小児期発症の希少難治性肝胆膵疾患の移行期を包含し診療の質の向上に関する研究

文献情報

文献番号
201811006A
報告書区分
総括
研究課題名
小児期発症の希少難治性肝胆膵疾患の移行期を包含し診療の質の向上に関する研究
課題番号
H28-難治等(難)-一般-021
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
仁尾 正記(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 黒田 達夫(慶應義塾大学 医学部)
  • 窪田 正幸(新潟大学 医歯学総合研究科)
  • 佐々木 英之(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 須磨崎 亮(筑波大学 医学医療系)
  • 清水 俊明(順天堂大学 医学部)
  • 安藤 久實(愛知県医療療育総合センター 発達障害研究所)
  • 島田 光生(徳島大学 大学院医歯学研究部)
  • 田口 智章(九州大学 大学院医学研究院)
  • 浜田 吉則(関西医科大学)
  • 神澤 輝実(東京都立駒込病院)
  • 虫明 聡太郎(近畿大学医学部奈良病院)
  • 林 久允(東京大学大学院薬学系研究科)
  • 玉井 浩(大阪医科大学)
  • 田尻 仁(大阪急性期・総合医療センター・臨床研究センター)
  • 呉 繁夫(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 水田 耕一(自治医科大学 医学部)
  • 乾 あやの(済生会横浜市東部病院)
  • 依藤 亨(大阪市立総合医療センター)
  • 金森 豊(国立成育医療研究センター 臓器・運動器病態外科部外科)
  • 正宗 淳(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 竹山 宜典(近畿大学医学部)
  • 成瀬 達(みよし市民病院)
  • 石黒 洋(名古屋大学総合保健体育科学センター)
  • 田中 篤(帝京大学医学部内科学講座)
  • 丸尾 良浩(滋賀医科大学小児科)
  • 上本 伸二(京都大学医学研究科)
  • 笠原 群生(国立成育医療研究センター 臓器移植センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は当該疾患患者の問題を解決し、診療水準の向上に貢献することである。このためには現在の診断基準と重症度分類を現状に即した基準や分類への見直し行い、診療ガイドライン(CPG)の作成・普及および改訂が必要である。本研究は平成26年度から実態把握と診断基準・重症度分類、CPG作成を目指した研究「小児期発症の希少難治性肝胆膵疾患における包括的な診断・治療ガイドライン作成に関する研究」を継続、発展させて、小児期から成人期までを切れ目なく捉え、医療水準の向上を通じて患者の療育環境を改善するための研究である。また関連する学会・研究会を中心に研究班を結成した既存の研究班を発展させ、成人診療関連学会との連携強化により移行期医療を包含して研究することが特徴である。
研究方法
対象疾患に対して以下の研究を実施した。1)より実態に即した診断基準、重症度分類への改定を目指した研究、2)現行CPG・治療指針の改定に向けた作業への着手、3)成人症例の実態についての調査研究、4)非専門医に対する周知体制の確立にむけた研究、5)小児・成人領域の診療連携体制の構築。研究対象疾患は以下の13疾患である。1)胆道閉鎖症、2)アラジール症候群、3)遺伝性膵炎、4)先天性胆道拡張症、5)家族性肝内胆汁うっ滞症、6)カロリ病、7)肝内胆管減少症、8)原因不明肝硬変症、9)先天性門脈欠損症、10)新生児ヘモクロマトーシス、11)先天性高インスリン血症、12)嚢胞性線維症、13)クリグラー・ナジャール症候群
結果と考察
平成30年度の研究結果は次の通りである。
1)胆道閉鎖症:①診療ガイドラインの作成・普及を実施。②全国登録事業の継続とデータ解析実施。③成人症例の療養環境の改善に向けた研究を実施。2)アラジール症候群:①当疾患の移行期医療における注意点や課題が見出された。②成人期の当疾患症例を集計し、画像検査等の実施状況が明確化。③希少難治肝疾患における診療円滑化のため乳児黄疸ネットを改訂。3)遺伝性膵炎:①小児期の当疾患患者における臨床像の解析を実施。②全国疫学調査実施。③重症度分類の改定を実施。4)先天性胆道拡張症:①診療ガイドライン普及のための作業実施。②重症度分類策定を実施。③小児期発症の成人期症例の状況調査実施。5)家族性肝内胆汁うっ滞症:①一次および二次アンケート調査実施。②当疾患診療ガイドライン(案)を作成。6)カロリ病:①一次・二次アンケート調査で検討実施。②ARPKD、門脈圧亢進症、慢性肝不全状態等合併の実態把握。③成人例の病状や就学・就業、出産等についての現状確認。7)肝内胆管減少症:①当疾患症例の年齢分布や診断方法を確認。②予後の検討を実施。8)原因不明肝硬変症:①一次・二次アンケート調査実施。②成人期の実態調査実施。9)先天性門脈欠損症:①小児例について一次・二次アンケート調査実施。②成人例について一次・二次アンケート調査実施。10)新生児ヘモクロマトーシス:①一次・二次・三次アンケート調査実施。②診断と予後についての解析実施。11)先天性高インスリン血症:①診療ガイドラインの策定と周知に関する作業実施。②診断のためのカットオフ値の検討実施。③外科治療の実態調査実施。④内因性高インスリン血症実態調査実施。12)嚢胞性線維症:①登録制度を利用した症例調査とCFTR遺伝子解析を実施。②情報交換会プログラムを施行。③新規承認薬の市販後調査実施。④汗試験と便中膵エラスターゼ検査実施。⑤重症度分類基準の改訂案策定。⑥診療の手引き[改訂2版]作成。⑦嚢胞性線維症患者の栄養ケア発刊。⑧患者の栄養状態と栄養ケアの検討実施。⑨食生活状況調査実施。13)クリグラー・ナジャール症候群:遺伝子診断で国内発症の当疾患症例は確認されなかった。14)肝・胆道疾患の成人領域の調査研究:一次・二次調査で検討実施。
結論
小児期発症の稀少難治性肝胆膵疾患の診療水準を高レベルで均てん化し、理想的なトランジション体制を図るための研究が徐々に進行している。本研究班が扱う疾患について、これまでの研究状況および必要な作業には差があるが、専門医療職のコンセンサスに基づき、患者にとって有用性の高いCPG、あるいは指針作成に向けて、関連する学会・研究会との連携のもとで作業を継続している。小児期発症の希少難治性肝胆膵疾患をトランジションまで包含して扱うためには、本研究班で構築された全日本的な学会連携の枠組みを継続的に活用することが重要である。

