難治性炎症性腸管障害に関する調査研究

文献情報

文献番号
201811058A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性炎症性腸管障害に関する調査研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-048
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 康夫(東邦大学 医療センター 佐倉病院 IBDセンター)
研究分担者(所属機関)
  • 緒方 晴彦(慶應義塾大学医学部 内視鏡センター)
  • 仲瀬 裕志(北海道公立大学法人 札幌医科大学医学部 消化器内科学講座)
  • 西脇 祐司(東邦大学 医学部医学科社会医学講座衛生学分野)
  • 安藤 朗(国立大学法人 滋賀医科大学 内科学講座(消化器内科))
  • 穂苅 量太(防衛医科大学校 消化器内科)
  • 岡崎 和一(関西医科大学 医学部)
  • 杉田 昭(横浜市立市民病院 臨床研究部 )
  • 松本 主之(岩手医科大学 医学部)
  • 池内 浩基(兵庫医科大学 炎症性腸疾患学講座外科部門)
  • 金井 隆典(慶應義塾大学医学部 消化器内科)
  • 福島 浩平(東北大学医工学研究科)
  • 中村 志郎(兵庫医科大学 炎症性腸疾患学講座内科部門)
  • 中野 雅(北里大学北里研究所病院 消化器内科)
  • 久松 理一(杏林大学 第三内科学(消化器内科))
  • 猿田 雅之(東京慈恵会医科大学 消化器・肝臓内科)
  • 清水 俊明(順天堂大学 医学研究科)
  • 平井 郁仁(福岡大学筑紫病院 炎症性腸疾患センター)
  • 二見 喜太郎(福岡大学筑紫病院 臨床医学研究センター(外科))
  • 畑 啓介(東京大学 医学部附属病院)
  • 長堀 正和(東京医科歯科大学 医学部附属病院 臨床試験管理センター)
  • 松岡 克善(東邦大学 医学部医学科内科学講座消化器内科学分野(佐倉))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
19,784,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
従来からの継続してきた潰瘍性大腸炎(UC)・クローン病(CD)と共に希少難病クロンカイト・カナダ症候群・非特異性多発性小腸潰瘍症・腸管型ベーチェット病・家族性地中海熱関連性腸炎を対象に、最適な診断・治療法を確立し患者QOL向上と医療経済の適正化を図り国民福祉に貢献することを目指す。
研究方法
3年計画の中間年度として4つの研究骨子に沿ったプロジェクト研究を推進した。
1.疫学データーの最新化による多角的発症・増悪リスク因子解析
UC・CDの全国疫学研究2次調査を開始する。UC・CD発病・増悪のリスク因子の同定を試みる。腸管型ベーチェット病、クロンクカイト・カナダ症候群、非特異性多発性小腸潰瘍症に対する疫学調査を実施、家族性地中海熱関連性腸炎の病態解明と患者動態調査を実施する。
2.医療の適正化を目指した診断・治療指針案等の改定
新規診断・治療法のエビデンスに基づく逐年的診断基準・重症度基準の改訂を実施。希少難病4疾患の診断基準・治療指針作成に取り組む。
3.臨床的課題解決を目的とした多施設共同研究
各種臨床的課題の解決に向け多施設共同臨床研究を遂行する。最新画像診断法を用いたUC・CDの新規診断法を確立する。
4.研究成果発信による疾患に関する国民的認知の普及
班研究成果を広く発信し、一般医家・患者の啓発を行い診療体系の均一化と質的向上を図る。
結果と考察
1疫学プロジェクト
UC食事関連因子の検討がなされ、鉄の高摂取で発症率高値、亜鉛の高摂取で発症低値が認められた。
クロンカイト・カナダ症候群・非特異性多発性小腸潰瘍症・腸管型ベーチェット病に関する全国疫学調査を実施し有病率を初めて算出した。
2-1新たな診断基準案作成
CDにおける診断基準の一部を改訂、カプセル内視鏡による診断基準案が報告された。
UC重症度分類にCRPを加える改訂案が提示された。
UC術後の重症度基準と回腸嚢炎診断基準を策定した。
2-2 治療指針・ガイドラインの改訂
UC・CD診療ガイドラインを日本消化器病学会と共同で改訂し英文化した。
CD治療指針で抗TNF-α抗体製剤と栄養療法併用の有用性が付記された。
UC治療指針にJAK阻害剤と抗インテグリン阻害剤の適応が追記された。
UC・CD治療指針にチオプリン誘導体使用に際しNUDT-15遺伝子検査の必要性が追記された。
2-3的確な診断・治療確立のプロジェクト
UC大腸カプセル内視鏡画像アトラスが作成された。
2-4 癌サーベイランス法の確立
UC癌サーベイランス予後調査が論文化された。
2-5 IBD遺伝子解析プロジェクト
腸管型ベーチェット病・単純性潰瘍のGenome Wide Association Study研究成果が報告された。
3-1炎症性腸疾患患者の特殊型への対策プロジェクト
超早期小児期発症IBD患者全国レジストリーが開始された。
小児IBD患者“移行期医療”に関する全国アンケート調査結果が報告された。
世界で初めて「高齢者UC治療指針」を作成論文化した。
3-2腸内細菌プロジェクト
抗菌剤併用糞便移植法の有用性が報告された。
UC合併原発性硬化性胆管炎の病態に腸内細菌叢の寄与が報告された。
3-3希少疾患プロジェクト
ベーチェット病研究班と共同で腸管型ベーチェット病の診断・治療に関するコンセンサスステートメントが作成された。
非特異性多発性小腸潰瘍症に関する特徴的臨床徴候が報告された。
家族性地中海熱遺伝子関連性腸炎の診断と病態解明に向けた研究成果が報告された。
3-4合併症/副作用への対策プロジェクト
CD術後吻合部再発に関する多施設共同研究成果が報告された。
IBD合併深部静脈血栓症のリスクと対策が報告された。             
「脊椎関節炎の疫学調査・診断基準作製と診療ガイドライン策定を目指した大規模多施設研究班」との共同研究による全国実態調査結果が報告された。
3-5バイオマーカーと創薬に関するプロジェクト
AMEDと本研究班共同により進行中の各種バイオマーカー・創薬に関する研究成果が報告され、今後の進展が期待された。
4広報活動/専門医育成プロジェクト
IBD患者“逆紹介フォーム”を作成・web上に公開した。
「一目で分かるIBD」改訂版を本研究班web上に公開し、e-learningを改訂した。
「炎症性腸疾患患者さんの就労についてQ&A」冊子を作成web上に公開した。
結論
新たな難病対策研究事業体制の3年計画中間年度として、内科・外科・小児科を問わず全ての専門医が参加する全日本体制が構されIBD・希少慢性炎症性腸疾患の正確な実態把握、適正な診断・治療法を確立する研究が遂行された。

公開日・更新日

公開日
2019-10-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-10-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201811058Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
25,719,000円
(2)補助金確定額
25,602,000円
差引額 [(1)-(2)]
117,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,548,084円
人件費・謝金 4,711,154円
旅費 1,363,894円
その他 9,044,768円
間接経費 5,935,000円
合計 25,602,900円

備考

備考
117,000円 返還

公開日・更新日

公開日
2020-03-11
更新日
-