肝炎ウイルスの新たな感染防止・残された課題・今後の対策

文献情報

文献番号
201820008A
報告書区分
総括
研究課題名
肝炎ウイルスの新たな感染防止・残された課題・今後の対策
課題番号
H30-肝政-指定-002
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
四柳 宏(東京大学医科学研究所 先端医療研究センター 感染症分野)
研究分担者(所属機関)
  • 田倉 智之(東京大学大学院医学系研究科 医療経済政策学)
  • 相崎 英樹(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 八橋 弘(国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター)
  • 森屋 恭爾(東京大学大学院医学系研究科 感染制御学)
  • 江口 有一郎(佐賀大学医学部附属病院 肝疾患センター)
  • 田中 靖人(名古屋市立大学大学院医学系研究科 ウイルス学)
  • 細野 覚代(名古屋市立大学大学院医学系研究科 公衆衛生学)
  • 森岡 一朗(日本大学医学部 小児科学系小児科学分野)
  • 高野 智子(大阪急性期・総合医療センター 小児科)
  • 酒井 愛子(茨城県立子ども病院 小児医療・がん研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
19,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肝炎対策基本法には“肝炎対策基本指針”が定められており、この中の一つに“肝炎に関する啓発及び知識の普及並びに肝炎患者等の人権の尊重に関する事項”が挙げられている。
 本研究班は“肝炎に関する啓発及び知識の普及”を目標にしている。同時に肝炎対策基本指針の中に定められている“肝炎の予防のための施策に関する事項”に関する研究を行うことも目的にしている。
研究方法
本研究班の目標として(1)一般生活者・保育施設勤務者・医療従事者を対象としたe-learning systemの構築、(2)HBワクチンの接種状況・感染状況に関する調査、(3)急性肝炎の発生状況にする正確な状況把握の検討、を掲げた。
結果と考察
(1)一般生活者・保育施設勤務者・医療従事者を対象としたe-learning systemの構築
・e-learningを作成した。また、ウイルス肝炎の感染経路に関するQ and Aを他の研究班と共同で作成した。
・看護学生670名を含む病院職員5330名を対象としてウイルス肝炎の感染経路及び感染確率に関する理解度を明らかにする目的で実施した無記名アンケート調査の結果を解析し、感染経路の理解に関する問題点を明らかにした。
・医療の場における肝炎ウイルス感染予防の事態を知るため、日本病院会に加盟している組織に対するアンケート調査を計画した。倫理審査を通過した後アンケートを実施した。
(2)HBワクチンの接種状況・感染状況に関する調査
・全国の病院において医療関係者を対象とした肝炎ウイルス検査データおよびHBV感染予防状況のデータベース構築、サーバーへの登録の準備を進めた。
・B型肝炎ワクチン(HBワクチン)定期接種化以前に出生した小児のB型肝炎感染疫学の調査として、エコチル調査・愛知ユニットセンターに登録された8歳学童期調査および8歳詳細調査の参加者を対象にHBV感染の実態調査を行う準備を行った。
・保育現場におけるガイドライン(『保育の場において血液を介して感染する病気を防止するためのガイドラインーウイルス性肝炎の感染予防を中心にー』)の理解度及び感染対策の実際を検証するために、大阪市内の保育施設勤務者にアンケート調査を行った。
・小児におけるB型肝炎ウイルスの感染実態よびB型肝炎ワクチン定期接種開始後のワクチン接種率・HBs抗体獲得率・HBs抗体持続期間を明らかにするため、病院受診者の残余検体を用いた多施設共同疫学調査の倫理申請を行った。
・静岡県におけるHBワクチン接種後のHBs抗体追跡調査(多施設共同研究)に必要な準備作業を行った。
(3)急性肝炎の発生状況にする正確な状況把握の検討
・本年流行したA型急性肝炎に関して感染症サーベイランス事業の結果と定点医療施設の観察結果と比較した。さらに、A型急性肝炎の米国における状況と対策を解析した。
・医療ビッグデータを応用し、C型肝炎を対象に抽出・連結を行い、予備調査を実施した。
 
 本年度は初年度であり、研究を円滑に行うための準備作業を行った。以下に今後の課題を挙げる。
(1)e-learningに関しては参加者がe-learningを行うことでどのようなことを学んだかの評価が必要である。これに関しては問題やアンケートによる評価を考えている。
(2)成人のHBワクチンに関してはワクチン無効例への対策、ブースター接種の必要性の有無が大きな問題である。研究期間の間にできるだけ多くのことを明らかにする必要がある。小児に関して定期接種の効果を明らかにするにはかなりのサンプル数が必要でその確保が課題である。
(3)B型肝炎・C型肝炎はともに5類の全数届出感染症であるが、届出率は低い。この検討により今後どの程度が報告されているか、地域差はどうであるかなどが明らかにされることが期待される。根本的な対策の立案は容易でないが、届出がきちんと行われるための提言のようなものを考えていくべきである。
結論
ウイルス肝炎のコントロールのための研究を3つのプロジェクトを中心に展開する準備を行なった。来年度以降実際の調査を行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2019-09-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2019-09-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201820008Z