防爆構造電気機器器具に関する国際電気標準会議(IEC)規格に関する調査研究

文献情報

文献番号
201822001A
報告書区分
総括
研究課題名
防爆構造電気機器器具に関する国際電気標準会議(IEC)規格に関する調査研究
課題番号
H28-労働-一般-001
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
大塚 輝人(独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所化学安全研究グループ)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
2,470,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国際電気標準会議(IEC)においては、防爆構造電気機器器具(以下「防爆機器」という。)に関する技術的な規格を定めるとともに、その認証制度(以下「IECExシステム」という。)の制定及び運用も行っている。IECExシステムは、防爆機器の検定だけでなく、設置、保守、点検などライフサイクルにわたって規定している。IECの規格及び制度は、国際的な広がりをもってきており、すでに多くの国々で受け入れられている。一方、我が国では、防爆機器については労働安全衛生法に基づく検定制度があるが、防爆機器の品質管理、保守等については検定制度には含まれておらず、この点においてはIECExシステムとの齟齬がみられる。このような現状を背景に、本研究では、主要国におけるIECExシステムへの対応を参考にしつつ、我が国の防爆機器検定制度のあるべき姿について検討し、IEC規格とIECExシステムとの調和を推進するための国内制度改正の基礎となる資料を作成することを目的とする。
研究方法
委員会形式による、有識者からの意見聴取と討論。
結果と考察
(1)同一型式の考え方
 工学的に安全性が明らかであるものは基本的に同一型式の範疇に含める。また、一部の試験を追加することで安全性を確認できるものは、その追加試験を行った上で同一型式と認める。現行の合格品についても更新検定時に追加試験を行うことで、論点での考え方に従った同一型式の範囲を広げることができるようにする。その際の検定基準は、その従来品が新規検定合格した際の防爆指針とする。「同一」という用語を「同等以上」とし、同一型式の範囲を制限すること。さらに、このような同一型式の拡張に対応して、従来の固定的な検定料金の設定から時間とコストに基づく弾力的な設定を可能とする。
(2)Exコンポーネント等の検定
 従来、Exコンポーネント等は、電気機械器具とは認められなかったため検定の対象ではなかったが、新たにこれを検定対象とする。その際、製品への合格標章は省略可能とすること。Exコンポーネント等の製造者への製造設備に対する要件を緩和し、代わりに監査制度もしくは買取試験の対象とする。
(3)ATEXの試験報告書の受け入れ
 ATEXの認証機関(NB)がIECExのExCBである場合、もしくは指定外国検査機関制度に認められた場合に、その試験報告書(英語又は日本語に限る)を機械等検定規則第6条第1項第4号に定める『当該型式の機械等について、あらかじめ行った試験の結果を記載した書面』として取り扱うことができること。
結論
(1)同一型式の考え方(2)Exコンポーネント等の検定(3)ATEXの試験報告書の受け入れの3点について、有識者からの意見聴取と討論をまとめた。

