文献情報
文献番号
201822020A
報告書区分
総括
研究課題名
災害時等の産業保健体制の構築のための研究
課題番号
H30-労働-一般-007
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
立石 清一郎(産業医科大学 保健センター)
研究分担者(所属機関)
- 森 晃爾(産業医科大学 産業生態科学研究所 産業保健経営学)
- 久保 達彦(産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学)
- 吉川 悦子(高橋 悦子) (日本赤十字看護大学 地域看護学)
- 真船 浩介(産業医科大学 産業生態科学研究所 精神保健学)
- 鈴木 克典(産業医科大学病院 感染制御部)
- 岡崎 龍史(産業医科大学 産業生体科学研究所 放射線健康医学)
- 中森 知毅(横浜労災病院 救急災害医療部 部長)
- 三田 直人(横浜労災病院 救急災害医療部 副部長)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
3,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
諸外国の体制を参考に、日本の実情に合ったAll-hazardsモデルと産業保健専門職の位置づけを提言することについて、いまだ議論がほとんど深まっていない。また、存在するマニュアルをすでに発生した事例をさらに検討することによって改訂することも必要である。また個別の対策としての、自らが被災しながらも全力で対応することが要求される医療機関や地方公務員の対策が必要である。また、メンタルヘルス支援を強化、感染症のアウトブレイクを想定することも重要な課題である。これらのコンテンツは網羅的であるのみならず、研修資料にそのまま利用できることが必要であり、医師会や産業保健総合支援センターとの協働と、災害発生時に機能する産業保健専門職の研修を強化して、全国展開の手法を検討することが求められている。
研究方法
平成30年度の分担研究として、災害産業保健に関連した7つの研究(地方自治体支援、医療機関支援、新興感染症、セルフケア、災害産業保健マニュアル作成、産業保健スタッフのコンピテンシー、講習会の検討)を行った。
結果と考察
地方自治体や医療機関は自らが被災しながら地域貢献を行う必要があり将来的なバーンアウトや職業性の健康障害ハザードの曝露からの防止および2次予防の必要性が示されている。このような対応をするときに、産業保健専門職が不在であることが多いことから、簡易なマニュアルの必要性が示唆されている。感染症においては既存対策の強化を医療機関から企業に広げることが必要である。メンタルヘルス対策も、広範なストレッサーからの離脱は簡単ではないが長時間労働などの見えやすい問題点からの回避とスクリーニングおよび初期対応、そして、セルフケアの充実の重要性が示唆されている。災害時の産業保健職の在り方について、これまでは専門家の意見以外はあまり散見されていなかったが、適切なアセスメントと柔軟な対応が挙げられている。また、専門職の価値観を持ちつつ対応することの必要性が示唆されている。研修については、『災害時に産業保健職に求められること』についてはそれぞれが認知できるような教育が求められている。既存の研修プログラムは存在しないので新たな研修プログラムの開発が必要である。派遣チームについては、単一企業のサポートとして産業保健総合支援センター、広域災害について産業医科大学等が事務局となる災害支援チームの創設の必要性が示唆されている。
結論
災害時には想定外の事態が発生するが、事前に想定しておくことは必ずしも当たらないが、対応レベルを上げることにつながるので、既存のマニュアルの改訂を続けることが必要である。対応レベルには個別の対応のレベルと高めるマニュアルの改訂の重要性と、産業保健職としての在り方について議論を深めておくことの重要性が示唆されている。また、災害時に機能する災害産業保健支援チームの構築のため、研修会の開催と支援スキームを定めておくことの必要性とモデル事業が必要であると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2019-06-17
更新日
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