文献情報
文献番号
201814001A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性の痛み診療・教育の基盤となるシステム構築に関する研究
課題番号
H30-痛み-指定-001
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
牛田 享宏(愛知医科大学医学部 学際的痛みセンター/運動療育センター(兼任) )
研究分担者(所属機関)
- 山下 敏彦(札幌医科大学 整形外科学講座)
- 小澤 浩司(東北医科薬科大学医学部 整形外科)
- 伊達 久(仙台ペインクリニック)
- 矢吹 省司(福島県立医科大学医学部)
- 山口 重樹(獨協医科大学医学部 麻酔科学講座)
- 大鳥 精司(千葉大学 整形外科)
- 八反丸 善康(東京慈恵会医科大学附属病院 ペインクリニック)
- 井関 雅子(順天堂大学医学部 麻酔科学・ペインクリニック講座)
- 加藤 実(日本大学医学部 麻酔科学系麻酔科学分野)
- 今村 佳樹(日本大学歯学部 口腔診断学講座)
- 松平 浩(東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター)
- 田倉 智之(東京大学大学院医学系研究科 医療経済政策学)
- 小杉 志都子(慶應義塾大学医学部 麻酔学教室)
- 山岸 暁美(慶應義塾大学医学部 衛生学公衆衛生学教室)
- 北原 雅樹(横浜市立大学医学部 麻酔科学講座)
- 木村 慎二(新潟大学医歯学総合病院 リハビリテーション科)
- 川口 善治(富山大学医学部 整形外科)
- 中村 裕之(金沢大学医薬保健研究域医学系環境生態医学 公衆衛生学)
- 杉浦 健之(名古屋市立大学大学院医学研究科)
- 青野 修一(愛知医科大学医学部 疼痛データマネジメント寄附講座)
- 丸山 一男(三重大学大学院医学系研究科 麻酔集中治療学)
- 福井 聖(滋賀医科大学医学部附属病院 ペインクリニック科)
- 松田 陽一(大阪大学大学院医学系研究科 麻酔・集中治療医学教室)
- 中塚 映政(医療法人青洲会なかつか整形外科リハビリクリニック)
- 松原 貴子(神戸学院大学 総合リハビリテーション学部)
- 西田 圭一郎(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科生体機能再生・再建学講座 整形外科)
- 田口 敏彦(山口労災病院)
- 鈴木 秀典(山口大学大学院医学系研究科)
- 西尾 芳文(徳島大学大学院社会産業理工学研究部)
- 檜垣 暢宏(愛媛大学医学部附属病院 麻酔科蘇生科)
- 池内 昌彦(高知大学教育研究部医療学系整形外科)
- 細井 昌子(九州大学病院 心療内科)
- 門司 晃(佐賀大学医学部附属病院 精神神経科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 慢性の痛み政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
44,000,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者交替
川﨑元敬(平成31年12月22日) → 池内昌彦(平成31年12月23日)
研究報告書(概要版)
研究目的
慢性痛は器質的な要因と心理・社会的な要因が患者の痛みの慢性化に複合的に関わるため、従来の縦割り型診療アプローチでは改善できないケースも多く、ドクターショッピングなど医療資源の無駄の要因となっている。そのため、本研究事業で進めている慢性痛対策を国民・医療者に普及し、その対策の中核として構築してきている集学的痛みセンターの機能的な活用を医学的および医療連携的なシステム構築の両面から図る事で、慢性痛患者の苦痛の軽減、就労困難や家人などへの負担および社会損失の軽減を目的とする。
研究方法
1)集学的慢性痛診療チームの構築
2)慢性痛患者の現状や対策を立てる為のレジストリ・登録開発の構築
3)本邦の医療に合致した客観的で精緻な診断評価方法(Quantitative Sensory Testing)の整理と開発導入
4)疫学と国民・医療者への広報
2)慢性痛患者の現状や対策を立てる為のレジストリ・登録開発の構築
3)本邦の医療に合致した客観的で精緻な診断評価方法(Quantitative Sensory Testing)の整理と開発導入
4)疫学と国民・医療者への広報
結果と考察
1)集学的慢性痛診療チームの構築
すべての痛みセンターにおいて運動器の診察の専門家(A1)を配置できた。
21施設で神経の機能の評価や治療ができる医師(A2)を配置できた。
精神科医・心療内科医(B1)については23施設で協力が得られた。
また、慢性疼痛診療体制構築モデル事業と協力して、ネットワーク作りを推進することができた。
2)慢性痛患者の現状や対策を立てる為のレジストリ・登録開発の構築
