文献情報
文献番号
201822002A
報告書区分
総括
研究課題名
メンタルヘルス問題を予防する教育・普及プログラムの開発および評価
課題番号
H28-労働-一般-002
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
竹中 晃二(早稲田大学 人間科学学術院)
研究分担者(所属機関)
- 島津 明人(北里大学一般教養部)
- 山田冨美雄(関西福祉科学大学心理科学部)
- 嶋田洋徳(早稲田大学人間科学学術院)
- 上地広昭(山口大学教育学部)
- 島崎崇史(上智大学文学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
2,240,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は,地域,職域,および学校における人々のメンタルヘルス不調を予防する目的で具体的なプログラムを開発し,評価を行うことである。その内容は,Barry(2001)が示したメンタルヘルスの枠組みに従って,1)メンタルヘルス問題の汎用型予防を目的としたストレスマネジメント教育プログラムの開発,および2)メンタルヘルスをよい状態に保つメンタルヘルス・プロモーションの行動変容型プログラムの開発,の2点である。前者は,メンタルヘルス疾患・問題が生じることを想定し,それらの予防に焦点を絞っている。この領域における「予防」とは,メンタルヘルス疾患・問題を前提にした指示型・選択型・汎用型の予防介入が相当する。一方,後者では,ポジティブ・メンタルヘルス,すなわち幸福感や生活の質感をアウトカムとするメンタルヘルス・プロモーションであり,メンタルヘルス疾患・問題を想定していないものの,その初期症状の出現を抑制し,間接的に予防に役立つ。
研究方法
1)ストレスマネジメント教育に関する研究,および2)メンタルヘルス・プロモーションに関する研究,をおこなった。ストレスマネジメント教育に関する研究としては,1)認知行動療法を用いたストレスマネジメント教育プログラムの開発・評価(①ストレスマネジメント実践のためのアセスメントアプリケーションの有効性の検討,②児童集団を対象としたストレスマネジメントのアセスメントと実践),および2)ポジティブストレスマネジメント研修のストレス緩和効果に関する予備的介入,の計3研究をおこなった,一方,メンタルヘルス・プロモーションに関する研究としては,1)強みに基づくポジティブ心理学的介入アプリケーションの開発,2)メンタルヘルスプロモーション行動パターンとストレス状況との関連,3)メンタルヘルス・プロモーション及びその普及啓発に関する研究,および4)予防教育プログラムの評価(①リカバリー経験を促進するためのプログラム(アプリ)の開発,②個人特性がワーカホリズムとリカバリー経験との関連に及ぼす影響),の5研究を実施した。
結果と考察
1)ストレスマネジメント教育に関する研究
①認知行動療法におけるコーピングレパートリーの拡充と睡眠に関連する問題の改善を目指して開発したスマートフォンアプリケーションを使用し,新たに収集したデータを追加して効果を報告した。
②高校生を対象としたマインドフルネスのヨーガ瞑想法を実施し,マインドフルネスの「注意」や「気づき」を測定する操作変数を明確にしたうえで,短期マインドフルネスの効果と今後の課題を明らかにした。
③医療従事者を対象に職場の状況(心的・制度的側面の状況)とワーク・エンゲイジメントとの関連性について検討した。
2)ポジティブ心理学,特に「強み」の強化に関する研究
①強みの活用状況と主観的な日常満足感についてセルフモニタリングさせるスマートフォン用アプリケーションを開発し,大学生を対象にその効果について事例的検証をおこなった。
② 強みを積極的に日常の仕事に生かすように指導ポイントを明瞭にし,「強み活用」に焦点を当てた研究を実施し,ワークエンゲイジメント,主観的幸福感,ならびにストレス指標への改善効果を確認した。
3)メンタルヘルス・プロモーションに関する研究
①変数によるメンタルヘルス・プロモーション行動実施についての社会経済・人口統計学的差異を検討した。
②メンタルヘルス問題の予防に果たす自助方略について,文献研究では亜臨床段階のメンタルヘルス不調者を対象とした自助方略の内容を解説し,一方,調査・介入研究では,亜臨床における勤労者を対象に自助方略を用いたパイロット介入の効果を確認した。
③予防教育プログラムを用いてワーク・エンゲイジメントを直接的に向上させるプログラムを開発し,このプログラムをWebベースで提供することの効果を無作為化比較試験(調査間間隔1ヶ月)で有効性を確認した。
①認知行動療法におけるコーピングレパートリーの拡充と睡眠に関連する問題の改善を目指して開発したスマートフォンアプリケーションを使用し,新たに収集したデータを追加して効果を報告した。
②高校生を対象としたマインドフルネスのヨーガ瞑想法を実施し,マインドフルネスの「注意」や「気づき」を測定する操作変数を明確にしたうえで,短期マインドフルネスの効果と今後の課題を明らかにした。
③医療従事者を対象に職場の状況(心的・制度的側面の状況)とワーク・エンゲイジメントとの関連性について検討した。
2)ポジティブ心理学,特に「強み」の強化に関する研究
①強みの活用状況と主観的な日常満足感についてセルフモニタリングさせるスマートフォン用アプリケーションを開発し,大学生を対象にその効果について事例的検証をおこなった。
② 強みを積極的に日常の仕事に生かすように指導ポイントを明瞭にし,「強み活用」に焦点を当てた研究を実施し,ワークエンゲイジメント,主観的幸福感,ならびにストレス指標への改善効果を確認した。
3)メンタルヘルス・プロモーションに関する研究
①変数によるメンタルヘルス・プロモーション行動実施についての社会経済・人口統計学的差異を検討した。
②メンタルヘルス問題の予防に果たす自助方略について,文献研究では亜臨床段階のメンタルヘルス不調者を対象とした自助方略の内容を解説し,一方,調査・介入研究では,亜臨床における勤労者を対象に自助方略を用いたパイロット介入の効果を確認した。
③予防教育プログラムを用いてワーク・エンゲイジメントを直接的に向上させるプログラムを開発し,このプログラムをWebベースで提供することの効果を無作為化比較試験(調査間間隔1ヶ月)で有効性を確認した。
結論
以上,3研究テーマによって対象者の特徴に適合したプログラムの実践をおこなった。本研究で得られた知見は,今後,ポピュレーション・ワイド・アプローチの内容に活かすだけでなく,職域,地域,および学校のそれぞれの場における予防プログラムとしての活用が可能である。研究で得られた知見を単に研究報告することから,今後は個人だけでなくさまざまな場や状況において,実際的な予防行動として普及啓発する必要があり,この普及啓発活動は従来の厚生労働省行政の施策を強化するものと期待している。
公開日・更新日
公開日
2019-06-14
更新日
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