文献情報
文献番号
201907014A
報告書区分
総括
研究課題名
母子保健情報と学校保健情報を連係した情報の活用に向けた研究
課題番号
19DA1001
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
栗山 進一(国立大学法人 東北大学 災害科学国際研究所)
研究分担者(所属機関)
- 菅原 準一(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)
- 目時 弘仁(東北医科薬科大学 医学部)
- 黒川 修行(宮城教育大学 教育学部)
- 小原 拓(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
5,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
母子保健法のもと母子の健康の保持増進を目的とする乳幼児健診に代表される母子保健情報と、学校保健法のもと疾病のスクリーニングを目的とする学校健診情報は、これまでに体系的な連係が行われていなかったが、「経済財政運営と改革の基本方針2018」(平成30年6月15日閣議決定)においてその重要性が明記され、「データヘルス時代の母子保健情報の利活用に関する検討会」によって、母子保健情報の電子的な記録・管理・活用の在り方が検討されてきた。
英国のALSPAC研究では、地域の各種医療情報の連係に加えて、対象児の学校の保健・成績情報等をリンケージした解析が行われており(Int J Epidemiol. 2013;42:111-27)、各ライフステージにおける各種既存情報の利活用の有用性は明らかである。2013年に妊婦リクルートが開始された東北メディカル・メガバンク計画三世代コホート調査においては、母子約22,500組と児の同胞約9,500名を含む三世代家族約73,500名のライフコースにわたるパーソナルヘルスレコード(妊婦健診・乳幼児健診・母子健康手帳・学校健診・小児慢性特定疾病登録・難病登録・(地域)がん登録等)の収集も進めている。その中で、母子保健情報と学校保健情報の電子的な記録・管理・活用状況だけでなく、利活用に向けた情報提供に対する対応・考え方が、医療機関・自治体・教育委員会・中学校によって様々であることを経験してきた。また、コホート調査参加者に対する同意取得の中で、母子および児童の保護者らにおける各種情報の連係やその利活用に対する理解や不安・期待なども様々であることを実感してきた。したがって、母子保健情報と学校保健情報の連係・利活用のメリットの明確化に加えて、連係・利活用のための現実的なインフラ整備のための課題抽出とその対策立案が必要である。
英国のALSPAC研究では、地域の各種医療情報の連係に加えて、対象児の学校の保健・成績情報等をリンケージした解析が行われており(Int J Epidemiol. 2013;42:111-27)、各ライフステージにおける各種既存情報の利活用の有用性は明らかである。2013年に妊婦リクルートが開始された東北メディカル・メガバンク計画三世代コホート調査においては、母子約22,500組と児の同胞約9,500名を含む三世代家族約73,500名のライフコースにわたるパーソナルヘルスレコード(妊婦健診・乳幼児健診・母子健康手帳・学校健診・小児慢性特定疾病登録・難病登録・(地域)がん登録等)の収集も進めている。その中で、母子保健情報と学校保健情報の電子的な記録・管理・活用状況だけでなく、利活用に向けた情報提供に対する対応・考え方が、医療機関・自治体・教育委員会・中学校によって様々であることを経験してきた。また、コホート調査参加者に対する同意取得の中で、母子および児童の保護者らにおける各種情報の連係やその利活用に対する理解や不安・期待なども様々であることを実感してきた。したがって、母子保健情報と学校保健情報の連係・利活用のメリットの明確化に加えて、連係・利活用のための現実的なインフラ整備のための課題抽出とその対策立案が必要である。
研究方法
母子保健情報と学校保健情報を含む胎児期から小児期までのあらゆるパーソナルヘルスレコードの現実的な連係・利活用のための基盤構築を目的に、開始時期の異なる複数の既存出生コホート(三世代コホート調査、BOSHI研究)および産科医療機関の連携基盤(センダードネット)等を利用して、「(1)母子保健情報と学校保健情報の連係・活用による有用性の明確化に向けた解析」と「(2)現実的なインフラ整備に向けた調査」として、「関係省庁との連携強化と三世代コホートにおける情報収集の推進」「学童期の疾患の発症と予後に関する検討・解析」「乳幼児・学童期における各健診項目について関連性のある項目の一覧作成」「自治体・学校・教育委員会・医療機関等における情報連係の必要性・効果・期待に関する調査」「研究参加者の乳幼児・学校健診情報の収集と解析」「研究参加者における認識・希望調査」「インフラとしてのセンダードネットの可能性の検討」「既存インフラに関する調査」を行った。
結果と考察
(1)母子保健情報と学校保健情報の連係・活用による有用性の明確化に向けた解析および、(2)現実的なインフラ整備に向けた調査によって、母子保健情報と学校保健情報の連係の意義とその実行可能性は十分高いことが明らかとなった。一方で、情報連係の意義の明確化のためには、既存の出生コホートにおける更なる情報収集・連係の推進を図り、様々な角度から本情報連係の有用性を成果創出と実装案とをリンクさせた形で提示していく必要性が考えられた。
各分担研究は順調に進捗し、(1)母子保健情報と学校保健情報の連係・活用による有用性の明確化に向けた解析における既存コホートの解析に関しては、情報連係の意義を裏付けるような結果が得られている。(2)現実的なインフラ整備に向けた調査の結果からも、意義の提示のみならず、自治体・教育委員会・学校等における具体的な利活用の形にまで落とし込むことが重要である可能性が見いだされたため、コホートを用いた情報連係の意義に関する解析および成果創出を推進するとともに、関係省庁および自治体・教育員会・学校との情報共有・連携を強化し、より実効性の高い検討を行っていく必要がある。
各分担研究は順調に進捗し、(1)母子保健情報と学校保健情報の連係・活用による有用性の明確化に向けた解析における既存コホートの解析に関しては、情報連係の意義を裏付けるような結果が得られている。(2)現実的なインフラ整備に向けた調査の結果からも、意義の提示のみならず、自治体・教育委員会・学校等における具体的な利活用の形にまで落とし込むことが重要である可能性が見いだされたため、コホートを用いた情報連係の意義に関する解析および成果創出を推進するとともに、関係省庁および自治体・教育員会・学校との情報共有・連携を強化し、より実効性の高い検討を行っていく必要がある。
結論
既存コホートの解析から見出された、胎児期・出生時・乳幼児期等の血圧・体格への早期介入が、出生時・乳幼児期・学童期・思春期等の体格等の適正化に有用である可能性を示唆する成果については、学会発表・論文化等を通して、外部に公表し議論するとともに、対象者数の拡大により情報量を充実させ検証を行う。さらに、関係省庁・自治体・教育員会・学校と共有し、どの程度有用であるかや、具体的な施策・活動としてどのように落とし込むことができそうかに関して検討を行う予定である。
公開日・更新日
公開日
2020-10-28
更新日
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