた。2020年1月に評価結果を解析し、さらにグループ討議のもとに最終版の概要を確定した。2020年度初めには改訂執筆、著作権の処理、動画作成(リハビリ、エコー等)を経て、今年度内を目標として完成版を作成し、Web上で発表予定である。
また、心不全患者の教育ツールとして動画を作成した。「心不全と上手に付き合うには~心不全自己管理のすすめ~」「もっと詳しいコツを知りたい人へ」というタイトルで、ストーリー仕立て、ナレーション付きである。現在榊原記念病院外来・病棟で試用して内容を検証中である。他のいくつかの病院でもご使用いただいている。2019年9月には本研究班のHPを立ち上げ、動画をダウンロード可能とした。ガイドブック試用版の評価の回答もHPに直接送れるように調整した。2020年4月現在25,000回以上の再生がある。
さらに、現在かかりつけ医、コメディカルが利用できる患者退院後の医療・福祉サービスに関する利用ガイドブックの作成を企画中である。2020年度初めの完成を目指している。
10月にはエキスパートオピニオンによるガイドラインの検証作業会議を開催した。この作業は心不全の治療方針に関するキークエスチョンを策定し、客観的意見集約法(RAND-Delphi法)を用いて、日本の診療現場に合わせた適切性基準(AUC)を提示することを目的としている。今後、検証結果をガイドブックに反映させることに加えて、パブリックに開示し発表する予定である。
また、心不全患者の教育ツールとして動画を作成した。「心不全と上手に付き合うには~心不全自己管理のすすめ~」「もっと詳しいコツを知りたい人へ」というタイトルで、ストーリー仕立て、ナレーション付きである。現在榊原記念病院外来・病棟で試用して内容を検証中である。他のいくつかの病院でもご使用いただいている。2019年9月には本研究班のHPを立ち上げ、動画をダウンロード可能とした。ガイドブック試用版の評価の回答もHPに直接送れるように調整した。2020年4月現在25,000回以上の再生がある。
さらに、現在かかりつけ医、コメディカルが利用できる患者退院後の医療・福祉サービスに関する利用ガイドブックの作成を企画中である。2020年度初めの完成を目指している。
10月にはエキスパートオピニオンによるガイドラインの検証作業会議を開催した。この作業は心不全の治療方針に関するキークエスチョンを策定し、客観的意見集約法(RAND-Delphi法)を用いて、日本の診療現場に合わせた適切性基準(AUC)を提示することを目的としている。今後、検証結果をガイドブックに反映させることに加えて、パブリックに開示し発表する予定である。
結果と考察
研究結果:本年度は、研究者が実践している病診連携の方法、ツールに関して討議を行い、現状の循環器疾患の病診連携における問題点を抽出した。「かかりつけ医のための心不全診療ガイドブック」の試用版を作成し、150名以上の一般かかりつけ医等からの評価を得て、それをもとにガイドブック試用版の改定を行い完成版の原稿を作成している。評価結果については添付の資料に詳述する。さらに患者・家族の教育を支援するための動画教材を作成し、一般に公開を行った。さらにエビデンスに乏しい高齢心不全のガイドラインの内容検証を検証する。また心不全診療のガイドラインに関わるCQを設定し、エキスパートコンセンサスの形で適切性基準についての提言案を設定した。また病診連携パスについての議論が進み、統一的なパス作成についての問題点を把握した。
考察:本年度は、心不全患者の病診連携に関わる実効性のあるガイドブック(試用版)を作成し、研究分担者・研究協力者、実地医家より寄せられた意見を元に実用性や有用性の観点から修正作業を行った。高齢者心不全、多職種介入についてはエビデンスが乏しく、ガイドラインの実効性についても検証が行われていない。今後、研究協力者の施設を中心とする都会及び疎開地域それぞれにおいて、ガイドブックにそった診療の実践ならびに心不全患者の教育ツールを用いた臨床を行い、実現性、医学的効果、問題点の抽出その検証を行うべきであり、その作業を開始する。
本研究班ではエキスパートオピニオン(RAND-Delphi法)によるその検証を行い論文にまとめた(投稿中)。またその結果をガイドブックに反映させることも目標としている。
考察:本年度は、心不全患者の病診連携に関わる実効性のあるガイドブック(試用版)を作成し、研究分担者・研究協力者、実地医家より寄せられた意見を元に実用性や有用性の観点から修正作業を行った。高齢者心不全、多職種介入についてはエビデンスが乏しく、ガイドラインの実効性についても検証が行われていない。今後、研究協力者の施設を中心とする都会及び疎開地域それぞれにおいて、ガイドブックにそった診療の実践ならびに心不全患者の教育ツールを用いた臨床を行い、実現性、医学的効果、問題点の抽出その検証を行うべきであり、その作業を開始する。
本研究班ではエキスパートオピニオン(RAND-Delphi法)によるその検証を行い論文にまとめた(投稿中)。またその結果をガイドブックに反映させることも目標としている。
結論
本年度の研究もおおむね当初予定通りに進捗し、一定の成果を上げることができた。「かかりつけ医のための心不全診療ガイドブック」(試用版)完成させ、検証作業の結果を検討しながら修正を重ねている。また、心不全患者のためのいくつかの動画も制作し、実際に病院等で試用中である。さらに、心不全に対する理解や啓発に役立てることが出来るよう本研究のホームページも立ち上げた。RAND-Delphi法を用いた検証作業も行い、論文にまとめた。2020年度はガイドブック、病診連携パス、医療サービスに関する啓発書の完成を目標とする。これらのツールを踏まえて、市民公開講座、各学会における公開シンポジウムでの公開と討議を通じてガイドラインの普及、啓発、検証を図る。
公開日・更新日
公開日
2020-09-15
更新日
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