ワクチンの有効性・安全性の臨床評価とVPDの疾病負荷に関する疫学研究

文献情報

文献番号
201818022A
報告書区分
総括
研究課題名
ワクチンの有効性・安全性の臨床評価とVPDの疾病負荷に関する疫学研究
課題番号
H29-新興行政-指定-003
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
廣田 良夫(医療法人相生会 臨床疫学研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 福島若葉(大阪市立大学大学院 医学研究科公衆衛生学)
  • 大藤さとこ(大阪市立大学大学院 医学研究科公衆衛生学)
  • 原めぐみ(佐賀大学医学部 社会医学講座予防医学分野)
  • 森川佐依子(大阪健康安全基盤研究所 森ノ宮センター ウイルス課)
  • 岡田賢司(学校法人福岡学園 福岡看護大学 基礎・基礎看護部門)
  • 中野貴司(川崎医科大学 小児科学)
  • 近藤正英(筑波大学 医学医療系)
  • 砂川富正(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
  • 齋藤智也(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
  • 鈴木幹三(名古屋市立大学大学院・医学研究科 地域包括医療学寄附講座)
  • 織田慶子    (保健医療経営大学 保健医療経営学部)
  • 浦江明憲((株)メディサイエンスプラニング)
  • 入江 伸(医療法人相生会)
  • 都留智巳(医療法人相生会 ピーエスクリニック)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
40,925,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)厚労省意向による特定研究
①ポリオ生・不活化ワクチン混合接種後の抗体持続を評価
②インフルエンザワクチンの有効性をtest-negative症例対照研究により定点モニタリング
③埼玉株と香港株単価インフルエンザワクチンの免疫原性を評価
④製法変更されたB型肝炎ワクチンの安全性を評価
2)インフルエンザワクチン、百日咳ワクチン、肺炎球菌ワクチン等の有効性を分析疫学手法で評価
3)上記のため、微生物学者と共同して、病原体特性を考慮した堅固な結果を得る
研究方法
疫学、小児科学、臨床薬理学、微生物学等の専門家が9分科会で共同研究を実施
結果と考察
1)ポリオ感受性分科会
接種後5年間に中和抗体価が1:8未満まで低下した者は、A群(sOPV→sIPV→sIPV →sIPV)18%、B群(sOPV→wIPV→wIPV→wIPV)6%。抗体価半減期の中央値は 2年。抗体保有割合が100%を維持できる期間は最長で接種6年後までと推計。
2)定点モニタリング分科会
6歳未満児で、PCR陽性インフルに対する2回接種の調整ORは、2013/14~2017/18シーズンで、0.49、0.50、0.40、0.59、0.37。
3)A(H3)埼玉株/香港株ワクチン免疫原性分科会
香港株ワクは、香港株のみならず埼玉株や流行野生株(A/大阪/188/2017、大阪株)に対しても、埼玉株ワクより良好な免疫原性。大阪株に対し、平均上昇倍数2.7倍、抗体応答割合32%。
4)B型肝炎ワクチン安全性分科会
製法変更製剤(ヘプタバックス-Ⅱ®)について、小児(生後2ヵ月以上6ヵ月未満)を対象に、1回目接種から3回目接種後28日まで有害事象及び副反応を調査中。
5)インフルエンザ分科会
① 小学生では、迅速診断陽性インフルに対するワクチン接種の調整ORは、A型0.34、B型0.85(2017/18シーズン)。
② 6歳未満児では、迅速診断陽性インフルに対するワクチン接種の調整ORは0.57。型別では、A型0.52、B型0.61(2017/18)。
③ PCR陽性インフル(H1N1pdm)に対するワクチン接種の調整ORは、1~12歳で0.51、13~64歳で0.08(2009/10)。翌シーズンは各々0.37と0.34(2010/11)。
④ 妊婦において、「流産・死産、早産、低出生体重、先天奇形のいずれか1つ以上」を呈した者は、妊娠中にワクチン接種を受けた者11%、非接種者14%(2013/14)。
6)百日咳分科会
① DTaPワク4回接種のLAMP陽性百日咳発症に対する調整ORは0.12。しかし、4回接種者では、年齢10歳以上、接種後5.9年以上、でORが有意に上昇。
② DTaPワク4回接種のLAMP陽性百日咳発症に対するORは0.27。しかし、4回接種者では、接種後4.0年以上でORが有意に上昇。
7)高齢者肺炎分科会
第2期多施設共同・症例対照研究の中間解析で、肺炎に対する調整ORは、肺炎球菌ワク1.30、インフルワク0.66。
8)新規ワクチン検討分科会
① 6歳未満児では、迅速診断陽性ロタウイルス胃腸炎に対するワクチン接種の調整ORは0.26、胃腸炎の初期症状が重篤な例でより高い有効率。
② 1歳半検診受診児で、ロタウイルスワクの接種率は73%。保護者のロタウイルス胃腸炎に対する理解、保護者の学歴、世帯年収などが接種と正の関連。
③ 高齢者の帯状疱疹予防に関し、弱毒生水痘ワクチン(VVL)と組換え帯状疱疹ワクチン(RZV)の使用について費用効果分析を行ったところ、1QALY獲得に対するWTPを500万円に設定した場合、ワクチンの種類に拘らず費用効果的。
9)広報啓発分科会
米国ACIPのインフルエンザワクチンに関する勧告(2018/19)を翻訳し、日本公衆衛生協会より出版。
結論
主要な結論
1)ポリオ生・不活化ワクチン混合接種後7年以降で、抗体が防御レベルに満たない例が生じると推計された。
2)インフルエンザワクチンは、ワクチン株と流行株の抗原性が乖離したシーズンでも有効である。
3)インフルエンザワクチンによる既存抗体へのブースターが、ワクチン有効性と強く関連すると考えられる。
4)妊婦へのインフルエンザワクチン接種は、妊娠転帰に影響しないことが示唆された。
5)DTaPワクチンの百日咳に対する効果は、接種後5年程度で減弱する可能性がある。

公開日・更新日

公開日
2019-06-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-06-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201818022Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
49,177,000円
(2)補助金確定額
49,177,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 9,267,977円
人件費・謝金 12,295,380円
旅費 5,337,609円
その他 14,198,448円
間接経費 8,252,000円
合計 49,351,414円

備考

備考
交付額との差額については、各配分機関での研究経費の利息及び自己資金で執行しております。

公開日・更新日

公開日
2021-05-19
更新日
-