地域の実情に応じた自殺対策推進のための包括的支援モデルの構築と展開方策に関する研究

文献情報

文献番号
201901006A
報告書区分
総括
研究課題名
地域の実情に応じた自殺対策推進のための包括的支援モデルの構築と展開方策に関する研究
課題番号
H29-政策-指定-004
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
本橋 豊(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 自殺総合対策推進センター)
研究分担者(所属機関)
  • 椿 広計(統計数理研究所)
  • 清水康之(特定非営利活動法人・自殺対策支援センターライフリンク)
  • 近藤伸介(東京大学医学部附属病院精神神経科)
  • 猪飼周平(一橋大学大学院社会学研究科)
  • 井門正美(北海道教育大学教職大学院)
  • 藤原武男(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
  • 岩瀬博太郎(千葉大学大学院医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
12,222,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国の自殺対策のビジョンとしての「生きることの包括的支援としての自殺対策」を地域 の実情に応じて実現するために求められる包括的支援モデルを示し、将来の我が国の自殺対策の推進に資することが本研究の目的である。
研究方法
多様な研究背景を有する8名の研究分担者が政策研究、介入研究・疫学研究、訪問調査研究・質的評価研究等の手法を用い分担研究を実施した。
具体的には、子ども・若者対策(SOSの出し方教育およびソーシャルメディア対策等を含む)、関連諸施策との連動に基づく地域自殺対策包括支援モデルの具体的な展開、地域自殺対策を支える最新の統計分析とその活用、適切な医療保健福祉モデルの構築の各研究領域において研究成果を明らかにした。
結果と考察
各研究分担者の研究成果と研究者間の討議結果をもとに、研究代表者が我が国の自殺対策の推進に資する包括的支援モデルを提示した。世代別の自殺対策(子ども・若者対策、壮年者対策、高齢者対策)を場の設定のアプローチ(Setting approach)と連動させた包括的支援モデルを示すことで、将来の地域自殺対策政策パッケージの企画立案において、現場での実践を念頭においた政策群の立案を可能にすることを意図している。また、この包括的支援モデルはWHOの提唱するコミュニティー・エンゲージメントの理念に基づき構築することで、国際標準としての社会実装を可能にした。これにより、本研究が提示する包括的支援モデルとしての「日本モデル」の自殺対策をアジアをはじめとする開発途上国においても展開可能にし、日本の自殺対策の公共政策輸出を一層促進させることが可能となる。
結論
本研究により行われた多様な研究成果は、新たな政策課題の展開方策にも資すると考えられる。例えば、IT社会の進展に伴うストリーミング動画のリアリティー番組による誹謗中傷と出演者の自殺問題、COVID-19 のパンデミックに伴う経済危機と自殺リスクの高まり等、社会の進化に伴う新たな課題が生起してきた。ITメディアによる自殺問題や感染症流行に必ず付随するスティグマへの対策は自殺対策の根本に横たわる課題として取り組まれる必要がある。これらの新たな課題に対しては新たな発想による研究が求められると思いがちだが、ソーシャル・キャピタルの醸成や居場所づくり活動の政策開発は高齢者のみならず、孤立しがちな若者の自殺対策としても有用である可能性がある。メディアと自殺対策に関する本研究の成果は、基本的にはソーシャルメディアの特性を十分に考慮にいれれば、ストリーミング動画サービスに伴う自殺問題にも応用可能である。関連諸施策との連動に基づく地域自殺対策包括支援モデルの具体的な展開、地域自殺対策を支える最新の統計分析とその活用、適切な医療保健福祉モデルの構築等の各研究領域においても、本研究は有用であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2020-10-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
その他
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2020-10-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201901006B
報告書区分
総合
研究課題名
地域の実情に応じた自殺対策推進のための包括的支援モデルの構築と展開方策に関する研究
課題番号
H29-政策-指定-004
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
本橋 豊(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 自殺総合対策推進センター)
研究分担者(所属機関)
  • 椿 広計(統計数理研究所)
  • 清水康之(特定非営利活動法人・自殺対策支援センターライフリンク)
  • 近藤伸介(東京大学医学部附属病院精神神経科)
  • 猪飼周平(一橋大学大学院社会学研究科)
  • 井門正美(北海道教育大学教職大学院)
  • 藤原武男(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
  • 岩瀬博太郎(千葉大学大学院医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国の自殺対策のビジョンとしての「生きることの包括的支援としての自殺対策」を地域 の実情に応じて実現するために求められる包括的支援モデルを示し、将来の我が国の自殺対策の推進に資することが本研究の目的である。
研究方法
多様な研究背景を有する8名の研究分担者が政策研究、介入研究・疫学研究、訪問調査研究・質的評価研究等の手法を用い分担研究を実施した。
具体的には、子ども・若者対策(SOSの出し方教育およびソーシャルメディア対策等を含む)、関連諸施策との連動に基づく地域自殺対策包括支援モデルの具体的な展開、地域自殺対策を支える最新の統計分析とその活用、適切な医療保健福祉モデルの構築の各研究領域において研究成果を明らかにした。
結果と考察
各研究分担者の研究成果と研究者間の討議結果をもとに、研究代表者が我が国の自殺対策の推進に資する包括的支援モデルを提示した。世代別の自殺対策(子ども・若者対策、壮年者対策、高齢者対策)を場の設定のアプローチ(Setting approach)と連動させた包括的支援モデルを示すことで、将来の地域自殺対策政策パッケージの企画立案において、現場での実践を念頭においた政策群の立案を可能にすることを意図している。また、この包括的支援モデルはWHOの提唱するコミュニティー・エンゲージメントの理念に基づき構築することで、国際標準としての社会実装を可能にした。これにより、本研究が提示する包括的支援モデルとしての「日本モデル」の自殺対策をアジアをはじめとする開発途上国においても展開可能にし、日本の自殺対策の公共政策輸出を一層促進させることが可能となる。
