運動・栄養介入による高齢者の虚弱予防に関する長期的な介護費削減効果の検証とガイドライン策定のための研究

文献情報

文献番号
201815009A
報告書区分
総括
研究課題名
運動・栄養介入による高齢者の虚弱予防に関する長期的な介護費削減効果の検証とガイドライン策定のための研究
課題番号
H30-長寿-一般-006
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
町田 修一(順天堂大学大学院)
研究分担者(所属機関)
  • 高田 和子(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所)
  • 阿部 圭一(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所)
  • 榎 裕美(愛知淑徳大学)
  • 渡邊 裕也(同志社大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
3,746,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
介護保険法の一部改訂に伴い、平成27年から「介護予防・日常生活支援総合事業」(以下、総合事業)が開始され、市町村が地域の実情に応じて、多様な主体による多様なサービスを充実することで、要支援者等に対する効果的・効率的な支援等を目指すこととなった。実際には、平成29年4月までにすべての市町村がこの総合事業を開始することとなっている。現時点では、介護予防において運動や栄養の介入の重要性は広く理解されており、市町村における介護予防事業でも、運動や栄養、口腔ケアなどを組み合わせた事業が行われている。一方で、現場においては様々な研究結果にアクセスすることや、介入内容や評価方法が異なる研究の解釈は難しく、介護予防事業を実施するに際し、参考にできる資料が乏しい状態にある。要介護者の減少のためには、特に要支援者と対象とした介護予防・生活支援サービスが重要と考えられるが、現時点で市町村での実施状況はわかっていない。また、現状の各種研究や資料の状況から鑑みると、市町村がエビデンスに基づいたサービスを提供すること、それらを適切に評価することは難しいと予測される。
本事業は、募集時の課題として市町村が実施する「介護予防・日常生活支援総合事業」において、より有効な運動と栄養の介入が実施できるよう以下の検討を行うことによりガイドラインの策定を目指す」ことが目的とされていた。そこで、研究申請時においては、一般介護予防事業を意図して計画をたて、申請した。採択後の厚生労働省担当官とのディスカッションにより、総合事業で新規に策定されている「訪問型サービスC」と「通所型サービスC」に重点を置いて、実態の把握と実施のためのガイドラインの策定についての依頼があった。
そこで本研究事業では、(1)市町村での介護予防・生活支援サービスの実施状況の把握、(2)実施事例の収集、(3)介護予防事業による新規要介護者の減少や介護費抑制の効果を検討、(4)市町村で活用可能な介護予防のガイドラインを作成することを目的とした。
研究方法
上記の目的のうち、平成30年度は以下を実施する。
(1)市町村での介護予防・生活支援サービスの実施状況の把握
全国全1,724市町村を対象に、実施状況、実施体制(対象者の決定、通所サービスの実施方法、訪問サービスの実施者等)、サービス実施後の対象者の状況に関する調査項目を検討し、調査を実施した。
(2)介護予防事業による新規要介護者の減少や介護費抑制の効果を検討
分担研究者が管理しているコホートにおいて実施した介護予防事業における介護費抑制効果の解析準備を進めた。また、体力面、栄養面について、今後の各事業における評価指標について併せて検討した。
結果と考察
(1)市町村での介護予防・生活支援サービスの実施状況の把握
市町村を対象に訪問型サービスC及び通所型サービスCの実施件数、実施の体制、参加後の他のサービスへの移行状況等についての調査表を全1,724市町村に配布し、1,049市町村(回収率61%)の回答を得た。年度末に回収した回答の入力を行ったため、次年度にこの結果の解析を実施し、一部の市町村については、実施事例のヒアリングを予定している。
(2)介護予防事業による新規要介護者の減少や介護費抑制の効果を検討
予備的な解析として、介入前と介入4年後の年間の介護給付費を、介入群と非介入群で比較したところ、介入群において、介護費抑制効果がみられた。さらに解析をすすめ、論文投稿を行う予定でいる。また、次年度以降に7年後調査の実施を予定しているため、さらに長期的な効果が検討可能と考える。一般高齢者施策については、各分担研究者で共通して検討ができる評価指標を検討し、今後のデータ収集と評価指標の提案を目指す。
結論
介護予防・生活支援サービスにおける通所型サービスC及び訪問型サービスCの実施状況の実態把握のための調査を実施した。この調査結果をもとに、一部の市町村については、詳細なヒアリングを予定している。それらにより、通所型サービスC,訪問型サービスCの実施がない市町村、または実施件数が少ない市町村において、今後の実施のためのガイドラインを作成する。介護費予防効果について、論文発表を目指すとともに、各市町村で介護費削減効果を検討する方法についても提案できることを目指す。

公開日・更新日

公開日
2020-04-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-04-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201815009Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,869,000円
(2)補助金確定額
4,869,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 714,386円
人件費・謝金 588,498円
旅費 346,910円
その他 1,486,114円
間接経費 1,123,000円
合計 4,258,908円

備考

備考
研究分担者の1名が50万円以上の小型の超音波画像診断装置を購入されたのですが、厚生労働科学研究費補助金等事務処理要領に基づいた購入方法ではなかったため、その費用分が差額となっております。

公開日・更新日

公開日
2021-06-08
更新日
-