国際食品規格策定プロセスを踏まえた食品衛生規制の国際化戦略に関する研究

文献情報

文献番号
201823025A
報告書区分
総括
研究課題名
国際食品規格策定プロセスを踏まえた食品衛生規制の国際化戦略に関する研究
課題番号
H29-食品-指定-013
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
渡邉 敬浩(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 豊福 肇(山口大学 共同獣医学部)
  • 山口治子(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター安全性予測評価部)
  • 畝山智香子(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)
  • 石見佳子(医薬基盤・健康・栄養研究所国立健康・栄養研究所)
  • 松尾真紀子(東京大学 公共政策大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
8,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Codex委員会は、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が合同で設立した食品基準等を策定する国際政府間組織である。本研究では、同委員会総会及び各部会への対処方針の検討に必要な論点をまとめ、迅速に日本政府に提供する。これにより、日本政府が、わが国の現状を踏まえたCodex基準等の策定に貢献することを支援する。また、経済連携協定の交渉及び協定に基づく技術的協議を含めた国内外対応に必要な科学的知見や国際動向を必要に応じて整理・分析し、今後考慮すべき事項を提言する。その他、食品安全に関して諸外国との交渉等に従事する政府職員を対象とした教育プログラムの開発やその実施に関する技術的助言を行い、さらにシンポジウム等を通じて情報を発信し、Codex委員会の活動を含む食品安全の国際的な取組についての国民の理解と認識の向上に貢献する。
研究方法
Codex委員会の総会、各部会及びその関連会議の過去の議論、各国の立場、日本政府の対応を各部会報告書等の詳細な検討により整理すると共に、リスクアナリシスに係る各種データ等、根拠となる科学的知見を、各国政府機関や学術領域から収集し分析する。その結果をとりまとめ、各部会が設置し通常通年で活動する電子作業部会(EWG)等へのコメント、及びほぼ年に1度の頻度で開催される会合への対処方針作成や議場での政府職員の対応を支援するとともに、部会報告書の作成に協力する。また、国際的な食品安全に関する情報を広く社会に発信するシンポジウム等を開催するほか、政府職員の国際対応能力向上のための教育プログラムを開発するとともに研修のあり方について検討する。
結果と考察
食品衛生部会、食品汚染物質部会、食品残留動物用医薬品部会、残留農薬部会、栄養・特殊用途食品部会、分析・サンプリング法部会、食品輸出入検査・認証制度部会の各Codex部会における会合または電子的・物理的作業部会に参加し、過去の議論や科学的知見の収集、分析を行い、政府職員に助言を提供するなどした。その一部を、以下に示す。食品衛生の一般原則(CAC/RCP 1-1969)及びHACCPに関する付属文書の改正原案を検討するために設置されたEWGにコメントを提出した。ヒスタミンの管理に関するガイドラインの策定を検討するEWGの共同議長国をつとめ討議文書を作成した。食品残留動物用医薬品部会におけるゲンチアナバイオレットのリスク管理に関する勧告案に対し、JECFAが遺伝毒性及び発がん性を理由にADIを設定不能と判断した物質を食用動物に使用すべきではないこと等について発言した。サンプリングの一般ガイドライン(CXG 50)の改訂を検討するEWGに対して、統計学的な説明等を偏重し、作業目的である読者理解を助ける改訂から逸脱するべきではないこと等についてコメントした。測定の不確かさのガイドライン(CXG54)の改訂を検討するEWGに対して、適合判定における不確かさの考慮は、輸出入の当事国により判断されるべきであり、ガイドラインにおいて言及すべきないこと等についてコメントした。また、これらコメント作成、発言だけでなく、議論を詳細に解析した結果の提供により一貫して政府の活動を支援した。その他、食品規格設定の国際整合性を阻む要因の考察では、アフラトキシンの最大基準値の設定を取り上げ、Codex部会での原則や活動を熟知し必要な知識を有した人員が関係者との間でリスクコミュニケーションを行うことの重要性を指摘した。シンポジウム「Codexにおける日本の貢献と今後の課題」を開催し、国内外の行政、事業者等の業界、消費者団体等、多様な主体と交流し、リスクコミュニケーションを推進した。20108年中に計17回開催された食品安全行政の国際化戦略のためのリスク管理者向け研修の企画立案に協力し、教材の提供及び講師を担当した。日本人の実態に基づきミネラル類のNRVsを評価するために、Codex委員会及び我が国のミネラル類に関するNRV(-R)sをカットポイントとして、カットポイント以上及び未満での摂取者の割合や集団特性を比較した。
結論
結果に述べた7つの部会に一般原則部会を加えた、計8つのCodex部会での議論等を解析し、その結果を適宜政府職員に提供するとともに、コメント作成や発言を支援した。Codex委員会の活動とそれへの我が国の取組に関する情報を提供するシンポジウムを開催した。研修の受講を通じて、政府食品の食品安全分やにおける国際対応力の養成と強化が図られた。ミネラル類のNRV(-R)sについては、国際的な考え方と我が国の摂取実態との両方を踏まえた検討の必要性を示した。

公開日・更新日

公開日
2020-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2020-05-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201823025Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,800,000円
(2)補助金確定額
8,800,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,048,826円
人件費・謝金 892,021円
旅費 3,063,762円
その他 2,691,391円
間接経費 0円
合計 8,696,000円

備考

備考
人件費・謝金の支出により実施予定であった研究事業の一部を進捗を踏まえて変更し、自ら実施するために必要な物品を購入したが、それらの購入費用が、変更によって発生した金額に対して安価であったため。

公開日・更新日

公開日
2020-05-29
更新日
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