結論
本研究により行われた多様な研究成果は、新たな政策課題の展開方策にも資すると考えられる。例えば、IT社会の進展に伴うストリーミング動画のリアリティー番組による誹謗中傷と出演者の自殺問題、COVID-19 のパンデミックに伴う経済危機と自殺リスクの高まり等、社会の進化に伴う新たな課題が生起してきた。ITメディアによる自殺問題や感染症流行に必ず付随するスティグマへの対策は自殺対策の根本に横たわる課題として取り組まれる必要がある。これらの新たな課題に対しては新たな発想による研究が求められると思いがちだが、ソーシャル・キャピタルの醸成や居場所づくり活動の政策開発は高齢者のみならず、孤立しがちな若者の自殺対策としても有用である可能性がある。メディアと自殺対策に関する本研究の成果は、基本的にはソーシャルメディアの特性を十分に考慮にいれれば、ストリーミング動画サービスに伴う自殺問題にも応用可能である。関連諸施策との連動に基づく地域自殺対策包括支援モデルの具体的な展開、地域自殺対策を支える最新の統計分析とその活用、適切な医療保健福祉モデルの構築等の各研究領域においても、本研究は有用であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2020-10-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-10-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201901006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
アメリカのSNS相談の現状と課題について明らかにした。また、職場におけるハラスメント法制の現状を国際的観点から明らかにした。
臨床的観点からの成果
SOSの出し方教育の北海道教育大学モデルを開発し、臨床的実践に結びつけた。
ガイドライン等の開発
WHOの「コミュニティーが自殺対策に主体的に関与するための手引きとツール集」(2019)を公表した。
また、WHO「COVID-19(新型コロナウィルス感染症)の急激な感染拡大における精神保健的・心理社会的な留意事項」を公表した。
その他行政的観点からの成果
東京都足立区における寄り添い支援事業(PS支援事業)の効果を明らかにし、他の自治体への適用の可能性を広げた。また、総務省のリモートアクセスオンサイト拠点をもとにしたミクロデータ分析環境を構築し、行政施策の推進に寄与した。
その他のインパクト
「『SOSの出し方を学ぼう』道教育大教職大学院が出前講義」(日本教育新聞2018年5月21日)、「参加型プロセスで命守ろう東京で研究者が自殺対策議論」(中部経済新聞2019年3月6日)などがマスコミに取り上げられた。2017年以降毎年、国際自殺対策フォーラム(一般公開)を開催し、2020年の第4回フォーラムではフランスのハラスメント法制について明らかにした。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
35件
その他論文(英文等)
54件
学会発表(国内学会)
51件
日本公衆衛生学会総会2017:本橋、藤原、日本自殺総合対策学会2018:本橋、清水、日本公衆衛生学会総会2019:本橋、藤原
学会発表(国際学会等)
18件
mhGAP Forum 2018:Motohashi, The 30th World Congress of the IASP 2019:Motohashi
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
東京都足立区における寄り添い支援事業(PS支援事業)の効果を明らかにし、他の自治体への適用の可能性を広げた。また、総務省のリモートアクセスオンサイト拠点をもとにしたミクロデータ分析環境を構築し、行政施
その他成果(普及・啓発活動)
6件
第2回国際自殺対策フォーラム(2018年1月20日)、第3回国際自殺対策フォーラム(2019年2月2日)、第4回国際自殺対策フォーラム(2020年2月11日)

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Satomi Doi, Takeo Fujiwara, Aya Isumi et al.
Pathway of the association between child poverty and low self-esteem: Results from a population-based study of adolescents in Japan
Frontiers in Psychology ,  (03 May)  (2019)
10.3389/fpsyg.2019.00937
原著論文2
Doi S; Fujiwara T.
Combined effect of adverse childhood experiences and young age on self-harm ideation among postpartum woman in Japan
Journal of Affective Disorders ,  (15 June )  (2019)
https://doi.org/10.1016/j.jad.2019.04.079
原著論文3
Morita A*, Fujiwara T
Association between childhood suicidal ideation and geriatric depression in Japan: A population-based cross-sectional study
International Journal of Environmental Research and Public Health ,  (Mar 27)  (2020)
10.3390/ijerph17072257

公開日・更新日

公開日
2020-10-19
更新日
2022-06-17

収支報告書

文献番号
201901006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
15,888,000円
(2)補助金確定額
10,813,000円
差引額 [(1)-(2)]
5,075,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,522,801円
人件費・謝金 354,248円
旅費 2,228,814円
その他 3,041,178円
間接経費 3,666,000円
合計 10,813,041円

備考

備考
自己資金41円

公開日・更新日

公開日
2021-02-26
更新日
-