母子保健情報を活用した「健やか親子21(第2次)」の推進に向けた研究

文献情報

文献番号
201907016A
報告書区分
総括
研究課題名
母子保健情報を活用した「健やか親子21(第2次)」の推進に向けた研究
課題番号
19DA1003
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
山縣 然太朗(山梨大学 大学院総合研究部 医学域 基礎医学系 社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 山崎 嘉久(あいち小児保健医療総合センター)
  • 松浦 賢長(福岡県立大学 看護学部)
  • 上原 里程(京都府立医科大学 大学院医学研究科 地域保健医療疫学)
  • 永光 信一郎(久留米大学 医学部 小児科)
  • 横山 美江(大阪市立大学 大学院看護学研究科)
  • 鈴木 孝太(愛知医科大学 医学部 衛生学講座)
  • 市川 香織(東京情報大学 看護学部 看護学科)
  • 近藤 尚己(東京大学 大学院医学系研究科 公共健康医学専攻)
  • 宮崎 晴菜(川口 晴菜)(大阪母子医療センター 産科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
19,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、健やか親子21(第2次)の目標達成や新たな課題に関する科学的知見の収集・提案をすること、および、効率的効果的な母子保健事業の実施に資する普及可能な汎用性の高い利活用モデルを構築することである。
研究方法
研究内容は次の5点である。
1.母子保健情報を利活用した「健やか親子21(第2次)」の推進のための環境整備に関する研究
2.健やか親子21(第2次)の中間評価に資する課題の整理
3.母子保健領域の「知識」のデータベースの構築
4.乳幼児健診情報システムの改修
5.全国へ普及可能な汎用性の高い利活用モデルの構築
結果と考察
1.母子保健情報を利活用した「健やか親子21(第2次)」の推進のための環境整備に関する研究
母子保健情報を利活用した取組として、母親のヘルスリテラシー及び健康情報の情報源に関する研究、風疹および先天性風疹症候群に関する健康情報の認識についての研究を行った。
2.健やか親子21(第2次)の中間評価に資する課題の整理
今年度に中間評価を迎えた「健やか親子21(第2次)」であるが、その評価に資する課題の整理として、主に4つの研究を行った。後期早産児の母親への支援についての研究では、看護職者が後期早産児を出産した母親に対しどのようなケアをしているか、その実態を把握するため、新生児集中治療室(NICU)に勤務する助産師・看護師及び産科病棟に勤務する助産師・看護師を対象に後期早産児の母親へのケアについてインタビュー調査を実施し、質的記述的な分析を試みた。また、妊娠中の喫煙と児の発達についての研究では、性別、出生体重別に出生体重を四分位にして、それぞれの群で、妊娠中の母親の喫煙の有無が児のBMIの推移にどのように影響しているかを検討した。育てにくさを感じる親に寄り添う支援の関連要因に関する研究では、健やか親子21(第2次)重点課題①の健康水準の指標と環境整備の指標との関連性に焦点を当て、生態学的研究を行った。そして、経済格差が子どもの健康的な生活に及ぼす影響についての研究では、医学中央雑誌刊行会、PubMedで文献検索を行った。これらの研究は中間評価に資するだけでなく、次の最終評価に向けても重要な課題となってくるところであり、今後の施策にも資するものとなった。
3.母子保健領域の「知識」のデータベースの構築
「母子保健・医療情報データベース」の発展版として、「知識」のデータベースを構築する。これは、世間で流れている情報のエビデンスの有無を明確にし、現在行われている子育てに関連する育児方法や健康支援について化学的エビデンスがどのレベルで存在するのかについて明らかにすることで、子育て支援に携わる専門家が支援の実施を考慮したり、母親の相談対応に明確な回答を与えたりすることができることが期待される。本年度は、掲載する分野や項目、役割分担を決定した。
4.乳幼児健診情報システムの改修
「健やか親子21(第2次)」の中間評価結果に伴い、「乳幼児健診情報システム」の改修を行った。改修点は、中間評価で変更があった指標および指標の設問の文言である。ダウンロード開始より5年が経過し、自治体にも浸透しつつある本システムが、今後、より多くの市区町村と都道府県の母子保健情報データ利活用の一助となることを期待する。
5.全国へ普及可能な汎用性の高い利活用モデルの構築乳幼児健診の個別データ分析
全国へ普及可能な汎用性の高い利活用モデルとしては、産科医療機関における要支援妊婦の抽出を目的とした問診票での情報把握、および行政機関との連携についての研究を大阪府と東京都で実施した。また、福岡県においては、行政と大学とが連携する母子保健連絡地域戦略モデルを目指す取り組みを開始した。さらに、同県の別の自治体では、大学と行政が連携し、妊娠届出時から思春期までの全ての母子保健情報を集積していくモデルの構築を開始しており、本年度は中間とりまとめを行った。
結論
今年度は、「健やか親子21(第2次)」の中間評価がとりまとめられる年度であったため、我々は中間評価に資する課題の整理として、後期早産児の母親への支援や妊娠中の喫煙と児の発達について、育てにくさを感じる親に寄り添う支援の関連要因、経済格差と子どもの健康的な生活についての研究を行った。また、中間評価後には、乳幼児健診情報システムに中間評価時に変更になった点を反映させた。さらに、現在の「母子保健・医療情報データベース」の発展版としての「知識」のデータベースの構築についての検討を開始した。そして、全国へ普及可能な汎用性の高い利活用モデルの構築として、産科医療機関における要支援妊婦の抽出および行政機関との連携、行政と大学とが連携する母子保健連絡地域戦略モデル、妊娠届出時から思春期までの全ての母子保健情報を集積していくモデルの構築を進めた。

公開日・更新日

公開日
2020-10-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2020-10-28
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研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201907016Z