公開日・更新日

公開日
2020-01-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2020-01-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201811006B
報告書区分
総合
研究課題名
小児期発症の希少難治性肝胆膵疾患の移行期を包含し診療の質の向上に関する研究
課題番号
H28-難治等(難)-一般-021
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
仁尾 正記(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 黒田 達夫(慶應義塾大学 医学部)
  • 窪田 正幸(新潟大学 医歯学総合研究科)
  • 佐々木 英之(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 須磨崎 亮(筑波大学 医学医療系)
  • 清水 俊明(順天堂大学 医学部)
  • 安藤 久實(愛知県医療療育総合センター 発達障害研究所)
  • 島田 光生(徳島大学 大学院医歯薬学研究部)
  • 田口 智章(九州大学 大学院医学研究院)
  • 浜田 吉則(関西医科大学)
  • 神澤 輝実(東京都立駒込病院)
  • 虫明 聡太郎(近畿大学 医学部奈良病院)
  • 林 久允(東京大学 大学院薬学系研究科)
  • 玉井 浩(大阪医科大学)
  • 工藤 豊一郎(茨城県済生会水戸済生会総合病院)
  • 田尻 仁(大阪急性期・総合医療センター)
  • 呉 繁夫(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 水田 耕一(自治医科大学 医学部)
  • 乾 あやの(済生会横浜市東部病院)
  • 依藤 亨(大阪市立総合医療センター)
  • 金森 豊(国立成育医療研究センター 臓器・運動器病態外科部)
  • 正宗 淳(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 竹山 宜典(近畿大学 医学部)
  • 成瀬 達(みよし市民病院)
  • 石黒 洋(名古屋大学 総合保健体育科学センター)
  • 滝川 一(帝京大学 医学部)
  • 田中 篤(帝京大学 医学部)
  • 丸尾 良浩(滋賀医科大学 医学科)
  • 上本 伸二(京都大学 医学研究科)
  • 笠原 群生(国立成育医療研究センター 臓器移植センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成26年度から実態把握と診断基準・重症度分類、CPG作成を目指した研究「小児期発症の希少難治性肝胆膵疾患における包括的な診断・治療ガイドライン作成に関する研究」を継続、発展することを基本とする。以上状況で、小児期から成人期までを切れ目なく捉え、医療水準の向上を通じて患者の療育環境を改善するための研究が必要である。本研究の特色は関連する学会・研究会を中心に研究班を結成した既存の研究班を発展させ、成人診療関連学会との連携強化により移行期医療を包含して研究することである。当該疾患では、このような研究は行われていない。
研究方法
小児期発症の希少肝胆膵疾患について3年計画で作業を行っており以下項目より構成される。1)実態に即した重症度分類への改定、2)正確性を増した診断基準への改定、3)最新のエビデンスへ適合したCPGへの改定と治療方針改定、4)移行期医療を見据えた包括的研究【A)成人症例を中心とした調査研究、B)非専門医に対する周知に対する研究活動、C)小児診療領域と成人診療領域との連携を図るための体制構築】。研究対象疾患:1)胆道閉鎖症、2)アラジール症候群、3)遺伝性膵炎、4)先天性胆道拡張症、5)家族性肝内胆汁うっ滞症、6)カロリ病、7)肝内胆管減少症、8)原因不明肝硬変症、9)先天性門脈欠損症、10)新生児ヘモクロマトーシス、11)先天性高インスリン血症、12)嚢胞性線維症、13)クリグラー・ナジャール症候群
