プラダー・ウィリ症候群における診療ガイドラインの作成

文献情報

文献番号
201811083A
報告書区分
総括
研究課題名
プラダー・ウィリ症候群における診療ガイドラインの作成
課題番号
H30-難治等(難)-一般-011
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
緒方 勤(国立大学法人浜松医科大学 小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 川井 正信(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター 研究所 消化器・内分泌科)
  • 室谷 浩二(地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター 内分泌代謝科)
  • 堀川 玲子(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 内分泌代謝科)
  • 村上 信行(獨協医科大学埼玉医療センター 医学部)
  • 井原 裕(獨協医科大学埼玉医療センター こころの診療科)
  • 高橋 裕(国立大学法人神戸大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌内科学)
  • 鹿島田 健一(国立大学法人東京医科歯科大学 医学部附属病院)
  • 石井 智弘(慶応義塾大学 医学部)
  • 鏡 雅代(国立研究開発法人国立成育医療研究センター 分子内分泌研究部 臨床内分泌研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
プラダー・ウィリ症候群(PWS)は、乳児期早期の筋緊張低下、乳児期以降の過食と高度の肥満傾向およびその結果としての糖・脂質代謝異常、性腺機能低下、成長障害、行動異常など、生涯にわたりQOLの低下を招く難病である。本研究の目的は、「プラダー・ウィリ症候群の診療ガイドライン」を「Minds:診療ガイドライン作成の手引き2014」に準拠して作成することである。これにより、PWS患者・家族のQOL改善に貢献する。
 さらに、プラダー・ウィリ症候群研究班の申請にあたり、評価委員から対象疾患を広げるようにとの指摘があったことを踏まえて、プラダー・ウィリ症候群の類縁性分化疾患としてTurner症候群、McCune-Albright症候群、Bardet-Biedl症候群、多嚢胞性卵巣症候群、IMAGe症候群を対象疾病として取り組んだ。
研究方法
「プラダー・ウィリ症候群の診療ガイドライン」に必要なクリニカルクエスチョンの設定、システマティックレビューの実施、推奨レベルの検討は、項目を分担して行った。トランジションは、文献検索と、日本内分泌学会移行期委員会委員長ならびに日本小児内分泌学会移行期委員として学会承認の指針作成を行った。鑑別診断としては、プラダーウイリ症候群と類似する表現型を呈するTemple症候群32例の臨床像を解析した。患者会アンケートは、患者会との連携で、浜松医科大学の倫理委員会承認のもと、約100項目からなるアンケートを実施した。難病プラットフォームとの連携:難病プラットフォーム事務局ならびに患者会と話し合いを行った。
結果と考察
プラダー・ウィリ症候群の診療ガイドライン:(1) 診療ガイドラインにおけるスコープの確立(主たる対象は、成長、体組成異常、側彎症、糖尿病、高血圧、睡眠時無呼吸、内分泌異常、行動症状、トランジション、遺伝子診断である)、(2) 重要臨床課題ならびにクリニカルクエスチョンの設定、(3) システマティックレビューの実施、(4) 推奨レベルの検討を行った。
トランジション:日本小児内分泌学会移行期委員会と連携し、プラダーウイリ症候群患者の年齢別の特性をまとめ、本症候群におけるトランジションの指針(案)を作成した。現在、日本内分泌学会移行期委員会の承認を待っているところである。
鑑別診断:プラダーウイリ症候群は、乳児期の著明な筋力低下や顔貌の特徴から比較的、臨床診断が容易な先天奇形症候群である。しかし、近年、プラダーウイリ症候群疑いで紹介される患者の中に、同じインプリンティング疾患の1つであるTemple症候群患者が含まれることが判明した。事実、乳児期の詳細な臨床像を把握できたTemple症候群30例において、15例がPrader-Willi症候群様の重度筋緊張低下とSilver-Russell症候群表現型の両者を、6例がPrader-Willi症候群様の重度筋緊張低下のみを、6例がSilver-Russell症候群表現型を、残る3例が生下時から継続する成長障害のみを呈していることが判明した。また、思春期年齢患者17例において13例が生下時から継続する成長障害と思春期早発を示していた。さらに、欠失型Kagami-Ogata症候群患者の家系で低身長を呈する患者3例は全例Temple症候群を有していた。
患者会アンケート:プラダーウイリ症候群患者・家族の現状や要望、現在の治療や主治医など、本ガイドライン作成に必須の項目約100についてアンケートを実施した(。その結果、425/641家系(回収率:66.3%)から返事を頂き、全項目について要約した。これは、次年度のガイドライン作成において重要な参考となる成果である。
難病プラットフォームとの連携:難病プラットフォーム事務局との個別面談を受け、その後、2019年3月にプラダーウイリ症候群患者会の全国大会に出席し、研究経過を説明するとともに、難病プラットフォームの意義について説明した。その結果、難病プラットフォーム参加の同意が得られた。
性分化疾患のガイドライン作成:添付の資料に示すように、プラダーウイリ症候群において遂行中であるクリニカルクエスチョンの作成、文献チェック、診断基準の作成、重症度分類、トランジションの在り方の案などの作成を行った。
以上、本年度では、十分な成果を達したと考えられる。来年度、ガイドライン作成を目指す基盤が整備されたと期待される。
結論
プラダー・ウィリ症候群の診療ガイドライン」作成に向けて、トランジション、鑑別診断、患者会アンケート、難病プラットフォームとの連携に取り組んだ。また、性分化疾患においても同様の検討を行った。

公開日・更新日

公開日
2019-11-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-11-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201811083Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,900,000円
(2)補助金確定額
4,900,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,650,545円
人件費・謝金 1,070,529円
旅費 407,613円
その他 891,813円
間接経費 900,000円
合計 4,920,500円

備考

備考
自己資金 20500円

公開日・更新日

公開日
2020-03-15
更新日
-