文献情報
文献番号
201822016A
報告書区分
総括
研究課題名
アジア新興国の労働者の安全衛生の取り組み促進の支援に係るニーズ等の把握のための研究
課題番号
H30-労働-一般-003
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
森 晃爾(産業医科大学 産業生態科学研究所)
研究分担者(所属機関)
- 伊藤 直人(産業医科大学 産業医実務研修センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
2,310,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
アジアの新興国に対して、各国の産業構造、人口構造、制度や文化などに伴うニーズに合った労働安全衛生に係る支援を行うために、国ごとに存在する支援ニーズを調査することを目的とした3年間の研究期間の1年目である。
研究方法
1.アジア新興国の労働安全衛生関連情報の収集チェックシートの開発
研究班会議で、収集すべき情報をリストアップしたうえで、それらをいくつかの大項目に集約した。また、想定される現地調査の対象についても、リストアップした。
そのうえで、本研究の最初の調査対象国であるインド調査に際して、事前に調査対象機関に情報提供内容を送付することとした。そのことを前提に、各機関で収集を期待する項目について、アジア新興国情報チェックリスト上に記載した。そのうえで、調査終了後に、収集できた情報を確認した。
2.インドにおける安全衛生の取り組み促進の支援に係る実態及びニーズ調査
事前調査として、学術情報の検索エンジンを用いた文献検索と、インターネット上の一般情報検索を行い、日本国内において入手可能な情報(現地の法令や行政機関、現地の医療制度や公衆衛生に関する情報の一部)を収集した。その後、現地の行政機関、ILO、日本大使館、教育・研究機関、日系企業を訪問し、事前調査で得られた情報の確認と、現地の労働安全衛生の実態把握を目的として、インタビューを実施した。
3.インドネシアにおける安全衛生の取り組み促進の支援に係る実態及びニーズ調査
文献検索と一般的な情報検索に加え、文献上の情報では不足する情報を得るため、Ministry of Health (保健省)、Ministry of Manpower (労働省)、BPJS Ketenagakerjaan (労働者保険実施機関)、BPJS Kesehatan (医療保険実施機関)、Indonesia Universityの専門家にインタビューを行い、情報を収集した。
研究班会議で、収集すべき情報をリストアップしたうえで、それらをいくつかの大項目に集約した。また、想定される現地調査の対象についても、リストアップした。
そのうえで、本研究の最初の調査対象国であるインド調査に際して、事前に調査対象機関に情報提供内容を送付することとした。そのことを前提に、各機関で収集を期待する項目について、アジア新興国情報チェックリスト上に記載した。そのうえで、調査終了後に、収集できた情報を確認した。
2.インドにおける安全衛生の取り組み促進の支援に係る実態及びニーズ調査
事前調査として、学術情報の検索エンジンを用いた文献検索と、インターネット上の一般情報検索を行い、日本国内において入手可能な情報(現地の法令や行政機関、現地の医療制度や公衆衛生に関する情報の一部)を収集した。その後、現地の行政機関、ILO、日本大使館、教育・研究機関、日系企業を訪問し、事前調査で得られた情報の確認と、現地の労働安全衛生の実態把握を目的として、インタビューを実施した。
3.インドネシアにおける安全衛生の取り組み促進の支援に係る実態及びニーズ調査
文献検索と一般的な情報検索に加え、文献上の情報では不足する情報を得るため、Ministry of Health (保健省)、Ministry of Manpower (労働省)、BPJS Ketenagakerjaan (労働者保険実施機関)、BPJS Kesehatan (医療保険実施機関)、Indonesia Universityの専門家にインタビューを行い、情報を収集した。
結果と考察
今年度は、まず研究の基盤となる情報収集チェックシートの開発を行い、4つの大項目(Ⅰ:国の概要、Ⅱ:医療・公衆衛生、Ⅲ:労働安全衛生の基盤、Ⅳ:労働安全衛生の水準)、34の中項目で構成されたチェックシートが作成された。調査に当たっては、可能な限り各項目について複数の対象から情報を得ることが有効と考えられた。
インドを対象とした調査では、国の立法過程には支援ニーズが存在しなかったが、実際の適用においては支援ニーズが存在する可能性があると考えられた。このような適用は、人材を通じて行われるが、安全衛生関連人材は、国の広さや人口と比較して、養成数も不足しているため、大きな支援ニーズが存在すると考えられた。現地に根付いた日系企業によるGood Practiceの創出も支援方法の一つである。同国が抱える労働安全衛生上の問題の中には、かつて日本が経験した課題も存在し、日本での知見が直接的に役立つと考えられる。
インドネシアにおいては、持続的に経済成長を続ける過程で労働安全衛生制度や各種社会保障制度が新たな進展を迎えていた。しかし、幅広い業種に従事する労働者がおり、労働者の健康課題についても多様化している。また、法体系や労働安全衛生を担う人材についても不足している。日本が持つ過去の経験の共有や、人材養成の仕組み等様々な支援ニーズが存在すると考えられる。
インドを対象とした調査では、国の立法過程には支援ニーズが存在しなかったが、実際の適用においては支援ニーズが存在する可能性があると考えられた。このような適用は、人材を通じて行われるが、安全衛生関連人材は、国の広さや人口と比較して、養成数も不足しているため、大きな支援ニーズが存在すると考えられた。現地に根付いた日系企業によるGood Practiceの創出も支援方法の一つである。同国が抱える労働安全衛生上の問題の中には、かつて日本が経験した課題も存在し、日本での知見が直接的に役立つと考えられる。
インドネシアにおいては、持続的に経済成長を続ける過程で労働安全衛生制度や各種社会保障制度が新たな進展を迎えていた。しかし、幅広い業種に従事する労働者がおり、労働者の健康課題についても多様化している。また、法体系や労働安全衛生を担う人材についても不足している。日本が持つ過去の経験の共有や、人材養成の仕組み等様々な支援ニーズが存在すると考えられる。
結論
今回の研究で開発したアジア新興国の労働安全衛生関連情報の収集チェックシートを用いて、インドおよびインドネシアにおける調査を実施した結果、労働者の健康課題および人材養成において、日本からの研修プログラムの提供、過去経験の共有、学術交流等を通した様々な支援ニーズが存在すると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2019-06-14
更新日
-