結果と考察
1)胆道閉鎖症:①診療ガイドライン作成最終化、②全国登録事業継続とデータ解析、③成人症例の療養環境改善に向けた研究実施、2)アラジール症候群:①移行期医療における注意点や課題抽出、②成人期症例の集計により画像検査等の実施状況を明確化、③乳児黄疸ネットを改訂、3)遺伝性膵炎:小児期患者における臨床像解析、②全国疫学調査、③重症度分類改定・難病対策課へ個票修正要望を提出、4)先天性胆道拡張症:①診療ガイドライン普及活動:英文版出版、ダイジェスト版を和文誌に投稿、②重症度分類策定、③小児期発症の成人期症例の状況調査実施、5)家族性肝内胆汁うっ滞症:一次・二次アンケート調査・カルテ調査実施、②診療ガイドライン(案)作成、6)カロリ病:アンケート調査実施、②ARPKD、門脈圧亢進症、慢性肝不全状態等の合併の実態について把握作業、③成人例の病状や就学就業出産等の現状確認作業、7)肝内胆管減少症:症例の年齢分布・診断方法確認、②疾患の鑑別精度検討についての準備、8)原因不明肝硬変症:一次・二次調査、成人期実態調査実施、9)先天性門脈欠損症:小児例・成人例による一次・二次調査実施、10)新生児ヘモクロマトーシス:一次・二次・三次調査実施、11)先天性高インスリン血症:診療ガイドラインの公表・公開:学会ホームページでの公表、英文版を論文化し公表、Minds ガイドラインライブラリに掲載、日本小児内分泌学会ガイドライン集の一部として収載し出版、解説論文を邦文誌に公開、②診断のためのカットオフ値検討、③外科治療の実態調査、④内因性高インスリン血症実態調査、12)嚢胞性線維症:①登録制度を利用した症例調査とCFTR遺伝子解析、②家族会や主治医を含む医療関係者との情報交換会実施、③新規承認薬の市販後調査、④汗試験と便中膵エラスターゼの施行状況、⑤重症度分類基準改訂案策定、⑥診療の手引き改訂2版策定、⑦「嚢胞性線維症患者の栄養ケア」発刊、⑧食生活状況調査、13)クリグラー・ナジャール症候群:国内発症の当疾患の臨床像検討のため遺伝性非抱合型高ビリルビン血症の遺伝子診断実施、14)肝・胆道疾患の成人領域の調査研究:一次・二次調査実施
結論
小児期発症の稀少難治性肝胆膵疾患の診療水準を高レベルで均てん化し、理想的なトランジション体制を図るための研究が徐々に進行している。診療ガイドラインが既に完成し、普及と改定の作業にかかる疾患からその前段階の調査・研究作業が行われている疾患、ガイドラインの作成までにはまだかなり時間を要することが見込まれる疾患、きわめて希少で病像の把握自体が課題となっている疾患まで、本研究班が扱う疾患について行うべき作業段階には差があるが、専門医療職のコンセンサスに基づき、かつ患者にとって有用性の高い診療ガイドライン、あるいはこれに準じた指針形成に向けて、個々の疾患の状況に応じて、関連する学会研究会間の連携を深めて作業を継続している。小児期発症の希少難治性肝胆膵疾患をトランジションまで包含して扱うためには、本研究班で構築された全日本的な学会連携の枠組みを継続的に活用することが重要である。

公開日・更新日

公開日
2020-01-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2020-01-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201811006C

収支報告書

文献番号
201811006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
16,900,000円
(2)補助金確定額
16,900,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,116,247円
人件費・謝金 3,734,091円
旅費 2,101,405円
その他 4,121,481円
間接経費 3,900,000円
合計 16,973,224円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2020-03-11
更新日
-