レジストリされるべき慢性痛患者の条件・情報,レジストリ期間等について決定した。
また、物理データベースサーバーの設置を行った。
疾患としての慢性疼痛の登録においては、WHOが新しく導入したICD11のカテゴリを実情にあうように改良したものを用いることとした。
これらを総合しての疾患登録は2019年度から始めることとした。
3)本邦の医療に合致した客観的で精緻な診断評価方法の整理と開発導入
触覚・痛覚・熱温度閾値測定の方法などQuantitative Sensory Testing (QST)の検討を行い、我が国の慢性疼痛phenotypeのprofile化に適するQSTを絞り込んだ。
テスト的に行った結果、Pressure Pain ThresholdとPP temporal summationについては臨床現場で使える指標として有用性があると考えられ
実際の痛みセンター診察においてその用いる事を検討していくこととした。
また、身体機能・姿勢評価として、診察室で簡便にできる身体所見を検討、整理した。
電気生理学的な手法は非常に客観性が高いと考えられることから神経機能診断の小径神経の伝導速度などを用いた方法の検討も行った。
その結果、病態の判断において有用性が示された。
4)疫学と国民・医療者への広報
疫学などに関する研究として,志賀町における調査,および、労働者の痛みとプレゼンティズム、アブセンティズムの調査(他事業と共同調査)を行った。
また、慢性痛総合対策の普及・啓発として、研究班ホームページの充実化、および情報提供プラットホームの一元化(URL:www.itami-net.or.jpを作成)をおこなった。
さらに、外来待合室で使うビデオの作成、患者相談窓口用の痛み相談マニュアルの作成(認定NPO法人いたみ医学研究情報センターと協業)した。
すべての痛みセンターにおいて運動器の診察の専門家(A1)を配置できた。
21施設で神経の機能の評価や治療ができる医師(A2)を配置できた。
精神科医・心療内科医(B1)については23施設で協力が得られた。
また、慢性疼痛診療体制構築モデル事業と協力して、ネットワーク作りを推進することができた。
2)慢性痛患者の現状や対策を立てる為のレジストリ・登録開発の構築
レジストリされるべき慢性痛患者の条件・情報,レジストリ期間等について決定した。
また、物理データベースサーバーの設置を行った。
疾患としての慢性疼痛の登録においては、WHOが新しく導入したICD11のカテゴリを実情にあうように改良したものを用いることとした。
これらを総合しての疾患登録は2019年度から始めることとした。
3)本邦の医療に合致した客観的で精緻な診断評価方法の整理と開発導入
触覚・痛覚・熱温度閾値測定の方法などQuantitative Sensory Testing (QST)の検討を行い、我が国の慢性疼痛phenotypeのprofile化に適するQSTを絞り込んだ。
テスト的に行った結果、Pressure Pain ThresholdとPP temporal summationについては臨床現場で使える指標として有用性があると考えられ
実際の痛みセンター診察においてその用いる事を検討していくこととした。
また、身体機能・姿勢評価として、診察室で簡便にできる身体所見を検討、整理した。
電気生理学的な手法は非常に客観性が高いと考えられることから神経機能診断の小径神経の伝導速度などを用いた方法の検討も行った。
その結果、病態の判断において有用性が示された。
4)疫学と国民・医療者への広報
疫学などに関する研究として,志賀町における調査,および、労働者の痛みとプレゼンティズム、アブセンティズムの調査(他事業と共同調査)を行った。
また、慢性痛総合対策の普及・啓発として、研究班ホームページの充実化、および情報提供プラットホームの一元化(URL:www.itami-net.or.jpを作成)をおこなった。
さらに、外来待合室で使うビデオの作成、患者相談窓口用の痛み相談マニュアルの作成(認定NPO法人いたみ医学研究情報センターと協業)した。
結論
痛みセンターの現状とその成績が明らかにすることにより、本邦にあった痛みセンターの充実を図る。また、レジストリの構築や客観的評価法の整理開発により、痛みセンター診療の有用性や問題点に関するエビデンスを明らかに出来、慢性疼痛患者の特徴を明らかにするなどの解析が可能になった。さらに、国民への広報や医療者の教育、診療に役立つツールの開発により、慢性疼痛の理解を深めるとともに慢性疼痛の診療に携わる医療者を増やすことが出来た。これらの活動を引き続き進めていくことにより、国民の健康意識・自己管理能力を上げて、ひいては国民の健康向上に結びつくと考えられる。
公開日・更新日
公開日
2019-06-12
更新日
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