食品微生物試験法の国際調和に関する研究

文献情報

文献番号
201823011A
報告書区分
総括
研究課題名
食品微生物試験法の国際調和に関する研究
課題番号
H29-食品-一般-006
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
朝倉 宏(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
研究分担者(所属機関)
  • 五十君 静信(東京農業大学 応用生物科学部 )
  • 松岡 英明(東京農工大学大学院 工学研究院)
  • 倉園 久生(帯広畜産大学 グローバルアグロメディシン研究センター)
  • 岡田 由美子(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
  • 泉谷 秀昌(国立感染症研究所 細菌第一部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
13,499,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、“食品からの微生物標準試験法検討委員会”を活動の軸に置きつつ、国内の食品微生物試験法を国際調和の取れた形へと導くための科学的根拠を創出することを目的として、食品微生物試験法の国際調和に向けて、(1)衛生指標菌試験法に関する研究、(2)食品微生物試験法の国際動向及び妥当性確認に関する研究、(3)ボツリヌス試験法に関する研究、(4)遺伝子検査法に関する研究、の4つに区分し、それぞれの分担研究項目に係る知見の収集にあたった。
研究方法
(1)衛生指標菌試験法については作業部会を新たに構築し、乳・乳製品、清涼飲料水等に適用すべき試験項目及び試験法の整理を行った。(2)国際動向及び妥当性確認に関しては、ISO/TC34/SC9会議に出席し、最新の国際動向を入手すると共に、特に妥当性確認の手法として不明な点を解決するため、WG議長との会談等を経て、国内で検討するにあたっての整理を行った。(3)ボツリヌス試験法については、作業部会を組織化し、コラボスタディに向けたST2試験法の作成と課題抽出を図った。(4)遺伝子検査法については、ISOガイドラインを参考としつつ、国内の試験法へ適用する際に必須の項目の抽出に向けた検討を行った。
結果と考察
(1)衛生指標菌試験法に関する研究では、衛生指標菌作業部会を開催し、わが国の衛生指標に関する議論を行い、乳・乳製品の製造工程管理には細菌数及び腸内細菌科菌群を、成分規格には細菌数のほか、大腸菌または腸内細菌科菌群を設定することが国際整合性及び実行性を踏まえた形として望ましいとの意見で集約された。これを受け、「食品からの微生物標準試験法検討委員会」において、腸内細菌科菌群定性試験法NIHSJ-15をISO 21528-1:2017に基づく改訂を行い、国際調和を図った。また、同委員会では、ミネラルウォーター類の衛生指標菌試験法を討議し、直接的な糞便汚染指標である大腸菌の試験法をフィルターろ過の必要性の有無により分類して検討を行うこととなったほか、これまでに作定されたサルモネラ属菌試験法(NIHSJ-01)及びカンピロバクター試験法(NIHSJ-02)について、国際調和と実行可能性の向上に資する形とするべく、ISO法改訂に応じた見直しを行った。(2)国際動向及び妥当性確認に関する研究としては、2018年6月に開催されたISO/TC34/ SC9総会に参加し、情報収集及び意見交換を行った。また本年度は微生物試験法に関する用語集を整理し、検討委員会へ提案すると共に、各試験法のバリデーション方法について助言を行った。(3)ボツリヌス試験法に関する研究では、ボツリヌス試験法作業部会を開催し、ST2案の作成を行った上で、コラボスタディに向けての予備検討並びに課題の整理を行い、次年度にコラボスタディを行う計画案を作成した。(4)遺伝子検査法に関する研究では、近年、遺伝子検査法の発展により、また微生物の性状の多様化により、遺伝子検査法を微生物試験法に取り入れる動きがある状況を踏まえ、ISOガイドラインを和訳化した上で、遺伝子検査法作業部会を組織化し、食品からの微生物試験法にPCR法を採用する上で求められる事項の整理を行った。
結論
今後も国際動向を恒常的に入手しつつ、国際調和に向けた微生物試験法の国際調和を図ることは必須の課題であると考えられる。本研究班での活動はこれを支えるものであり、本年度は衛生指標菌やボツリヌス試験法、遺伝子検査法の標準化に向けた成果を得ることができた。

公開日・更新日

公開日
2019-10-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-10-29
更新日
2020-06-03

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201823011Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,609,000円
(2)補助金確定額
14,609,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 9,510,352円
人件費・謝金 1,177,360円
旅費 1,953,609円
その他 857,679円
間接経費 1,110,000円
合計 14,609,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2019-10-29
更新日
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