公開日・更新日

公開日
2019-06-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201822001B
報告書区分
総合
研究課題名
防爆構造電気機器器具に関する国際電気標準会議(IEC)規格に関する調査研究
課題番号
H28-労働-一般-001
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
大塚 輝人(独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所化学安全研究グループ)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国際電気標準会議(IEC)においては、防爆構造電気機器器具(以下「防爆機器」という。)に関する技術的な規格を定めるとともに、その認証制度(以下「IECExシステム」という。)の制定及び運用も行っている。IECExシステムは、防爆機器の検定だけでなく、設置、保守、点検などライフサイクルにわたって規定している。IECの規格及び制度は、国際的な広がりをもってきており、すでに多くの国々で受け入れられている。一方、我が国では、防爆機器については労働安全衛生法に基づく検定制度があるが、防爆機器の品質管理、保守等については検定制度には含まれておらず、この点においてはIECExシステムとの齟齬がみられる。このような現状を背景に、本研究では、主要国におけるIECExシステムへの対応を参考にしつつ、我が国の防爆機器検定制度のあるべき姿について検討し、IEC規格とIECExシステムとの調和を推進するための国内制度改正の基礎となる資料を作成することを目的とする。
研究方法
主要国におけるIECExシステムへの対応調査と、委員会形式による有識から意見調ちゅと討論
結果と考察
防爆電気機器器具に関するIEC規格の技術的内容及び検定制度を我が国の制度にどのように反映していくかについて検討するため、主要国(米国、ドイツ、豪州)の制度調査を行うとともに、今後の方向性について検討を行った。その結果、主要国においていずれもIEC規格を受け入れているものの、具体的な方法については大きく異なっていた。このうち米国は、我が国と同様に、国内規格が優勢であり、平行してIEC規格も受け入れるというスタンスであった。
 我が国における検定基準も、現時点では二系統(防爆構造規格及びIEC規格整合の防爆指針)がある。IECExは国際的認証システムであり、その試験・認証基準として用いられるIEC規格とともに世界的に受け入れられている。したがって我が国でも、検定制度及び防爆構造規格を世界的に見て遜色ないものにする必要があり、これにより、さらに防爆機器の設置・使用を含めた包括的な安全性を確保するとともに、信頼性の高い防爆機器の国際的な流通促進が期待できる。しかし、現実には両系統の検定基準とも一定の需要があることから、これを短兵急に一本化すれば、特に製造者に対して大きな混乱をもたらすことは必至である。一本化の是非も含め、その方向性については各方面からの意見を聴取し、想定される影響にも配慮しつつ決定する必要がある。また、IEC規格整合の防爆指針に関しても、JNIOSH-TR-46:2018を以てIEC規格のキャッチアップできた状態となり、今後もキャッチアップし続ける体制がようやく整った状態であるが、我が国の法令上、国際規格と異なる部分(National differences)も多々あり、我が国の検定において、どこまで整合させるかを検討し続ける必要がある。本研究はそのための一段階であり、提言をまとめるに至った。提言の概要は以下のとおり。
(1)同一型式の考え方
 工学的に安全性が明らかであるものは基本的に同一型式の範疇に含める。また、一部の試験を追加することで安全性を確認できるものは、その追加試験を行った上で同一型式と認める。現行の合格品についても更新検定時に追加試験を行うことで、論点での考え方に従った同一型式の範囲を広げることができるようにする。その際の検定基準は、その従来品が新規検定合格した際の防爆指針とする。「同一」という用語を「同等以上」とし、同一型式の範囲を制限すること。さらに、このような同一型式の拡張に対応して、従来の固定的な検定料金の設定から時間とコストに基づく弾力的な設定を可能とする。
(2)Exコンポーネント等の検定
 従来、Exコンポーネント等は、電気機械器具とは認められなかったため検定の対象ではなかったが、新たにこれを検定対象とする。その際、製品への合格標章は省略可能とすること。Exコンポーネント等の製造者への製造設備に対する要件を緩和し、代わりに監査制度もしくは買取試験の対象とする。
(3)ATEXの試験報告書の受け入れ
 ATEXの認証機関(NB)がIECExのExCBである場合、もしくは指定外国検査機関制度に認められた場合に、その試験報告書(英語又は日本語に限る)を機械等検定規則第6条第1項第4号に定める『当該型式の機械等について、あらかじめ行った試験の結果を記載した書面』として取り扱うことができること。
結論
主要国におけるIECExシステムへの対応を参考にしつつ、我が国の防爆機器検定制度のあるべき姿について検討し、IEC規格とIECExシステムとの調和を推進するための国内制度改正への改善点及び議論すべき内容について明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2019-06-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201822001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
諸外国の防爆規制の現状をまとめ、同時に我が国の現行の二つの防爆に関する技術基準の比較を行いその相違点をまとめた。
臨床的観点からの成果
なし
ガイドライン等の開発
経済産業省における第11回 水素・燃料電池自動車関連規制に関する検討会(2019/12/18)にて、ATEXにおける防爆機器認証を行う機関がIECExの認証機関でもあり、ExTRに準拠した試験報告書を発行できる場合等に、当該試験報告書を、機械等検定規則第6条第1項第4号に定める『当該型式の機械等について、あらかじめ行った試験の結果を記載した書面』として取り扱うことができるとの委員会結論と、今後これを踏まえた所要の措置が行政によりなされる予定である旨が報告された。
その他行政的観点からの成果
防爆に関して、諸外国制度と、国際整合規格に残されたNational Differenceを踏まえた上で、有識者による委員会での議論により、National Differenceとして残された国際整合規格に関する改善提案を行った。
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
山隈瑞樹
防爆電気機器の必要性と関連規格の動向-国際整合防爆指針2015 を中心として-
静電気学会 , 40 (3) , 126-131  (2016)

公開日・更新日

公開日
2019-12-19
更新日
2023-05-25

収支報告書

文献番号
201822001Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,200,000円
(2)補助金確定額
2,932,000円
差引額 [(1)-(2)]
268,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 425,095円
人件費・謝金 307,740円
旅費 347,910円
その他 1,122,105円
間接経費 730,000円
合計 2,932,850円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2020-03-13
更新日
-