ミトコンドリア病の調査研究

文献情報

文献番号
201811045A
報告書区分
総括
研究課題名
ミトコンドリア病の調査研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-035
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
後藤 雄一(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター メディカル・ゲノムセンター)
研究分担者(所属機関)
  • 小坂 仁(自治医科大学小児科)
  • 大竹 明(埼玉医科大学小児科・難病センター)
  • 北風 政史(国立循環器病研究センター病院・研究開発基盤センター)
  • 古賀 靖敏(久留米大学大学院医学研究科小児科学)
  • 小牧 宏文(国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンター)
  • 佐野 輝(鹿児島大学学術研究院医歯学域医学系 精神機能病学)
  • 末岡 浩(慶應義塾大学産婦人科)
  • 田中 雅嗣(国立医薬基盤・健康・栄養研究所 所長直轄)
  • 三牧 正和(帝京大学医学部小児科)
  • 山岨 達也(東京大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 米田 誠(福井県立大学看護福祉学部)
  • 松田 晋哉(産業医科大学医学部公衆衛生学)
  • 藤野 善久(産業医科大学産業生態科学研究所)
  • 伊藤 雅之(国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第二部)
  • 岡 明(東京大学医学部附属病院小児科)
  • 岩崎 裕治(東京都立東部療育センター)
  • 松石 豊次郎(久留米大学高次脳疾患研究所)
  • 高橋 悟(旭川医科大学医学部附属病院小児科)
  • 青天目 信(大阪大学医学部附属病院小児科)
  • 黒澤 健司(神奈川県立こども医療センター臨床研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 ミトコンドリア病においては、検査手段(病理検査、生化学検査、DNA検査)の標準化と集約的診断体制の確立、本疾患に関する情報提供手段の整備等を行い、臨床病型、重症度、合併症、主な治療の内容などの標準化をめざす。特に、患者レジストリーを進め、具体的な治療に関する臨床研究や治験を進めるコーディネーター役を担うこと、また主に小児のミトコンドリア病を対象としているAMED難治性疾患実用化研究事業の村山班と連携して診療ガイドラインを作成するとともに、市民公開講座や難病情報センター等を活用し、広報活動を行うことを目的とする。
 レット症候群(RTT)とMECP2重複症候群(MECP2ds)の研究、ジュベール症候群関連疾患(JSRD)の研究を行ない、多角的な診療支援を行う。
研究方法
 ミトコンドリア病は指定難病疾患に認定されており、確定診断に必要な検査は専門性が高く、検査の標準化と集約的診断体制の確立を継続する。重症度スケールやグローバルな診断基準の策定に関与し、「診療ガイドライン」もしくは「診療手引き」を作成する。ミトコンドリア病の一部は母系遺伝形式であり、先進的な生殖補助医療の適用について検討する。ミトコンドリア病の患者レジストリを構築するとともに、海外との同様な活動と連携し、国内ばかりでなく、国際的な共同治験などの将来の臨床研究、治験の推進に役立てる。
 レット症候群(RTT)の追跡調査とMECP2重複症候群(MECP2ds)の疫学調査を行い、その結果から自然暦、臨床および遺伝学的実態を明らかにし、遺伝子検査の体制を確立し、診断基準を作成し、診療ガイドラインを作成をする。MECP2dsにおいては、小児慢性特定疾病および指定難病登録を行う。さらに、関連学会発表および公開シンポジウム開催し、RTTとMECP2dsの普及と啓発に努める。
  ジュベール症候群関連疾患(JSRD:セニール・ローケン症候群、COACH症候群、有馬症候群を含む)の原因遺伝子は、すべて繊毛の構造に関連する分子をコードし数100kDaに及ぶ巨大分子である。次世代シークエンサーを用いて、効率的な遺伝子解析を行う。また、JSRDの診療ガイドラインを作成し、診療支援を行う。
結果と考察
 ミトコンドリア病については、包括的検査体制を整備し、専門性の高い診断システムを構築した。診断基準、重症度スケールの改訂に取り組み改定案を作成した。診療ガイドラインの作成を目指しているが、多臓器に及ぶ臨床症状の全てに対応する研究エビデンスが蓄積しておらず、診療手引きの作成を目指した作業を継続した。患者レジストリの構築と運用については、成人のレジストリーの登録を開始した。
生殖補助医療の情報収集を行うとともに、特定胚を用いた臨床研究への道が開かれる流れになってきた。DPCを用いた疫学研究を行い、都道府県別の患者推定と難病登録患者数との相関を認め、その有用性を確認した。
 レット症候群では、レジストリを構築し患者登録を行っている。また、レジストリの国際化と自然歴調査、診療ガイドブックの改訂に取り組んだ。
 ジュベール症候群関連疾患の指定難病登録を行い、診断基準、診療ガイドラインを作成した。
 MECP2重複症候群では、実態把握と診断基準作成を目的として、疫学調査を実施し、患者数などを調べて、指定難病登録、小児慢性特定疾病の申請を行った。さらに、レジストリ構築に向けて取り組んでいる。
各疾患の患者向け、あるいは一般向けのシンポジウムや講演会を行っている。これらの活動を通して、幅広い診療支援を行った。
結論
 ミトコンドリア病については、AMED難治性疾患実用化研究班(村山班)と連携しながら進めている。全国レベルの診断体制の整備、診断基準や重症度スケールの改定作業を進めた。生殖補助医療の情報収集と日本での実現可能性について議論し、核移植等の我が国における臨床研究を可能にする道が開けた。患者レジストリーは、種々の要因で格段の進歩はないが、グローバルな視点でバイオバンク(研究試料)との連動を図りながら、着実に進めてゆく必要がある。
  RTTとMECP2dsの臨床研究では、RTT患者データベース登録の追跡調査とMECP2ds患者の疫学調査を行なった。また、対象疾患の遺伝子診断体制を整備した。MECP2dsの小児慢性特定疾病および指定難病の早期登録が必要である。
 JSRDの臨床研究:JSRDの遺伝子診断を確立した。しかし、高額で高度な技術であり、継続的な診断には経済的な支援が必要である。また、JSRDの診療ガイドラインを作成した。これらにより、診療支援体制が確立してきた。

公開日・更新日

公開日
2019-09-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201811045Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
15,600,000円
(2)補助金確定額
15,563,000円
差引額 [(1)-(2)]
37,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 5,757,737円
人件費・謝金 713,702円
旅費 1,716,742円
その他 3,775,813円
間接経費 3,600,000円
合計 15,563,994円

備考

備考
分担研究者が配分した研究費を残したため

公開日・更新日

公開日
2020-03-15
更新日
-