文献情報
文献番号
201817016A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者の福祉的就労・日中活動サービスの質の向上のための研究
課題番号
H30-身体・知的-一般-007
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
原田 将寿(独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園 施設事業局)
研究分担者(所属機関)
- 大村 美保(筑波大学 人間系・障害科学域)
- 相馬 大祐(福井県立大学 看護福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
生活介護事業所、就労継続支援B型(以下、就労B型、という)事業所は、事業所数、利用者数ともに年々規模が拡大しており、障害者の日中活動、福祉的就労の場として中心的役割を担っている両事業について、その実態を明らかするとともに、サービスの質を担保するための評価及び指標についての考察が重要である。当法人では平成29年度厚生労働科学特別研究事業「障害者の福祉的就労・日中活動サービスの質の向上に関する研究」において、全国の事業所を対象としたアンケート調査を実施した。本研究では、さらなる実態把握のための全国規模の調査を行い、さらに生活介護事業所、就労B型事業所の責任者、有識者等を交えた研究検討委員会等の研究実施体制により、サービスの質を評価する方法及び指標の提案を行うことを目標とし、その成果として、ガイドラインや好事例集の作成等を目的として行うものである。
研究方法
調査として、生活介護事業所、就労B型事業所の指定権限がある全国の都道府県、政令指定都市、中核市を対象としたアンケート調査を行った。調査内容は、生活介護、就労B型事業所の平成29年度実地指導・監査の状況、生活介護、就労B型事業所に関して自治体に地域から寄せられている苦情等、生活介護、就労B型事業の課題等とした。
さらに、調査研究及び成果物作成の遂行を目的として、①研究検討委員会、及び②ガイドライン作成及び事例集作成ワーキング会議の設置と会議の実施、③全国の生活介護、就労B型事業所から選定した事業所(33事業所)訪問による事業所ヒアリング調査を実施した。
さらに、調査研究及び成果物作成の遂行を目的として、①研究検討委員会、及び②ガイドライン作成及び事例集作成ワーキング会議の設置と会議の実施、③全国の生活介護、就労B型事業所から選定した事業所(33事業所)訪問による事業所ヒアリング調査を実施した。
結果と考察
アンケート調査の結果、121自治体のうち96自治体(回収率79.3%)から回答を得ることができた。「平成29年度実地指導・監査の状況についての実績」では、実地指導・監査を実施した事業所数に対して、文書指摘を行った事業所数の割合が、生活介護が47.6%、就労B型が64.3%であり、そのうち、具体的な基準項目では、生活介護、就労B型いずれも「運営に関すること」が約7割を占めていた。また、減算処分の内容ごとの文書指摘を行った事業所数に対する割合では、生活介護は「医師未配置減算」が3.6%、「生活介護計画未作成減算」が1.0%で、就労B型は、「就労継続支援B型計画未作成減算」が1.8%であった。「地域(利用者、家族、他事業所、関係機関、地域住民等)から寄せられている苦情等について」では、生活介護、就労B型いずれも「支援に関すること」についての回答が半数以上を占め、次いで「運営に関すること」、「地域に関すること」、「制度に関すること」であった。さらに、具体的な内容となる小項目ごとでは、生活介護は、「事業所・職員の対応」「支援の質」が多く、就労B型は、「事業所・職員の対応」「工賃」「支援の質」が多かった。
アンケート調査結果より、実地指導・監査での減算処分の内容や、地域から寄せられている苦情や課題等の回答内容から、生活介護事業所、就労B型事業所において、個別支援計画作成等の基準省令の遵守はさることながら、利用者の権利擁護や利用者個々の特性に合わせた支援の実施が現状の課題であると言える。利用者の権利擁護については、虐待の疑いのある不適切な行為や、日常の支援のなかでの職員の利用者に対する態度や言動について言及されたものが多かった。個別支援では、障害特性に合わせた支援や作業環境の改善について言及されたものが多く、さらに就労B型では、工賃の多寡に関する問い合わせが多かった。さらに、地域の社会資源の不足や地域間の社会資源、サービスの格差が課題であり、地域ごとの障害ある人たちのニーズに即した社会資源やサービスの在り方の検討が重要であると考えられる。
アンケート調査結果より、実地指導・監査での減算処分の内容や、地域から寄せられている苦情や課題等の回答内容から、生活介護事業所、就労B型事業所において、個別支援計画作成等の基準省令の遵守はさることながら、利用者の権利擁護や利用者個々の特性に合わせた支援の実施が現状の課題であると言える。利用者の権利擁護については、虐待の疑いのある不適切な行為や、日常の支援のなかでの職員の利用者に対する態度や言動について言及されたものが多かった。個別支援では、障害特性に合わせた支援や作業環境の改善について言及されたものが多く、さらに就労B型では、工賃の多寡に関する問い合わせが多かった。さらに、地域の社会資源の不足や地域間の社会資源、サービスの格差が課題であり、地域ごとの障害ある人たちのニーズに即した社会資源やサービスの在り方の検討が重要であると考えられる。
結論
利用者の権利擁護と利用者の特性に合わせた個別支援、地域のニーズへの対応は、生活介護事業所、就労B型事業所のサービスの質の評価に関わる要素であり、地域の行政や関係機関と連携し、これらの要素を具現化する実践を行うことが重要である。
上記の調査研究及び検討委員会等を踏まえ、利用者の主体的な生活と自己実現、利用者の権利・利益の保障、地域への社会参加の実現など、障害ある人たちを支援するうえでの基本的な姿勢や事柄、守るべきもの、役割などを示すものとして、生活介護事業、就労B型事業のサービスの指標となるための「自己点検チェックリストのためのガイドライン」を作成した。あわせて、生活介護事業、就労B型事業のサービスの質を評価する資料として、自分たちの支援を振り返り、自己評価をするためのツールとなる「自己点検チェックリスト」を作成した。さらに、生活介護事業所、就労B型事業所の運営やサービスの指針となるためのものとして、好事例を取りまとめた「生活介護事業所・就労継続支援B型事業所 実践事例集」を作成した。
上記の調査研究及び検討委員会等を踏まえ、利用者の主体的な生活と自己実現、利用者の権利・利益の保障、地域への社会参加の実現など、障害ある人たちを支援するうえでの基本的な姿勢や事柄、守るべきもの、役割などを示すものとして、生活介護事業、就労B型事業のサービスの指標となるための「自己点検チェックリストのためのガイドライン」を作成した。あわせて、生活介護事業、就労B型事業のサービスの質を評価する資料として、自分たちの支援を振り返り、自己評価をするためのツールとなる「自己点検チェックリスト」を作成した。さらに、生活介護事業所、就労B型事業所の運営やサービスの指針となるためのものとして、好事例を取りまとめた「生活介護事業所・就労継続支援B型事業所 実践事例集」を作成した。
公開日・更新日
公開日
2019-08-14
更新日
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