良質なエビデンスに基づく急性脳症の診療に向けた体制整備

文献情報

文献番号
201811079A
報告書区分
総括
研究課題名
良質なエビデンスに基づく急性脳症の診療に向けた体制整備
課題番号
H30-難治等(難)-一般-007
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
水口 雅(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 前垣 義弘(鳥取大学 医学部)
  • 星野 愛(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 山内 秀雄(埼玉医科大学 医学部)
  • 高梨 潤一(東京女子医科大学 医学部)
  • 山形 崇倫(自治医科大学 医学部)
  • 佐久間 啓(東京都医学総合研究所 脳発達・神経再生研究分野)
  • 奥村 彰久(愛知医科大学 医学部)
  • 永瀬 裕朗(神戸大学 大学院医学研究科)
  • 石井 敦士(福岡大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
6,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
急性脳症の疫学について、第一回調査(平成22年度実施)後の7年間の感染症の変化、ワクチンの導入、診療ガイドラインの策定が急性脳症の疫学にどのような影響を与えたか評価する。急性脳症の研究を効率的に推進するため、Web登録システムによる症例レジストリ・試料レポジトリを構築する。急性脳症発症後の運動・認知面の長期予後を明らかにし、リハビリテーションの指標にする。けいれん重積型(二相性)急性脳症(AESD)
AESDの早期診断に向け、診断スコアを超早期の判定に使えるよう改善し、脳波所見により熱性けいれん重積(FS)の鑑別を可能とし、初回痙攣時の検査における早期診断マーカーを同定する。AESDの特徴的MRI画像所見bright tree appearance (BTA)の病理を解明する。薬剤による急性脳症、Dravet症候群や結節性硬化症(TSC)に合併する急性脳症の研究を進める。
研究方法
急性脳症の疫学に関する第二回全国アンケート調査を平成29年度、小児科入院病床を有する日本全国の小児科専門医研修病院を対象として実施した。対象期間は2014年4月~2017年10月とした。第一回と第二回で同じ方法とすることにより、両者間の比較ができるようにした。既存の症例登録システムについて調査し、急性脳症の症例登録システムの構築を試験的に試みた。リハビリセンターを受診した患者の運動・知的機能の回復過程を調査した。
AESDのレジストリ研究を開始した。急性期脳波を多施設から収集し、スペクトラム解析した。剖検例の病理を検討した。ピボキシル基抗菌薬とビガバトリンによる急性脳症を検討した。Dravet症候群の遺伝子解析を進めた。TSCに合併する急性脳症症例の臨床情報を全国から収集した。
結果と考察
第二回の疫学調査の結果を第一回と比較したところ、先行感染の病原別ではインフルエンザが減少し、HHV-6が増加した。急性脳症の症候群別では、AESDの割合が増加した。急性脳症の予後には変化がなかった。インフルエンザ、HHV6など病原別の急性脳症の季節性が明らかになった。レジストリ・レポジトリに関する現状について調査した結果、難病プラットフォーム事業のシステムが最適であるもののコスト面での問題が残り、実現可能な方法を模索する必要があることがわかった。
AESDの早期診断に向けた研究では、後方視的研究により情報が集積され、レジストリ構築が開始された。脳波所見でAESDとFSの間に位相差の違いを見出した。BTAの病理はアストロサイトーシスと見なされた。薬剤による急性脳症について新しい傾向が見出された。Dravet症候群の網羅的遺伝子解析により多くの病的バリアントが見出された。TSCに合併する急性脳症の11症例が集積され、臨床像が明らかになった。
結論
急性脳症の全国疫学調査により、最近7年間の小児感染症の疫学の変化、および急性脳症の診療の進歩を反映したいくつかの変化が認識された。病原体別の急性脳症の発症の季節性も把握された。今後の急性脳症の診療の改善、急性脳症診療ガイドライン改定に向けた調査・研究で重点的に取り組むべき課題が明確になった。急性脳症のレジストリ構築の基盤が整備され、予備的・試験的なレジストリの試みが始まった。

公開日・更新日

公開日
2019-09-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-09-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201811079Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,930,000円
(2)補助金確定額
7,930,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,948,681円
人件費・謝金 658,476円
旅費 369,544円
その他 3,123,299円
間接経費 1,830,000円
合計 7,930,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-03-16
更新日
-