文献情報
文献番号
201819006A
報告書区分
総括
研究課題名
都市部の若者男女におけるHIV感染リスク行動に関する研究
課題番号
H29-エイズ-一般-003
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
日高 庸晴(宝塚大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
- 松高 由佳(比治山大学 現代文化学部)
- 合田 友美(宝塚大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
国民一般にHIV感染症の知識の普及と検査受検勧奨を推進するために、HIV/STI感染リスクが高いと考えられる性的に活発な男女やSTI感染不安・クリニック受診者を主たる対象に、インタビュー調査、知識・意識・行動に関する横断調査、それらに基づいた受検勧奨のための啓発プログラムを開発・実施・評価することを視野に、以下3つの研究課題に取り組むこととする。研究1:Webによる若者のHIV/STI感染リスク行動に関する行動疫学研究、研究2:繁華街の若者のHIV/STI感染リスク行動に関する行動疫学研究、研究3:STI感染不安のある若者のHIV/STI感染リスク行動に関する行動疫学研究である。
研究方法
研究1:インターネット調査会社の登録モニターを対象に自記式質問票調査を実施した。
研究2:大阪市内(2店舗)および札幌市内(1店舗)のナイトクラブに入店した18歳以上を対象にタブレット端末を用いたオンライン行動疫学調査を実施した。大阪市内では動画による予防介入コンテンツの視聴による前後比較試験を行った。
研究3:西日本A自治体のHIV/STI検査、B社のHIV/STI郵送検査、CクリニックでのHIV/STI検査受検者を対象に自記式質問票調査を実施した。いずれの調査も無記名とした。
研究2:大阪市内(2店舗)および札幌市内(1店舗)のナイトクラブに入店した18歳以上を対象にタブレット端末を用いたオンライン行動疫学調査を実施した。大阪市内では動画による予防介入コンテンツの視聴による前後比較試験を行った。
研究3:西日本A自治体のHIV/STI検査、B社のHIV/STI郵送検査、CクリニックでのHIV/STI検査受検者を対象に自記式質問票調査を実施した。いずれの調査も無記名とした。
結果と考察
研究1:札幌市在住かつ20-40代であり、これまでの性経験が異性のみである男女各650人(計1,300人)の回答を得た。HIV/STI知識の現状やHIV抗体検査受検歴が示された。過去6ヶ月間に全体の7割に性交経験があり、男性の約3割、女性の1割に複数のパートナーがいたことが明らかになった。研究1年目に回答があった他の都市部および2年目から札幌市内で開始しているクラブ調査の結果とも比較可能なデータセットが整備された。これらの結果をもとに若年層を対象にした啓発メッセージを検討していく計画である。
研究2:クラブ調査では1,516人の有効回答が得られ、HIV/STI予防や抗体検査に関する一般的な知識が圧倒的に浸透していないこと、過去6ヶ月間に約7割に性交経験がありうち6割に複数のパートナーがあること、膣性交時のコンドーム常時使用率は45%程度で
あること等が示された。また、動画による介入研究では1年目の調査結果から示される知識の少なさを補填する内容とし、前後比較において効果が認められた。
研究3:自治体検査受検者17,159人、郵送検査受検者863人、Cクリニック受検者245人から回答を得た。過去6ヶ月間の性交相手と出会う経緯は、自治体検査では「友人・知人の紹介」「インターネット」であった。一方、郵送検査の男性受検者では「お金を払った相手」、女性では「インターネット」利用による出会いが多かった。また、「クラブ」は20 代の若者の出会いの場となっているようであり、他年代と比べ明らかな差があった。
過去6 か月間のコンドーム所持率は、10~20 代の男性が「すぐに使えるようにいつも身近に持っていた」割合が比較的高く、3 割以上が常時所持していた。一方、20~30 代の女性の所持率は低く5 割以上の女性が所持していなかった。
研究2:クラブ調査では1,516人の有効回答が得られ、HIV/STI予防や抗体検査に関する一般的な知識が圧倒的に浸透していないこと、過去6ヶ月間に約7割に性交経験がありうち6割に複数のパートナーがあること、膣性交時のコンドーム常時使用率は45%程度で
あること等が示された。また、動画による介入研究では1年目の調査結果から示される知識の少なさを補填する内容とし、前後比較において効果が認められた。
研究3:自治体検査受検者17,159人、郵送検査受検者863人、Cクリニック受検者245人から回答を得た。過去6ヶ月間の性交相手と出会う経緯は、自治体検査では「友人・知人の紹介」「インターネット」であった。一方、郵送検査の男性受検者では「お金を払った相手」、女性では「インターネット」利用による出会いが多かった。また、「クラブ」は20 代の若者の出会いの場となっているようであり、他年代と比べ明らかな差があった。
過去6 か月間のコンドーム所持率は、10~20 代の男性が「すぐに使えるようにいつも身近に持っていた」割合が比較的高く、3 割以上が常時所持していた。一方、20~30 代の女性の所持率は低く5 割以上の女性が所持していなかった。
結論
HIV/STI感染リスクが比較的高いと思われる、都市部の若者を対象にした複数の行動疫学研究を計画通り実施している。現代の若者の気質と時勢に合わせた手法による予防介入の実施が求められ、研究3年目には予防介入の試行が必要であり研究班としてその実施を計画している。
公開日・更新日
公開日
2020-03-11
更新日
-