文献情報
文献番号
201818006A
報告書区分
総括
研究課題名
国内の病原体サーベイランスに資する機能的なラボネットワークの強化に関する研究
課題番号
H28-新興行政-一般-006
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
宮崎 義継(国立感染症研究所 真菌部)
研究分担者(所属機関)
- 調 恒明(山口県環境保健センター)
- 前川 純子(国立感染症研究所・細菌第一部)
- 池辺 忠義(国立感染症研究所・細菌第一部)
- 永宗 喜三郎(国立感染症研究所・寄生動物部)
- 林 昌宏(国立感染症研究所・ウイルス第一部)
- 安藤 秀二(国立感染症研究所・ウイルス第一部)
- 吉田 弘(国立感染症研究所・ウイルス第二部)
- 森 嘉生(国立感染症研究所・ウイルス第三部)
- 蒲地 一成(国立感染症研究所・細菌第二部)
- 御手洗 聡(公益財団法人結核予防会結核研究所・抗酸菌部)
- 森川 茂(国立感染症研究所・獣医科学部)
- 松岡 佐織(国立感染症研究所・エイズ研究センター)
- 藤本 嗣人(国立感染症研究所・感染症疫学センター)
- 鈴木 里和(国立感染症研究所・薬剤耐性研究センター)
- 朝倉 宏(国立医薬品食品衛生研究所・食品衛生管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
7,692,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
薬剤耐性菌、新型インフルエンザ等の感染症アウトブレイク、ジカ熱・デング熱等の再興感染症など国民生活に脅威となる感染症は継続的に発生しており、令和元年ラグビーワールドカップ、令和2年開催予定の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に際し訪日外国人が増加し、感染症発生リスクの上昇が懸念される。また、平成28年度から自治体は病原体検査を実施する法的な義務を負っている。これら行政が関与する感染症対策の初動スキームは、①先ず病原体を特定、②判明した病原体のサーベイランスによる感染拡大状況の把握である。しかし、現行では国と自治体が統一的に上記スキームを可能とする公的システムが存在しないため、何らかの手段により必要な病原体検査を全国規模で実施可能とするラボネットワークは国の感染症危機管理上、必須である。本研究班では、国立感染症研究所と全国の地方衛生研究所が相互に補完協力して、国内の感染症に対応することを目的として、ウイルス・細菌・真菌・寄生虫などあらゆる病原体に対して行政の関与が必要な感染症に備える研究を実施する。
研究成果は、全国の行政機関における病原診断能力の向上と維持につながり、わが国における精度の高い感染症発生動向調査結果として反映される。感染症の発生動向は施策に直接反映される。パンデミック時に流行状況を把握する必要が生じた場合、本研究成果の活用により、全国で統一された病原体検査が迅速かつ円滑に行われる。さらに、検査法の統一化によりえられる正確かつ共有可能な病原体情報は、疫学の精度を高め効果的なパンデミック対策に資する。
研究成果は、全国の行政機関における病原診断能力の向上と維持につながり、わが国における精度の高い感染症発生動向調査結果として反映される。感染症の発生動向は施策に直接反映される。パンデミック時に流行状況を把握する必要が生じた場合、本研究成果の活用により、全国で統一された病原体検査が迅速かつ円滑に行われる。さらに、検査法の統一化によりえられる正確かつ共有可能な病原体情報は、疫学の精度を高め効果的なパンデミック対策に資する。
研究方法
地方衛生研究所と国立感染症研究所が共同で実施すべきレファレンス活動を、双方の病原体担当職員が、地方衛生研究所全国協議会の感染症対策部会と連携しながら研究を実施した。検査体制について病原体担当者レベルで協議し、各病原体レファレンスセンター活動、ならびに、病原体の診断法・疫学解析法の確立を中心に行った。
各病原体レファレンスセンター活動としては、1)大腸菌、2)レジオネラ、3)レンサ球菌、4)寄生虫、5)アルボウイルス、6)リケッチア、7)エンテロウイルス、8)麻疹・風疹、9)百日咳、10)結核、11)動物由来感染症、12)HIV関連感染症、13)アデノウイルス、14)薬剤耐性菌、15)カンピロバクターについて実施した。それぞれの病原体や疾病について、全国で分離された株の型別、薬剤耐性株の出現状況調査、講習会・技術研修会の実施、検査法の検討、また、レファレンス活動に必要となる病原体などの診断法・疫学解析法の確立および評価を行った。
各病原体レファレンスセンター活動としては、1)大腸菌、2)レジオネラ、3)レンサ球菌、4)寄生虫、5)アルボウイルス、6)リケッチア、7)エンテロウイルス、8)麻疹・風疹、9)百日咳、10)結核、11)動物由来感染症、12)HIV関連感染症、13)アデノウイルス、14)薬剤耐性菌、15)カンピロバクターについて実施した。それぞれの病原体や疾病について、全国で分離された株の型別、薬剤耐性株の出現状況調査、講習会・技術研修会の実施、検査法の検討、また、レファレンス活動に必要となる病原体などの診断法・疫学解析法の確立および評価を行った。
結果と考察
各レファレンスセンターでは遺伝子検出法系・血清診断法の開発・改良・地衛研への配布等を行い、各レファレンスセンターを中心とした病原体検査体制の強化と危機対応や、疫学調査に貢献した。大腸菌・レジオネラ・レンサ球菌は血清や遺伝子の型別分類、寄生虫は技術研修と免疫学的・遺伝子検査、リケッチアは遺伝子検査法の評価、エンテロウイルスは外部精度評価と問題分析法の検討、麻疹・風疹は検査実施状況の調査、結核は遺伝子型別試験の精度評価、動物由来感染症は炭疽菌検査の外部精度評価、HIV関連感染症は診断技術支援、アデノウイルスは下痢症関連の文献調査、薬剤耐性菌は結果報告体制の整備を実施した。アルボウイルスは日本脳炎ウイルス遺伝子型V型のゲノム検出法の確立、百日咳はパラ百日咳菌の遺伝子型別法の評価を行った。病原体検出マニュアルは、後天性免疫不全症候群、インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く)を改訂し、A型肝炎、E型肝炎、播種性クリプトコックス症を追加した。
また、検査体制の整備に関してもとして、病原体検査の信頼性確保のための調査を行い、信頼性確保部門担当者向け研修ガイドラインを作成した。研修会・講習会を行うことによって、検査技術の維持・向上に貢献し、疫学調査を行い、全国発生動向・集団発生事例の監視を可能にした。
また、検査体制の整備に関してもとして、病原体検査の信頼性確保のための調査を行い、信頼性確保部門担当者向け研修ガイドラインを作成した。研修会・講習会を行うことによって、検査技術の維持・向上に貢献し、疫学調査を行い、全国発生動向・集団発生事例の監視を可能にした。
結論
国立感染症研究所と全国の地方衛生研究所の共同検査体制を構築維持するのために、病原体検出マニュアルの改訂・整備を継続し、全国の地方衛生研究所での感染症検査体制を維持するための各病原体の遺伝子検査、血清診断の開発・改良、疫学調査、標準品の作成供給、検査技術の継承のため講習等を実施した。
公開日・更新日
公開日
2019-08-01
更新日
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