希少難治性筋疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
201811040A
報告書区分
総括
研究課題名
希少難治性筋疾患に関する調査研究
課題番号
H29-難治等(難)-一般-030
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
青木 正志(国立大学法人東北大学 大学院医学系研究科 神経内科)
研究分担者(所属機関)
  • 西野 一三(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第一部)
  • 林 由起子(東京医科大学 医学部)
  • 小牧 宏文(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 病院臨床研究推進部 トランスレーショナル・メディカルセンター)
  • 高橋 正紀(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 平澤 恵理(順天堂大学 大学院医学系研究科)
  • 大野 欽司(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 杉江 和馬(奈良県立医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
20,190,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班では希少難治性筋疾患である、1. 周期性四肢麻痺、非ジストロフィー性ミオトニー症候群といった筋チャネル病、1’. 先天性筋無力症候群、2. Schwartz -Jampel症候群、3. Danon病や過剰自己貪食を伴うX連鎖性ミオパチーなどの「自己貪食空胞性ミオパチー」、4. 封入体筋炎、5. 先天性ミオパチー、6. 縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(GNEミオパチー)、7. 眼・咽頭遠位型ミオパチー、8. 三好型ミオパチー(およびその他の遠位型)、9. マリネスコシェーグレン症候群、10. べスレムミオパチー・ウルリッヒミオパチーの11の疾患群を対象とし、3ステップで課題を遂行していく。
研究方法
1.骨格筋チャネル病では新たなタイプの双方向の患者レジストリRudyを元にRudy Japanの構築を進めた。
1’.先天性筋無力症候群に関しては、難病情報センターホームページの情報の正確さ即時性の確認を行った。
2.Schwartz -Jampel症候群では国外症例の情報を合わせ、診断基準を見直した。
3.自己貪食空胞性ミオパチー(AVM)では2017年に全国で追跡調査を実施した。
4.封入体筋炎については新たな診断基準に基づき患者登録、患者検体の集積およびそれを利用した解析研究を行った。
5.先天性ミオパチーでは倫理申請、登録体制の整備、構築を行い、診療の手引きの作成をすすめた。
6.縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーについては過去の症例報告等をもとに疾患概要、疫学、病因・病態等についてデータを収集し要約した。
7.眼・咽頭遠位型ミオパチーでは診療の手引きを作成した。
8.三好型ミオパチーについては次世代シークエンサーを用いた診断も継続した。
9.Marinesco-Sjogren症候群に関してはMSSの患者登録システム構築に不可欠な要素を抽出した。
10.ベスレム・ウルリッヒミオパチーについては臨床情報を解析した。
結果と考察
1.筋チャネル病に関しては遺伝性周期性四肢麻痺(HypoPP)例ではSCN4A遺伝子に変異をもつHypoPP2が相対的に多い傾向が見出された。Rudy Japanの運用を進めた。
1’.先天性筋無力症候群に関しては、11例の新規先天性筋無力症候群疑い症例の解析を行った。
2.Schwartz Jampel症候群では遺伝子解析で4例に共通したHSPG2変異が検出された。
3.自己貪食空胞性ミオパチーでは2011年と2017年の全国実態調査の集計結果より、本邦においてDanon病患者20家系39例(男:女=17:22)を確認した。
4.封入体筋炎に関しては、診断のためのバイオマーカーについては血清中の自己抗体NT5C1A抗体の診断感度・特異度についてAnnNeurolに2016年に報告した。その後も症例の蓄積を続けた。
5.先天性ミオパチーに関しては平成28年9月より登録開始とした。
6.縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーに関してはRemudy患者登録データのほか、公表されている国際患者登録データ等を検討し作成した。
7.眼・咽頭遠位型ミオパチーに関しては診療の手引きを作成した。
8.三好型ミオパチーをはじめとしたdysferlin異常症の症例も全国から依頼を受けて次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析を継続している。
9.Marinesco-Sjogren症候群はSIL1変異によるMSSでは、幼児期発症の両側急速進行性の白内障、小脳萎縮と小脳症状等が生検筋における縁取り空胞の存在が診断価値の高い項目であり、レジストリ構築時の必須項目と考えられた。
10.ベスレム・ウルリッヒミオパチーは診断基準の承認を得た。
結論
各疾患に関して、新規患者の診断を行うと共に、診断基準の整備と学会承認、自然歴の調査、レジストリの発展などに寄与してきている。これらの基盤を元に将来的には各疾患において、臨床試験・治療法開発へとつなげていきたい。そのためには今後も継続した診断・患者調査が必要である。海外を含めた治験の動向もアップデートしていく。公費負担を含めた社会的支援も重要であり、指定難病制度の実際の運用やレジストリRemudy・Rudy Japanの運営にも協力していく。

公開日・更新日

公開日
2019-09-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-09-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201811040Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
26,247,000円
(2)補助金確定額
26,247,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 11,607,197円
人件費・謝金 3,460,424円
旅費 1,814,750円
その他 3,307,969円
間接経費 6,057,000円
合計 26,247,340円

備考

備考
自己資金340円

公開日・更新日

公開日
2020-04-02
更新日
-