文献情報
文献番号
201826003A
報告書区分
総括
研究課題名
公衆浴場等施設の衛生管理におけるレジオネラ症対策に関する研究
課題番号
H28-健危-一般-006
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
前川 純子(国立感染症研究所 細菌第一部)
研究分担者(所属機関)
- 長岡宏美(静岡県環境衛生科学研究所 微生物部)
- 磯部順子(富山県衛生研究所 細菌部)
- 黒木俊郎(岡山理科大学 獣医学部)
- 八木田健司(国立感染症研究所 寄生動物部)
- 泉山信司(国立感染症研究所 寄生動物部)
- 佐々木麻里(大分県衛生環境研究センター)
- 中西典子(神戸市環境保健研究所 感染症部)
- 田栗利紹(長崎県環境保健研究センター 保健科)
- 森本 洋(北海道立衛生研究所 感染症センター感染症部細菌グループ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
19,072,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
公衆浴場をはじめとする水系施設の衛生管理に不備があるとレジオネラ属菌が増殖し、そこから生じるエアロゾルを介してヒトに感染して、レジオネラ症を発症する。公衆浴場等のレジオネラ症対策の向上のために、レジオネラ検査法の改善、およびその普及をこれまで実施してきた。1~2日で結果が得られる迅速検査法の妥当性の検証およびさらなる改良を行う。培養法についても、実検体での検証を重ね、「浴槽水に関するレジオネラ属菌検出のための検査方法」を提唱する。入浴施設等の効果的な衛生管理を達成するため、これまでもその有用性を明らかにしてきたモノクロラミン消毒のさらなる実践を行う。また、感染源の同定に必要な分子疫学法の検証や、効率的にレジオネラ属菌を分離する方法の開発やそのための基礎的検討を行う。レジオネラ検査実施機関に対して、外部精度管理や研修を行い、レジオネラ検査の質の向上を図る。以上のような研究を実施し、その成果に基づき、公衆浴場における衛生等管理要領等の改訂の提言を行うことで、レジオネラ症対策が進み、安心して入浴できる施設が増えることが期待される。
研究方法
各研究項目は、1から数名の研究分担者および研究協力者が参加し実施された。全体としては60余名が研究に参画した。浴槽水等400余の実検体および約400株の分離菌を検査に供した。
結果と考察
PALSAR法、(EMA-)LAMP法、(EMA-)qPCR法の各種迅速検査法は、検体中のレジオネラ属菌の陰性を判定する迅速法として有用であることが確認できた。迅速培養法(斜光法を取り入れた培養法)を実施し、短期間で正確な培養結果を得ることができた。携帯型フローサイトメーターを用いた菌体検出とLegionella pneumophila抗体による特異的検出を組み合わせることで、当該菌の生死スクリーニングを含んだオンサイト定量解析法を確立した。感染源推定のための遺伝子型別の迅速なタイピング方法として期待できるMLVA法について、PFGEおよびSBT型別との比較を行った。患者検体から最も多く分離されているLegionella pneumophila 血清群1(Lp1)に対する抗血清で感作した免疫磁気ビーズを用いた検体の選択的濃縮は、Lp1を検出するqPCRによるスクリーニングと組み合わせることで、感染源調査に有用となると思われた。入浴施設の浴槽、カラン並びにシャワー及び医療機関の給水系及び給湯系におけるレジオネラ汚染の継続的実態調査から、配管中のレジオネラ汚染の除去には塩素の添加や水温を上げることが有効であるが、効果は限定的であり、完全に汚染を除去するには追加の対策が必要であると推測された。また、給水・給湯系におけるレジオネラ汚染についてのシンポジウムには、160名を超える参加者があり、関心の高さと、アンケート回答から参加者がその対応に苦慮している実情が明らかとなった。ボトル水系環境を用いたレジオネラ属菌VNC(Viable but not culturable)モデル系を構築した。pH8から10の温泉水、生薬及び無機塩薬湯において、機械的な添加と手投入のいずれによっても、モノクロラミン消毒はレジオネラ属菌を抑制し、遊離塩素管理に比較して、衛生状態を良好に維持できた。民間会社が実施した外部精度管理サーベイについて、助言を行い、方法の改善を図った。全国148検査機関が参加し、本研究班からは70地衛研が参加した。
結論
浴槽水、湯口水、シャワー水、カラン水、採暖槽水等について培養検査および迅速検査を行い、レジオネラ属菌による汚染実態を明らかにし、その対策法を検討した。レジオネラ培養には斜光法を取り入れ、一部の検体には免疫磁気ビーズによる選択的濃縮法を適用した。レジオネラ属菌DNA・RNA・表層抗原等を検出対象とする各種迅速検査法を検討し、感度の向上、時間の短縮を図った。
感染源の迅速な特定への有用性が期待される型別法であるMLVA法を多機関で実施した。
モノクロラミン消毒はレジオネラ属菌を抑制し、遊離塩素管理に比較して、衛生状態を良好に維持できた。モノクロラミン消毒について、研究成果をわかりやすく記述し、Webページで公開した。
レジオネラ外部精度管理サーベイを継続することで、各検査機関が継続してサーベイに参加する必要性を確認することができた。各種研修会でレジオネラ検査法の普及、検査精度の向上に努めた。
これまでの研究成果を踏まえ、公衆浴場における衛生等管理要領等のレジオネラ属菌に関連した項目の改訂の提言を行うことができた。その参照検査法として、これまでの研究成果に基づいた「浴槽水に関するレジオネラ属菌検出のための検査方法(案)」を提示することができた。
感染源の迅速な特定への有用性が期待される型別法であるMLVA法を多機関で実施した。
モノクロラミン消毒はレジオネラ属菌を抑制し、遊離塩素管理に比較して、衛生状態を良好に維持できた。モノクロラミン消毒について、研究成果をわかりやすく記述し、Webページで公開した。
レジオネラ外部精度管理サーベイを継続することで、各検査機関が継続してサーベイに参加する必要性を確認することができた。各種研修会でレジオネラ検査法の普及、検査精度の向上に努めた。
これまでの研究成果を踏まえ、公衆浴場における衛生等管理要領等のレジオネラ属菌に関連した項目の改訂の提言を行うことができた。その参照検査法として、これまでの研究成果に基づいた「浴槽水に関するレジオネラ属菌検出のための検査方法(案)」を提示することができた。
公開日・更新日
公開日
2019-10-02
更新日
-